『服部君銃撃事件』の疑念が解けぬ

『服部君銃撃事件』の疑念が解けぬ

 ひと頃,大々的に報道された日本人留学生がアメリカで訪問先の家で銃撃されて, 死亡した事件だが,その後,折りに触れて話題になる.俺様は,そうした報道の中で ずっと疑問に思っていたことがある.                       それは,被害者である服部君自身についての疑問である.彼は,果たしてまともな 精神状態の人間であったのかどうか? はっきり言えば,もしかしたら,知恵遅れの 部類に属する人間ではなかったのか?                       間違いのない事実として,彼は,拳銃を構えた人間に向かって走って行った.然も 同行していた人間は.その場に留まっていた.つまり服部君は,姿を現した加害者に 向かって独断で突進したのだ.                          一部の報道では,同行者も彼を声で止めたと言い,加害者からも『フリーズ』と, 制止の声が掛かった.拳銃を構える側には,相手の行動を止める意思がある.つまり 構え自体が『動けば撃つ』の意思表示である.                   例えば,相手が警官でも結果は同じである.拳銃を構えた警官に向かって突進して 撃たれずに済むなどと考えてはいけない.幾ら両親が『息子は理不尽に殺された』と 真剣に考えようとも….                             その制止を振り切って,突進して来る存在は,もはやまともな精神状態の人間では ないと判断されても仕方がない.状況は,夜間であり,然も,訪問したおりに,彼は 玄関ばかりではなく裏口にも回ってドアを叩いた.                 夜間,何の訪問の予定もないのに,玄関と裏口の二個所のドアを叩かれた状況で, 中にいる人間の不安を考えてみるがいい.これは,何が何でも中に入ろうとする者の 不穏な意図しか感じられない.                          中にいる妻が夫に向かって,『拳銃を持って来てっ!』と促したのは,かの国では 当然の帰結である.我が知人にも,夜間,酔っ払いに玄関をドンドン叩かれ,思わず 110番通報したと言う人間もいる.                       そういう前提条件があって,拳銃を持って外に出れば,自分に向かって走ってくる 人間の姿を見つけた.『フリーズッ!』叫んでも止まらない.ドアを叩かれた恐怖が 過ぎる….ここで撃たずに済ませられるか?                    俺様には,常軌を逸していたのは被害者である服部君の側であるとしか思えない. それに関連する映像を色々見聞したのだが,服部君の日本に居るはずの学友が一人も 登場しない不思議な現実もあった.                        服部君に関する報道の中で,彼の行動の疑問を解く話として,例えば,スポーツの 上で注意を受けると全力で注意した監督の元に走って,その注意を聞く人間だった. それと同じ行動パターンが,拳銃を構えた人間に向かった….            留学に際して,そうした体育会的な行動パターンに,誰も注意をしなかったのか? この親は,自分の息子の行動には,何一つ反省せず,一方的に拳銃で撃たれた息子の 立場しか考えない.                               はっきり言って,この親が日本に住んでいて,アメリカ社会に向かって,銃追放を 訴える行動パターンも常軌を逸したものである.自分は安全な所に居て,危険地帯に 居る人間に向かって『銃を捨てよ』とは….                    アメリカに対する無礼千万な内政干渉である.息子が無礼千万な訪問の仕方をした 現実を見ようともしない態度に連動するものだ.かの国民が,銃を捨てるか否かは, 彼ら自身の問題で,傍からとやかく言うべきことではない.             例えば,この事件で使われた拳銃が,’44マグナムという強力なパワーを秘めた 拳銃であったことが,過大な防衛反応であるかのようにも言われる.然し,この国の 犯罪者は強力なパワーを秘めている.                       つまり,薬物で痛みが感じない.女を襲って,傘で腹部を突き刺されたというのに それでもめげずに襲い掛かってきたり,38口径の弾丸6発を受けても平然と抵抗を 続ける者も珍しくはない.                            言ってみれば,犯罪者自体がゾンビ化している.そんな実状に合わせて求められる 拳銃も強力になる.俺様自身,ハワイや,グァムの日本人経営の『ワールドガン』で ’44マグナムを50発撃った経験がある.                    反動は確かにきつい.片手で撃てば,ほとんど真上に腕が跳ね上げられる.然し, 命中精度は38口径と変わらない.ハワイで撃った’44マグナムは,引金が軽くて ほとんど標的の中心付近に弾痕が集まった.                    命中精度が変わらなければ,出来るだけ強力な拳銃が欲しくなる気持ちも分かる. ただ,俺様自身,例え,海外に住むようなことになっても,自衛のために,拳銃まで 所持する気にはならぬ.                             射撃はやりたいと思うが,例えば,押し入って来た相手を拳銃で撃ち殺す感覚には 馴染めない….例え,強盗でも,相手を殺してまで自分が生き残る価値が,果たして この世にあるのかどうか….                           何年も前のことだが,タイかフィリピンでゴルフに興じていた日本人が,ボールを 持って逃げようとした少年に向かって拳銃を発射して殺してしまった事件があった. 俺様には,傲慢な日本人の姿をみる思いがした.                  日本人が海外で拳銃を使用して人を撃つ….そんな姿には,何処か違和感がある. 例えば,かの国の市民権を得て,合法的に拳銃を所持したとしても,日本人が自衛の 為に人を殺す姿に,かの国にどんな感情を与えるか?                拳銃を向けられたら,『とうとうお迎えが来たか…』と観念すれば気が楽である. 然し,アメリカ人は,自分の身を守る権利に積極的である.不法侵入者に断固とした 処置をとることにためらいはない.                        然し,それは極めて欧米的な発想で日本的ではない.彼らが日本人に同等の権利が 与えられる現実に抵抗はないのか? 日本人が白人を殺したら相手が強盗でも本当に 正当防衛が認められるかどうか?                         理不尽な訪問をした日本人の側が,アメリカ人に強く賠償を迫った現実を,彼らは 決して忘れないだろう.同じ日本人が,善意の米国人を強盗と間違えて射殺したら, 正当防衛どころか殺人罪になるかも知れぬ.                    日本のマスコミ報道も,俺様流の視点からは見ず,この両親に同情的な報道だけが 流されるだけであった.然し,拳銃を構える人間に向かって,どんなに善意の意図が あろうと,突進すれば撃たれる現実は絶対に変わらない.              不用意な人間の行動に罪がないとするのは,弱者優先の法的な視点で,信号無視の 自転車や歩行者が交通事故に遭っても,車側が悪とされる,日本独特の無法者擁護の 精神に連動するものである. ** 悪魔 **                 ・表紙に戻る