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2003. 2. 27 恐るべしさぬきうどん
先日(ちゅーかこの下で・笑)話題にした、千趣会の『さぬきうどんの会』。
誰か一緒に申し込んで分けてもいい、という人がいないかな、などと思っていたら、職場の先輩が見事引っかかり興味を持ってくれたらしく、翌日会社で
「ねえ、あのカタログ見せて」
と頼まれた。
もちろん否やはない。
いそいそと職場に持参して先輩と2人眺めていたら、丁度通りかかった件の先輩の上司が引っかかった。
食べることの好きな3人である。本来なら現地でしか食べられない、それも名店と名高い店のさぬきうどんだ。心惹かれぬワケがない。
「8食だから、あと1人いれば2食ずつで丁度いいくらいだよね」
当然のように企んだ──あと1人誰か引きずり込もう。
で、速攻で4人目を見つけて。
申し込んでしまいました『さぬきうどんの会』(笑)。
来月から月イチで名店のうどんが届く。
8食を4人で分けて、月々の金額はスタバのコーヒー2〜3杯。
この誘惑には逆らえなかった。
やはり、恐るべし、さぬきうどん。
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2003. 2. 23 恐るべきさぬきうどん
『恐るべきさぬきうどん』という本があるのをご存じの方も多いだろう。
香川のタウン情報誌『TJ
Kagawa』の別冊として生まれたというこの本は、シリーズ5冊を数え、再販・完売続きのものもあるらしい。
この『恐るべきさぬきうどん』を作った麺通団と千趣会が手を組んで、月1でさぬきうどんの名店からその店のうどんがつゆやたれコミで届くというシリーズの販売を始めたらしい。
それぞれの店のうどんの味を損なわないよう苦心に苦心を重ね、冷凍面という形で実現にこぎつけたという、この『さぬきうどんの会』シリーズ。
何がすごいって、このシリーズのために1冊、冊子があるのだ。千趣会。
ページ数は少ないが、協力店1店ごとに1ページを割き、店の様子や麺、つゆの紹介はもちろんおすすめの食べ方を紹介している。
そして、その1店1店の紹介が、普通に読んで面白いのだ。
思わず注文したくなる。いやいっそ現地に飛んでその店で食べてみたくなる。
通販の注文を入れたいのは山々だが、1月にうどん8食が毎月届くこのシリーズ。私には、ちと辛い。
それでもいつか香川うどん巡りをする日のために保存版にしたい、と思わせるこのカタログ。
やっぱりさぬきうどんは『恐るべき』ものであるらしい。
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2003. 2. 20
職場の後輩M嬢は、なかなかの天然さんである。
容姿はもとより話し方もふんわりと柔らかく可愛らしいが、感嘆するのがその耳。
時々、こちらががっくり床に膝を突いて笑い苦しむほどのボケをかましてくれる。
先月のことだが、流れで風邪を引いた引かないという話になって、私が
「私はこの冬まだ風邪の気配もないなぁ。……根性入って丈夫だからな」
と言ったのを、聞き取れずに更にオリジナル変換をして
「え? パックンチョ入った?」
と聞き返してくれた時には、さすがに力が抜けてしまった。
「いや、M。いくら狐がミニサイズでもパックンチョには入らないって」
笑いながら途切れ途切れに友人は突っ込んだものだが、今度はその友人が、M嬢の不思議なオリジナル変換に腰を砕かれる羽目になった。
夕方、丁度ラジオで私が携帯の着メロに使っている曲が流れた時のこと。
件の友人が、自分の着メロが判りづらいと言い出した。
曲はエンヤの『オリノコ フロウ』。確かにテンポはゆったりだし音も低めだしで、着メロとしては聞き取りにくい。
ところが、その曲を耳にしたM嬢が。
「それ、なんて曲ですか?」
「オリノコ フロウ」
答えた私に不思議そうに、問い返してM。
「え? 鬼の子ふくろう?」
──何故そうも微妙かつユニークな変換をするのだM。そして何故敢えて日本語にしようとする? 『ふくろう』というその『く』は一体どこから出るのだ。
何だか「むか〜しむかし」という市原悦子さんの声が聞こえる気がした我々である。
これからも彼女はきっとその耳に仕込んだブラックボックスで不思議に素敵な変換を披露してくれるに違いない。
期待している、と言ったらM嬢に失礼だろうか。
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2003. 2. 17 Part 2
アメリカの対イラク強硬姿勢に世界各地で反戦の声が高まっているが、コイズミくんがなにやら面白いことをお抜かしあそばしているらしい。
曰く、
『イラクが正しいという誤ったメッセージを送らないよう注意しなければならない。戦争か平和かといえば、みんな平和がいい』
どうしたのだコイズミくん。
誰もイラクが正しいなんて言っちゃいない。
ただ、「始めにイラク叩きありき」で白も黒だと言い張りそうなアメリカに、みんなが辟易しているだけだ。
平和がいい。だからみんなが声をあげている。
聞こえていますかコイズミくん?
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2003. 2. 17
先週末、世はバレンタインだったが、ウチの職場にはそれとは無関係に今、やたらにチョコがある。
海外支社勤務で先週一時帰国していた御仁達の置き土産だ。
「お久しぶりです。どうですか最近?」
とにこやかに笑いながら手渡される金色の箱──レオニダス(ベルギーのチョコ)。
にこやかに礼を言いつつ甘いモノの好きな同僚達のところへその箱を置きに行ったら、棚の上には既に先客の白い箱──リンツ(スイスのチョコ)。
プラリネの種類を書いたカードを見ていて、そこから漂う甘い香りすら遠ざけたくなるほど甘いモノが苦手な私には、温い笑みを浮かべたくなる状況である。
……早く食べきってその箱を消してください同僚達よ(TT)。
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2003. 2. 8 bond
渋谷Bunkamuraオーチャードホールで、bondの東京公演を聴いてきた。
bondとは、第1ヴァイオリン担当のEos、第2ヴァイオリンのHaylie、チェロのGay-Yee、ヴィオラTaniaの4人の女性からなるクラシックグループだ。
バックにドラム、ベース、ギター、キーボードにパーカスを取り入れて、小型軽量に作った楽器を手にステージを所狭しと動き、ダンスしながら、クラシックをポップスやロックのように演奏して見せる。
bondの名を知らなくても、車のCMに曲が使われていたりするから、多分鼻歌ででも「こんな曲」と言われれば、判る方は多いだろう。
別に「どうしても聴きたい!」というほどでもなかったのだが、翠條さんに頼まれて参戦したチケット取りで、依頼された過半数が予想外に良い席(2列目とか4列目とか)をゲット出来てしまい、キャンセルするのも勿体ないから、と、行くことに決めたのである。
なので、翠條さんと待ち合わせ、まずは「せっかくだから」と同じくBunkamuraで開催中のメトロポリタン美術館展を鑑賞。キュービズムの絵に「どこをどう見たらこのタイトル」と首を傾げたりしながら、20世紀初頭の画家達の絵が段々と「自分の知る、彼らの絵」になってゆくのを実感として目で知る。
が、70点ほどの展示だったので、1時間ほどで全部見終わってしまい、鑑賞2時間と見ていた予定が狂ってしまった。とりあえず会場を出て、ギャラリーやブックファーストで時間を潰し、それでも時間が余って予定より早めに夕食。なんとか17時半まで粘って、ゆっくりとオーチャードホールへ向かった。
で、本命、bond。
クラシック『コンサート』というより、クラシック『ライブ』と呼んだ方がいいほど、ノリが縦ノリ。ドラムよりも、本来ベース音を担当するべきチェロよりも、ベースギターのビートが大きいのだからそれも当然なのだろう。アジアの音を取り入れたり、アルゼンチンタンゴやビートルズを演奏したり、クラシック曲ありポップスありバラード風の曲もあり。ヴォーカルパートが録音だったり管楽器パートがやっぱり録音だったりカルテットなのにたかが4人でリズムが揃わない時があったり「その演出は余計だろう」な演出があったりとちょこちょこ首を傾げる部分もあったが、約2時間、楽しませていただいた。
一応『クラシック』のコンサートなのにラストやアンコールで聴衆がオールスタンディングで手拍子縦ノリダンスつきなのだから、十分『成功』なのではなかろうか。
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2003. 2. 4 突発小話。
紅尾は朝から寝不足だった。正確には、昨夜布団に潜り込んでからずっと。
寝不足のまま仕事をこなし、残業分も意地で処理して、いつもより少し早めに退社したのは、その寝不足の原因を突き止めるためである。
「ただいまっ!」
勢いよくドアを開け、明かりのついた室内を見る。
視線の先に、同居もののけの清流。ひとりおいた隣りに桜里。
そしてふたりに挟まれて、紺の紬に羽織を纏った小さな子供が座っていた。
あからさまに怯えた顔で、頬には涙の跡がある。
「うっ……ひっく」
堪えきれずに漏れた嗚咽に、さもうんざりと紅尾がぼやいた。
「その子か……」
「みたいです」
苦笑しながら清流が答える。
「なんでまた……」
紅尾がしみじみと呟いて見つめる子供の頭には、ちいさなふたつの角がある。
つまりは鬼の子なのだった。
「昨日の年中行事に怯えたようでの、親御殿とはぐれたそうじゃ」
やれやれ、と、桜里。
「で、昨日から泣きっぱなしか。……どこにいたんだ、屋根裏?」
紅尾がしゃがみこみ視線を合わせて問いかけると、子供は嗚咽まじりにそれでもこくんと頷いた。
「なんでウチに来たんだ?」
立ち上がりキッチンに向かう背中で問いを重ねると、びくっと身をすくめる気配がある。
「怯えずともよいぞ、子供。あれはああいう性格じゃ」
「そうそう、怒ってたら紅尾さんもっと怖いから」
「それはフォローなのか桜里清流?」
「おや、立派なフォローであろうが?」
「はいはい」
軽口を叩きながら戻ってきた紅尾の手には、湯気の立つティーカップがあった。
甘い香りのするそれを、紅尾は子供の前に置く。
きょとん、と目を見開く子供を、
「ホットミルク。蜂蜜入り。あったまるから飲みなさい」
促してまた問いかけた。
「で? 親御さんとはぐれたは判ったけど、なんでウチに?」
ミルクを飲んで気分も少し落ち着いたのか、途切れ途切れに子供は答えた。
「あの……ここは、豆、まいてなかった、から……」
だから、ここなら豆をぶつけられずにすむと思った。
「それに、ぼくらに近い気配もあったし……」
「なるほど。」
納得した3人である。地気の化身も鬼の子も、人外であることは確かだ。
そうして続いた子供の言葉に。
「それに、あの……豆まきしてなくて、変わった気配があるところなら、父さん、ぼくを見つけやすいかな、って……」
「待て。まさかひとりじゃ帰れないのか!?」
「…………うん」
3人揃って呆れてしまった。
「この上親鬼まで来るのか……」
「千客万来というやつかの?」
「……でも放り出すわけにもいかないような……」
「だよなぁ」
相手は鬼の子とはいっても、この寒空の下に放り出すのは良心が咎めてしまうのだ。
──はぁあーっ。
「……すみません」
盛大な溜め息を漏らした紅尾に、子供がぴょこんと頭を下げた。
「…………ま、しょーがないか」
苦笑混じりに紅尾が言う。
「お父さん、早く迎えに来るといいね」
言って頭を撫でた清流に、子供は
「うん!」
と綺麗に笑った。
親鬼が子供を迎えに来たのは、時計が午前0時を過ぎた頃のことだ。
闇に紛れて消える直前、振り向いて共に頭を下げた親子の姿を見送って、どこか楽しそうに紅尾が言った。
「福は内。鬼も、内、か?」
立春を過ぎて季節が春へと向かう、まだ寒い夜の出来事である。
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2003. 2. 1
今年の2月1日で、日本でテレビ放送が開始されてから丁度50年になるのだそうだ。
既に『なくてはならないもの』となっているテレビが、まだやっと半世紀しか経ていないのだと思うと、少し不思議な感じがする。
モノクロからカラーへ、画質を向上させて、なるだけ速く遠くへ正確に。
時間との戦いや距離との戦い、記録と保護、プライバシーと報道の自由・義務、様々な問題を抱えて今に至った50年。
60年目、70年目、100年目の、テレビという名のこのメディアは、一体どうなっているのだろうか。
そう思うと、なんだか、わくわくする。
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