2013年11月の私淑言

 


2013. 11. 30

大沢在昌、京極夏彦、宮部みゆき三氏による、大極宮リーディングカンパニー12を翠條さん、祐さんと。
今回の出色はなんといってもお三方の共演による第二部『オジぃサン』だ。
どうして70過ぎた一人暮らしのじいちゃんが昼食作ってるだけであんなに笑えるのか!
原作もさることながら、芸達者作家ナンバー1の京極さん(だと私は思っている)が本気で笑わせにかかったのだと思われる。
本来は主人公の独白なのだが、それを三人に振り分け、絶妙な間と声のトーンで演じておられた。
是非に、と推したのは宮部さんだそうで、こころからお礼を言いたい。
この公演のあとで原作を読んだら、自然にお三方の声を脳内で再生してしまい、電車の中で吹き出しそうになってしまった。おそるべし。

諸事情で今回から物販やアンケートもなくなってしまったのがちょっと残念。
アンケートがあったら、絶対次回希望に「オジぃサン 恵方巻き編!」と書いたのに(原作にそんな章はありません。)

 


2013. 11. 23

グレイスフルプロデュース『亜雌異人愚(アメイジング)なグレイス』を、すーこさん、祐さんと観劇。
本来ならばマリアさん第6弾『マグダラなマリア〜郵便配達は二度か三度くらいベルを鳴らす〜』、だったはずの公演。
10月末に突然、作/演出の湯澤さん個人の事情とやらで中止が発表され、かわりにグレイス役の津田さんが、急遽作/演出として立ってくださり、マリアさんのキャラクターと世界を、マリアさん抜きで、形にしてファンに届けてくださった。
神戸公演は11月のあたまから。
ひと月もない期間で、脚本を一から作り直し、稽古を付け……。
キャストはほとんど抜けなかったとはいえ、それでも大変さは想像にあまりある。
キャッチフレーズとして使われていた「Show must go on!」は、津田さんはじめキャスト、スタッフ、この公演を形にしてくださった方々の思いだったのだと思う。

また、いつか、できればそう遠くない未来に、舞台の上のマリアさんやグレイス姐さんたちに、会えることを願う。

 


2013. 11. 4

トラック諸島近海で台風30号が発生したらしい。
平成6年(1994年)以来19年ぶりのことだそうな(この年は36号まで発生したらしい)。
観測史上もっとも遅く上陸したのは平成2年(1990年)の28号で11月30日。
最多記録も最遅記録も更新せんで良いので、ここらで打ち止めにしてくれますように。

 


2013. 11. 3

クリネックススタジアム宮城で行われた日本シリーズ第7戦で、東北楽天ゴールデンイーグルスがジャイアンツに勝利して、球団創設9年目にして初の日本一になった。
本当に本当におめでとう。
創設1年目に26−0の最多被得点を記録したり、シーズン通じての勝率が2割台だったりして初代監督の田尾さんが苦労した球団が、たった9年でここまで来ると、当初だれが予想しただろうか。
イーグルスを強くなったのは、間違いなくあの大震災があったからだろう。
あの年、嶋が言った。
「誰かのために闘うひとは強い。」
そうして本当に強くなった。
田中は今季24勝無敗、昨季からの連続勝利も30までのばした。
日本シリーズの第6戦で敗れこそしたけれど、160球を投げて完投した翌日に、志願のベンチ入りで7戦9回に登板して、見事に胴上げ投手になった。
他のどのポジションの記録とも違って、投手の記録は投手だけでは作れない。
だからこれは田中の記録だけれど、イーグルスという球団の記録でもある。
本当に、本当におめでとう。
イ−グルスも、対したジャイアンツも、血沸き肉踊るシリーズをありがとう。

野球が好きでよかったと、心から思う。

 


 

 

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