2004年12月の私淑言

 


2004. 12. 31.

雪の大晦日。
朝から気温が全く上がらず、昼から雪。
東京都心での積雪は3cmというけれど、多分もう少しいっただろう。ウチのあたりでは多分屋根とかに5cmぐらいは積もったはずだ。
大晦日の都心での積雪は1983年以来の21年ぶりだとか。
それでも、夕方には雪も、みぞれも雨も止んで、元日には晴れ間もあるらしい。
荒れ模様の大晦日から晴れた元日へ。
荒れ模様だった行くこの年から、来る年が、天気同様『晴れ』な年であるように、と、少しばかり真面目に祈りつつ。

 

本年は十六夜茶寮を御愛顧頂きありがとうございました。
まったりのんびりなサイトですが、来年もどうぞよろしくお願いします。

 


2004. 12. 30.

午後、中越地震や高松宮妃の死去で延び延びになっていた紀宮と黒田慶樹氏との婚約内定が正式に宮内庁から発表された。
同じ今日、11月18日奈良で7歳の女児が誘拐・殺害された事件の容疑者が逮捕された。
片や素直に微笑ましく喜ばしいこと。
片や、解決に安堵を覚えつつ、還らない命にやるせなさと今さらの怒りが募ること。

 


2004. 12. 29. 初雪。

朝から都内某所へ出掛けた29日。
自宅を出る時も現地に到着した時も冷たい雨が降りしきっていたが、諸々の準備を終えてふと外を見ると世界が白く染まっていた。
初雪。しかもほぼ吹雪。
降るとは聞いてはいたが、まさかここまで本降りになるとは……。
現地でまったりしている時も東西大移動をかましている時もずっと止むことのなかった雪は、結局夜には数cmの積雪になっていたようだ。
やれやれである。
しかし1ヶ月の内に夏日と最高気温ひと桁の日がある12月って、どうなんだろうか一体?

それはさておき。
現地でお世話になった方々、お相手してくださった方々に、心より御礼申し上げる。
楽しい時間をありがとうございました。

 


2004. 12. 28.

10月の地震で普通になっていた上越新幹線が、27日の在来・上越、飯山両線に続いて66日振りに開通。これで全線復旧を果たした。
あれほどの地震のほぼ直撃を受け、脱線しながら1人の死者も出さなかった200系。
今後に備えて検証・研究されるべきことは多いだろうが、まずは復旧におめでとうを。

 

夜、伯母から年越し用の物資が届く。
水菜、じゃがいも、ブロッコリーなどの野菜もたくさん入っていたが、メインは餅。
雑煮用の白餅、砂糖や青のりを入れたもの、ふかしたサツマイモを混ぜこんだものに、きわめつけが鏡餅。
いつもは28日に母や伯母、従姉たちがついた餅+αが30日に届くのだが、今年は日を早めたらしい。別件の準備にばたばたしていたところへ届いて慌ててしまった(^^;)。
餅はそのままにしておくわけにもいかず、切れる硬さのうちに急いで切り分けて、年越しの準備がひとつ、いつになく早く終わる。
で、小腹がすいたので実は手元に今焼いた餡いりの丸餅が(笑)。
年末のばたばたが一段落したら、角餅を薄切りにして乾かして、そのうち揚げてかき餅に……と、『消費方法』を考える毎年この時期なのである。

 


2004. 12. 27. 激甚

26日午前、スマトラ島沖で発生した巨大地震による大津波が東南アジア各地を飲み込んだ。
27日21時現在で被災10カ国の死者は2万を越えたという。
モルディブ。ピピ島。プーケット。
人気のリゾート地が名を列ねる被災地、またボランティアや駐留も多い地域で、死者、行方不明者には多く外国人が含まれている。
震源域面積5万平方キロ、震源の深さ約10キロ。
マグニチュード9.0は、1900年以降で4番目強い。
津波を引き起こした地震の発生から、スマトラ島北部に津波が到達するまで約30分、プーケットに2時間、モルディブまでは3時間半、あったと推測されるが、津波被害の少ない地域だったことと、そこに起因する観測・警戒体勢のなさがこの大被害に繋がったことは想像に難くない。
日本でも新潟で地震が発生したばかり。
今はただ、1人でも多くの方の安全が確認されることを祈るのみである。

 


2004. 12. 21. 『TAPE』

新大久保の東京グローブ座で翠條さんと『TAPE』観劇。
実は東京楽日。(ただしこの後大阪で2日公演があるので『千秋楽』ではない。)
翠條さんが保険で2枚別々にチケットを申し込んだら2枚とも取れてしまって1枚余るというので、もったいないから、とお誘いいただいたのだ。
で、『TAPE』。
登場人物は佐藤敦啓、赤坂晃、小池栄子だけの、90分の3人芝居。
舞台転換も場面転換もほとんどなく、ほぼ会話だけで芝居が進む、テープが鍵のストーリー。
要約すれば
「男ってバカだねぇ」
な話、と言ったら、あまりに身も蓋もないだろうか(笑)。
翻訳劇だからだろう、登場人物の会話や仕種がまさに『アメリカ』で、90分の芝居だが、雰囲気はアメリカからの輸入ものの60分ぐらいのコメディ風味のドラマ、といった感じだった。
それにしても、楽日だからカーテンコールも多少長くて、出演者3人のコメントもあって、なのに終わって会場を出たのは20時30分。
つい
「早いなあ」
と思ってしまうのは、絶対先日の『SHIROH』の影響だ!(ちなみに『SHIROH』はこの頃ちょうど1幕目と2幕目の間の休憩時間。つまり「まだまだこれから」)

 

帰宅後、冬至だから、とゆず湯に入る。
と言ってもわざわざこのためにゆずを買って来る気はないので(だって2つ3つ入れるぐらいじゃ雰囲気出ない……)、代わりに冷蔵庫から常備のゆず酢を取り出しとぽとぽ投入。
そこらへんの入浴剤では味わえない本物の爽やかな香りを堪能しつつ、日本の良さをしみじみ実感したのであった。

 


2004. 12. 18.

某K様のお宅にS様とふたりでお邪魔して、たこやきの会を催していただいた。
S様がたこやきを食べた事がないというのに、前々からK様が
「東京のなんか食べないで! 最初はちゃんとしたの食べて! 作るから!」
と剛毅に仰っていたのだ。
今月、K様が関西から関東へ引っ越していらしたのを機に、それを実行、私が便乗させていただいた、というわけ。
K様のお手になるたこやきは美味だったし、昼前から夕方までずーっと語り尽くせたし。
最遊記仲間の我々なので、K様の旦那様にはさぞ微妙な思いをさせてしまったことだろうと思うと申し訳なかったが、本当に楽しい時間を過ごさせて頂いた。
ありがとうございました、と、ここで御礼。

 

がらっと話題は変わるが、高松宮妃喜久子殿下が、18日朝、亡くなったそうだ。
徳川15代にして最後の将軍、慶喜の跡を継いだ七男、慶久氏と、有栖川宮実枝子女王の次女として生まれ、昭和天皇の弟・高松宮宣仁殿下に嫁いだ。
自叙伝を『菊と葵のものがたり』と題した、公武合体を体現した人が、92年の生涯を閉じた。
御冥福を祈る。

 


2004. 12. 15. 『SHIROH』

帝国劇場で劇団☆新感線の『SHIROH』観劇。
主演に中川晃教、上川隆也を迎え、客演が高橋由美子、杏子、大塚ちひろ、江守徹ほかえっらい豪華。おかげでチケットが取り難いのなんの(^^;)。
翠條さんに取ってもらって無事観劇がかなったのだ。ありがたやありがたや。

ストーリーは天草四郎率いる島原の乱を題材にしたもので、新感線初の「ロックミュージカル」である。
天の御子、救世主と言われ隠れキリシタンのリーダーに祭り上げられる益田四郎時貞(上川隆也)。歌で人を操る力を持つシロー(中川晃教)。ふたりのSHIROHを中心に、乱を目論む四郎の父や姉、キリシタン、豊臣の残党、島原領主、そして不満分子を集め1つにまとめ乱として逆にその先の幕府の磐石をと目論む松平伊豆守と忍びたち。様々な思惑をはらんで、人々はやがて島原の乱へ……
史実が題材なので流れは読めるが、のっけから杏子姐さんのカッコヨサに大喜び。
シリアスな芝居ながら、柳生十兵衛(橋本じゅんさん)や三宅蔵人(粟根まことさん)、板倉重昌(吉野圭吾さん)、松倉勝家(右近健一さん)たちの『笑い』は健在で、ところどころで大笑いさせてもらった。
が、一番笑ったのは実は江守さんだった。
江守さん演じる松平伊豆守に「なにとぞ」と乱平定に先走った大名が寛恕を願う場面で、件の大名を演じた方が歌い出したのがなんとベルばら(「愛ー それはー 激しくー」というアレ)で、ツボにはまったらしい江守さんがその後しばらく台詞が言えなくなったりどもったり、笑いながら台詞を続けたり。必死に真面目に芝居に戻ろうとなさっているのが判るだけに、そのツボのはまりっぷりに、失礼ながら逆についつい笑ってしまった。
音楽も良い。歌も良い。芝居も良い。役者も良い。
それでも、この『SHIROH』を一歩引いたところから眺めていたのは、歌に陶酔して煽ったり煽られたり、宗教のために殉じたり、救世主だとかはらいそ(パラダイス)だとか滅びの美学だとかそんなものに、私が首をかしげるせいだろう。
長時間を退屈させない素晴らしい舞台だったことに間違いはない。

開演18時30分、終演22時15分。途中25分の休憩を挟むがカーテンコールまで入れるとほぼ4時間。長いとは判っちゃいるが平日夜はさすがにキツイですいのうえさん(^^;)。
帰りの電車、下車駅で、『SHIROH』のパンフを抱えたお嬢さんを見付け、危うく声をかけそうになったり、更にバッグに入れてあったパンフをこそっと取り出し「お仲間ですねv」と無言でアピールしそうになったりしたのは御愛嬌。
にしても、シリアスなロックミュージカルをほぼ4時間見た後で、こっそり
「笑い足りない」
と思うあたり、何か間違っている気がするぞ、自分……。

 


2004. 12. 13.

恒例の、『今年の漢字』。
日本漢字能力検定協会が公募、集計して発表するものだが、今年は応募総数過去最多の9万1630票中、2万936票を集めて、

『災』

観測史上最多の上陸数10を数えた台風や、10月の新潟地震、イラクでの人質事件、天災・人災が多発した2004年を振り返れば、予想通りの結果ではある。
2位はブームを反映してだろう、『韓』、3位は『震』、だったそうだ。
3位の『震』は、1995年の『今年の漢字』。
あれから10年の、来年である。

 


2004. 12. 11.

東京芸術劇場小ホール2にて、劇団6番シードの『TRUSH!』を、祐さんと観劇。

「荒野のガンマンも、悪徳保安官も、列車強盗も出てこない!
主人公はゴミの町トラッシュタウンで暮らす三人の未亡人!
ミュージカルでもない、ガンアクションも出てこない
アップビートのリズムに乗せて贈る
ダンス☆ダンス☆ウエスタン!」

というチラシの言葉通り、荒野のガンマンも悪徳保安官も列車強盗も出て来ない。
ガンマンはいるけど弱腰だし、保安官はお人好しだ。詐欺師と荒くれ者はいるけど列車強盗ではないし、そいつら『悪者』だって未亡人3人と町のじーちゃんばーちゃん子供達にしっかり一泡ふかされる。
天然なお嬢様と、長い名前があるくせに長過ぎて覚えてもらえず「ボブ」よばわりされるお人好し青年を軸にして、町の哀しい過去も想いも全部守り切る気っ風の良い3未亡人に拍手喝采。
笑って突っ込んでちょっとハラハラしてじんとして、気持ちよく劇場を後にできる、楽しい2時間15分だった。

 


2004. 12. 9.

案の定と言うかなんというか。
かの国が横田めぐみさんの遺骨だと言って寄越したものは、別人の、しかもどうやら2人の、ものだったようだ。
同じく松木氏のそれも他人のものらしいという。
横田さんと松木氏と、遺骨を使われた少なくともお3方。
あの国に人の尊厳は既にないか。

 


2004. 12. 5. …………12、がつ?

旧暦を持ち出すまでもなくとっくに『冬』なはずの12月の、それも既に5日になろうというのに、東京や埼玉、千葉、群馬の各地で25度を突破して、観測史上初の夏日を記録したそうな。
台風なみに発達した低気圧の仕業らしいが、いくらなんでもやりすぎだろう……。
同じ低気圧は強風による被害をもたらし、北海道では大雪だとか。
そして低気圧の通り過ぎた6日以降は平年並みの気温に戻るらしい。

なんかもういろいろ変すぎてどこに合わせればいいんだか…………。

 


 

 

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