奉祝・G20第2号発売!!

MS冷血地獄に戻る


いろんな意味で注目されたガンダム専門誌「G20」。第2号は予定より半月以上遅れて、ちゃんと発売された。ちゃんとじゃねえって。創刊号をクソミソにけなした俺だが、「それでも買う」といった以上、買ってきましたよええ、相変わらず見つけるのに苦労したけどさ。けっ。

一読した感想は、「まあこんなもんかな」てなトコである。細かいツッコミを入れてけばキリがないが、創刊号に比べてナンボかマシになってきた気がするのは、こちらが慣れたからか向こうがすり寄ってきたからか。どっちみち\840に見合う内容だったとは、残念ながら今回も思えなかった。やっぱ高いっス。

前回、あんなにボロクソに書いた身としては恐縮だが、第2号はよりカドが取れて丸くなったように思う。少なくとも創刊号は「これがヒップでポップでイケてるってことなんだよ、バカでだっせえアニオタどもを啓蒙してやるぜ、感謝しな!」という意気込みが感じられた。それがいいことか悪いことかは別にして。ま、俺らバカなアニオタにしてみりゃ「余計なお世話」だよそんなの、だったんだけどね。

ところが第2号、前回に比べてそういう「ナウなトンガリキッズ」向けの部分が減り、いわゆるホビージャパンとかメディアワークスとか、そういう我々がごく親しんでいる「ガンダム本」のスタンスに近づいているようだ。どうしたジーツーオー。変節したのか。反省したのか。別にどうでもいいが。


ひとつ、どうしても書きたかったのが、小田切博さんによる小さな記事である。「やるせない『キツさ』 「G20」創刊号ネットワーク評判記」なるタイトルで、ネットワーク上における「G20」創刊号の反応について言及したものだ。ネット上で「G20」の悪口を言いまくった身としては、無視することができない記事と言えよう(もっとも小田切さんは、ネット上の「掲示板」について言及しているので、俺のようにわざわざページ作って罵倒した人間は含まれていないのかもしれない)。

詳しくは実際に「G20」を購入し、自分の目で読んで確かめて欲しい(販売促進である)が、このコラム、創刊号のネットワーク上の評判について述べられている。それはわかる。ところが俺がバカなのか、けっきょく何が言いたいのか言いたくないのかさっぱりわからんのだ。怒ってるのか怒ってないのか、俺らに対してそれとも自分自身に対して(半疑問形)? ちっともわからん。

インターネット上で「G20」の評判が悪いのは、当たり前である。ネット上には「G20」より面白いガンダムがゴロゴロしてるからだ。ただそれだけをもって、「G20」をけなす訳にもいかない。ネットワーク上で暮らし、あちこちのガンダムサイトを見たことがある人というのは、全てのガンダムファンの中でもまだまだ多数派とは言い難いからだ。

ただだからといって、全く信用できない訳でもない。少なくとも第2号に掲載された「読者の声」よりはマシだろう。アレは最初から最後まで、「G20」編集部の手で選ばれたものだから。下手したら、編集者かライターが書いたものかも知れないのだから。


小田切さんによると、ネットワーク上での「G20」の評判は、二極分解というか、「手放しの大絶賛」と「クソミソのボロカツ」とにすっぱり分かれていたという(俺は決してそうは思わないけど…)。そしてその事実に、彼は「キツい」ものを感じたようなのだ。というのも、パソコン通信やインターネット上の掲示板というのは、以下のような特質を持っているからである。

ネットやパソ通はマス媒体と違って、誰でも気軽に広く情報を発信することができる、つまり「書くこと」ができる。しかしそれが余りにも手軽で簡単すぎるため、「自分は何故書くのか」という問題について無自覚なまま、無責任な発言だけが大量に飛び交ってしまう。自分が発言することへの影響力の大きさに比べて、発言者が負う責任があまりにも小さすぎるのだ。

じゅうぶんに吟味されないままの言葉が大量に飛び交う状況下では、つまるところ「目立ったモン勝ち」になってしまうのがオチだ。かくして無意味で無内容ながら、感触としては「より過激」で「より目立つ」言葉だけが氾濫していく。言葉だけがにぎやかに溢れているが、実体は空っぽで虚しいものになってしまうのである。

そして小田切さんは断じる。そんな言葉では「伝わらないよ」と。そんな空虚な言葉では、何も伝えることはできないよと。この「伝える」というのが、誰が誰に対して「伝える」ことなのかはわからない。ネットワーク上の読者が、「G20」を作った人達へ、だろうか。あるいは単に「誰かにものを伝えることなんてできないよ」でいいのだろうか。


ネットワーク上で発言する者は、得てして無責任で「書く」ことに対して無自覚である。従って「何を語るか」ではなく「語ること」そのものに重きがおかれ、空虚で無内容な言葉だけが飛び交っていく。

小田切さんが指摘してみせたこの考え方には、俺もほぼ同感である。インターネットのおかげで、情報を発信することの敷居がとてつもなく低くなったが、そこでやり取りされる情報はあまりにも玉石混淆すぎる。その是非は意見がわかれるだろうが、限りなく無内容に見えてしまうのは仕方がない。

しかし、これは何もネットワーク上に限った話ではない。実は放送や出版のような「マス媒体」においても、現状は似たり寄ったりなんである。例えばあなたが見ているテレビや雑誌が全て「メチャクチャ面白い」という訳ではないでしょ? ひるがえってネット上の個人サイトに、あなたが「メチャクチャ面白い」ものがあるでしょ? 少なくとも全ての個人サイトや掲示板の書き込みが、あらゆるテレビ番組や出版物より劣っているとは思わないでしょ?

帝国大学を出た一部のインテリだけが、独占的に情報発信していた時代はとっくに終わっている。今や18歳の2人に1人が、短大か四大へ行く世の中なのだ。さらに媒体の数は人口以上に増加しており、当然「送り手」の質は落ちていく一方である。今やマス媒体においても、「自分が何故書くのか」を突き詰めている人ばかりではない。もう一度言う。書き手が無責任で無自覚なのは、今やネットワーク上に限った話ではないのだ。

小田切さんがこのことに気づいていながら知らん振りしてるのか、あるいはまだ「マスコミ」に幻想を抱いているのか、それはわからない。しかしいずれにせよ、「デザイナー」や「イラストレーター」が無意味で無内容な活字を並べてスキマを埋めている「ガンダム専門誌」にそんなこと言われたかねえな、というのが正直なところである。あいつらはナニか、「自分は何故書くのか」についてどれほど突き詰めてるってんだ? そんな言葉で、何かを伝えることができているのか?


小田切さんは続ける。ひるがえって自分自身マス媒体で発言しながら、どれほどのことを伝えられてきただろうか、と。そしてそのこと自体が「キツい」、として原稿は結ばれている。ということは小田切さん自身、ちゃんと伝えてきたという実感をあまり持っていないのだろう。

だとしたらこの記事、結局なにが言いたかったのだろう? 「つまんない雑誌作ってごめんなさい」だったのか。「文句いうなバーカ」だったのか。俺にはよくわからない。たぶん小田切さん自身もよくわかってないのだろう。ネット上の素人に文句言われたのは悔しい。けどそれを素直に言っちゃうのもカッコ悪い。だからなんとなく理屈をつけて、ゴマ化したんじゃないかなあ。読者と、そして自分自身を。


再び、「伝わらないよ」について考えてみたい。これが何を指していたのか。例えば我々ネット上の発言者が、G20編集部に対して「つまんねえよ」と言ったところで「伝わらないよ」だったとしてみよう。もしそうだとしたら、それは大きな勘違いである。少なくとも俺が自分のユーザーディスクスペース(=俺の金)を使ってまで「G20」の悪口を書いたのは、なにも「G20」編集部の方々に頑張って欲しいからではないからだ。

俺は俺のHPを読んでくれてる人達に、喜んでもらうために書いている。笑ってもらうために書いている。それだけだ。「G20」自体は単なるネタに過ぎない。確かに「頑張ってね」とは書いたけど、それはまあ、季節の挨拶みたいなもの。実際のところ「G20」が面白くなろうがつまんなくなろうが、俺にとっては「どーでもいいこと」なんだよなこれが。それは俺に限らず、みんなそうだと思うよ。だってほんとに「G20」に頑張って欲しいなら、編集部に直接ハガキ送ってますって。そこんとこ、履き違えないで欲しいよな。


「雑誌を作っていくうえで、ネット上の意見は参考にならない」と小田切さん自身いっている。ああそうですか。またしても「ギョーカイの内幕ばらし」ですか。お言葉ですがそんなこと、シロートの我々だってわかってますって。ていうか、俺らごときの意見に左右されてるくらいなら、商業誌なんか作るのやめた方がいいんじゃないスかね。それじゃ学級新聞ッスよ。少なくとも「自分はなぜ書くのか」なーんてことを考えてらっしゃる方が、やることじゃねえっしょ?

なんかさあ、「G20」全体に漂う雰囲気なんだけど「マス媒体で仕事してる」ってだけで、満足しちゃってる感じがするんだよな。メジャーもマイナーも関係なく「面白えモン作りたい」って気持ちが見えねえ。活字にさえなっていれば、ウンコみたいな記事でもバカなパンピーは有り難がると思ってんのかねえ。今日び「マスコミに勤めてます」ってだけで、ヤらしてくれる女なんてそうそういねえぜ。ちょっと認識甘いんじゃねえの?


やっぱね、トばし過ぎたと思うんだ。今までのガンダムをブチ壊したかったんじゃないかな。いろんな意味で。そういう意味では「センチネル」に似てるかもしんない。でもその壊しかたがマズかった、と。「センチネル」はトーシロにゃ到底真似できないコトをやってみせて、その上で「ガンダムブッ壊す」つった訳で、だからこそみんなある程度納得してついていったと思うんだ。

でも「G20」は「誰でもできそう(ほんとにできるかどうかは別にして)」なコトをやっといてガンダム壊そうとしたんだな。だからみんな「なーにをエラソウに生意気な」って反発したんだと思う。少なくとも俺はそんな感じ。

これ以上「G20」について書く気はあんまりない。第2号を読んで色々思ったのは事実だけど、けっきょく前と同じこと言うのもつまんないからさ。第3号もたぶん買うけれど、もうネタになるようなことはないだろう。つーか、俺がネタにしたくなるような部分がないことを祈ってる。お願いしますよ。

それにしても「ジオン−選ばれた国民」つー特集組んどいて、「選ばれた国民」について書かれた記事が全くないのはどうした訳だろう。「看板に偽りあり」という言葉が頭をチラチラよぎるのは俺だけだろうか。や、もうどうでもいいことなんだけどさ。


MS冷血地獄に戻る