2004年5月の私淑言

 


2004. 5. 29.

27日、イラクでフリージャーナリストの橋田信介氏・小川功太郎氏が襲撃され、お二方と同乗していた現地人通訳氏が殺害されたらしい。
戦地での取材に慣れた橋田氏。
普段なら避けるはずの夕方に、車で移動中に襲われたという。
いまだ遺体は未確認だが、まず間違いはないようだ。
危険を承知で現地に赴き活動している方々を、今、かの地ではほとんど無差別に攻撃している。
銃撃戦の絶える日はなく、また場所を違えても惨劇は起こっている。
お三方はじめ、これまで犠牲になった方々へ、心よりの御冥福を祈る。

 


2004. 5. 25. 『新版 相続法概説』

マウスプロモーション第2回本公演『新版 相続法概説』を、仕事の後、翠條さんと観劇。
マウスプロモーションという名前に聞き覚えの薄い方も多いかもしれないが、大塚明夫、納谷六朗、石田彰、田中敦子、大川透等々連なる名を見れば、知る人は「げ!」と思うに違いない。ついでに大谷育江、岡村明美、氷上恭子、高瀬右光、真殿光昭と並べば更に反応する人が増えるのではなかろうか。
前売りの時に惨敗した上、当日券も上演開始2時間前から(平日だと17時から)だというので、早くても劇場到着が18時を過ぎる私は諦めていたのだけれど、別の芝居を見た時にポスターを見た翠條さんが「当日券を狙う」と言い出したので、「取れたら私も!」と頼み込んだのだ。

ありがとう翠條さん! アタシ今なら君のためなら何でもする!!(←相当本気)

というわけで芝居。
ここからはネタばれで感想を書くので読みたくない方は飛ばしていただきたい。

 

舞台は今から20年ほど前の九州は国東、とある焼酎の蔵本。
裸一貫から会社を興した会長が急死して、さあ葬式だ相続だ、と、親族・社員に故人の友人が加わってただでさえおおわらわなところへ、会長の殺人疑惑に浮気・隠し子出現、問題が続々ふりかかる。
更に会長が会社も土地も家屋も財産全部県へ寄付して無一文で老人ホームへ入ろうとしていた矢先の急死、そこに至るまでの身内とのいざこざが再現されて、会長の回りは大混乱。

という筋書きで、『喜劇』と銘打たれているのだが。

故人はかなり勝手だわ、子供2人は妙に後ろ暗そうだわ、浮気相手と隠し子は好き勝手言って帰って行くわ。
結局故人の浮気相手と隠し子の脅迫まがい(というよりそのもの)の言動に嫌気のさした長男長女がそれぞれ行方をくらまし、会社は競売にかけられ200億の高値がついて、そこで芝居の幕が降りて。
……なんだか落とし切れていないように思うのだ。
もちろん出演者は芸達者、良い演技を見せてくださって、「くすり」だったり大笑いだったり、楽しませていただいたのだが、どうにもストーリーが(^^;)。
故人の言い分にも子供2人の言い分にも浮気相手・隠し子チームの言い分にも、言いたいことがたくさんあって。特に浮気相手・隠し子チームの主張は、見ていて論破したくてしょうがなかった。
なによりも。
浦野御一家の明日は一体どうなったんですか藤田さん!?(←脚本家)

とりあえずみょーに可愛い役を演じる石田さんが東京芸術劇場小ホールなんて近い距離で見られたので、それだけで茶寮主は満足です。

 


2004. 5. 23.

どうしても言いたい一言。

確かに蓮池・地村両御夫妻の御子息5人を日本に連れて来たのは評価はするけれど。
小泉さんて、交渉事下手だよな…………。

 


2004. 5. 18.

週末録画だけして見ていなかった番組を見た。
16日夜のN○Kスペシャル『疾走するロボットカー』。
ロボットと聞いてまずアトムが浮かぶ我々には一見ほのぼのな番組名だが、センサーと人工知能を搭載して自力で走るロボットカーの、開発目的は戦争である。
ロボットカーが疾走するレースの舞台はもちろんアメリカ。
「自国の兵士を犠牲にしたくない」から「戦場にロボットを送り込む」、そのための開発なのだそうな。
自国の兵士を犠牲にしたくないから戦争を止める、という方向に向かないあたりがさすがアメリカ。
そうして開発されるロボットは文字どおり『殺人機』だ。
正義の味方を自ら標榜する国のこれが最先端技術である。
そこに夢はかけらもない。
豊かなはずのあの国の、それは心の貧しさの証ではないのだろうか。

 


2004. 5. 16.

バレーボール女子のアテネ五輪世界最終予選兼アジア予選の、今日が最終・対ロシア戦。
善戦はしたものの、高さとパワーのロシアに押されて全日本のバレーが出来きれず、ストレート負けを喫してしまった。
目標の全勝優勝は叶わなかったわけだけれど。
本番は、アテネ。
今回の負けを糧にして、もっと強い全日本に、なっていただきたいものである。
とりあえず、今は、素晴らしい試合を見せてくれた彼女達に、心からの「おつかれさま」と「ありがとう」を。

 


2004. 5. 15. 『ギブミー・テンエン』

劇団6番シードの第22回公演『ギブミー・テンエン』を観劇。
副題は『昭和29年のクリスマス』で、チラシのキャッチコピーには「半世紀前、今より少しだけ死が身近だった時代。」「鳴り止まない銃声に乗せて、静かで哀しい物語の幕が開ける」と、あった。ここで察知していればよかったのだが、「ま、でもそこは6Cだから」であまり深く考えず、いつもの公演のつもりで見に行ったのだ。
で、感想。
「そして誰もいなくなった」。
知る限り最多出演者数で、知る限りというより間違いなく6C公演中最多の死亡キャラ数。
まあのっけから銃声が響きまくりの殺されまくり。そこまでしなくてもと言いたくなるほどの筋立てで、あまりの救いのなさに、実はちょっと「3時間、2800円損しただろうか」と思ってしまった。
メインキャラのひとり、ガクというのが呆れるほどお馬鹿なトラブルメーカー。「コイツ警察にしょっぴかせとく方が世のため人のためじゃ」とか「いっそ今そこでその引き金を」とか、途中何度思ったことか。
チケット予約の不手際もあって、なんだか後味の悪い、残念な観劇、なのだった。

 


2004. 5. 14. さあ、アテネへ行こう。

8日から行われているバレーボール女子のアテネ五輪世界最終予選兼アジア予選。
今日、日本は、韓国に勝って、現在までの5戦全勝で、アテネ五輪のチケットを手に入れた。
本当は、13日、プエルトリコに勝った時点でほぼ五輪出場は確定していたのだけれど。
でも、昨日の時点ではまだ手控えていたかったのだ。
何でって。
そんなの

韓国に勝って(ここが重要)五輪出場を決めて欲しかったからに決まっているではないか。

ずっとバレーを見続けてきた方々になら、この気持ちは判ってもらえるのではないだろうか。
宿敵だったのだ。勝てなかったのだ。それはもう本当に悔しいくらいにずっと。
それがここに来て対韓国戦は連勝中で、しかも今回に至ってはストレートだ。
テレビで試合を見ている間中、両手はずっと握りこぶしを作りっぱなし、叫びっぱなしで、喉が痛くて声も少々嗄れていたりするが、そんなことはどうでもいい。

4年前はたった1点のために行けなかったオリンピック。
その悔しさを知っている吉原や高橋、竹下がいて、辻が、成田が帰って来て、そうして若手が大活躍で掴んでくれたオリンピックだ。
成田なんて、『成田』と結婚して名前は変わっているが、かつてのエースアタッカー大懸郁久美だ。それがリベロで戻って来たのだ全日本に!
この予選、あと2戦。
是非全勝して、アテネでも手に汗握る名勝負を見せて欲しいものである。

 


2004. 5. 11.

今年最初の真夏日。
観測史上4番目、ここ30年ではもっとも早い真夏日だとか。
……ちゅーか、早すぎ(^^;;;)。
先週は確か最高気温が25度を超えると予想が出ていたにもかかわらず20度ない日があったり、かと思えば翌日晴れて25度を超えたりしていたように思うが。

まだ5月だが、本当に、着るものに迷う2004年。

 


2004. 5. 6. 初出勤。

新しい職場への、今日が初出勤日。
転職するのははじめてで、色々勝手が違うのだろうなと思っていたが、なによりまずのっけから出勤時刻が違う。前の職場がゆるすぎたのだが、ちゃんと早起きしなくては。
さすがに初日からやることはほとんどなくて、コンピュータを起動してソフトを見たりこまごました文房具をもらったりその他雑事で時間を潰し、少し『仕事』にも手を出させてもらって、本日の業務は終了。早々に帰宅して来た。
本格稼動は週明けからになるのだろう。
さて。お仕事お仕事。

 


2004. 5. 5.

立夏。
沖縄では平年より3日、去年より10日早く梅雨入りしたそうだ。
他方、北海道ではやっと今日染井吉野が咲いたという。
毎年のことながら、日本列島の長さを思う。

 


2004. 5. 4.

先月末とこの4日と、2度にわたって伯母と母から春の食材が大量に届いた。
伯母からはタケノコ、グリンピース、インゲン、山菜、キャベツ、ピーマン、キュウリに小夏。
母からは鰺、鰤、セイメイ(と地元で呼ばれる魚)、イカなど主に魚介類。
いずれにも「それは塩してあるからそのまま冷凍して大丈夫。そっちはざっと下茹でして冷凍すれば保存がきくから」とか「鰺は、干物はいいとして、開いたのは塩コショウしてあるのと生のとあるから。生はお刺身用。セイメイもね。イカは生。鰤は塩してあるから。あと山菜も」とか、送り主から指令が飛んで。
おかげさまでここ数日、妙に豪華な食卓である。
冷蔵庫を買い換えておいてよかった、と思いつつ、同時に「絶対前より容量大きくなったなんて言うもんか!」とも、誓いつつ。

 


2004. 5. 1.

ブッシュ大統領がイラク戦争終結を意気揚々と宣言したのは去年のこの日だ。
あれから1年。
情勢は混乱と昏迷を極め、死者の数は『戦争中』を上回った。
戦争をしかけ、フセインを捉えても、狂った歯車は止まらない。
アラビア半島の別の場所ではイスラエルとパレスチナの対立が激化している。
強硬すぎる手段に訴えるイスラエルのシャロン首相を、ジョージ=ブッシュは批判できまい。同じ理屈で攻撃を重ね、戦火を広げているのは他の誰でもない。

そういえば先日イラクで捕虜になった何人かが、自分達はジャーナリストだからあの事件に自己責任はない、と言っているらしい。
極論と言われる可能性を承知で個人的な考えを言う。
危険だから行ってはいけないと言われた場所に行き、怪我をして泣いて帰って来るコドモに対して、優しい言葉だけをかけてやる義理はない。

 


 

 

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