2003年1月の私淑言

 


2003. 1. 29 はじめての確定申告

家を買ったら、翌年春に確定申告しなければいけない。
ついでに、私の場合は住宅ローン控除も適用してもらえるので、その申請も必要である。
本来は自分で必要書類を揃えて税務署に申告しに行かなければならないのだが、ウチは住人がほぼ一斉に入居した新築マンションなので、マンションの管理を委託している会社が税務署員を招いて、記入の仕方や必要書類・事項を説明し、書類の作成まで面倒をみてくれて、ついでに作成した書類を税務署員さんが持って帰ってくれるというので、会社を休んで参加してきた。
正直、助かった。
自分でやって出来ないことはもちろんないが、事前に提出が必要なものは告知してくれるし、記入に際して疑問があればその場で教えてくれるので間違いがない。
説明を受けながら指示に従って書類を揃え、書き込んで、出来上がったものをまとめて袋に入れて「よろしくお願いします」と税務署員さんに手渡すまで、1時間半。
はじめての確定申告はこれで終わりである。面倒ではあるけれど、これも新居にまつわるエトセトラ。自分のものだと思えば楽しい。

午後は夜香さんとデートである。
同じ市内に住んで、前々からお茶しようと言っていたのに、ずっと互いの都合が付かないままだったのが、やっと念願叶ったのだ。
市内某所のアフタヌーンティールームで待ち合わせ、お茶をしながら話すこと2時間。さすがにずっと同じ店に居座るわけにもいかないから、と、我が家に場所を移してまた2時間。話題はもちろん専ら最遊記で、ゼロサム本誌や画集、果ては有栖川有栖の火村サイド『アリス』や『名探偵コナン』にまで、2人でツッコミを入れまくる、非常に楽しい午後だった。

 


2003. 1. 26 『人間風車』

翠條さんと、G2プロデュース企画、後藤ひろひと作、G2演出の『人間風車』を見てきた。
出演は、入江雅人、永作博美、河原雅彦他。
以前公演されたものの再演である。
初演を見た翠條さんがえらく気に入っていて、その再演があるというのでチケットを取ってもらったのだ。
見て、納得。こりゃ再演希望の声もあがるだろう。
前半はコメディだ。主人公の自称童話作家・平河が子供達に語って聞かせる『童話』というのがとんでもないし、その『童話』のキャラクターになりきるサムの行動も、子供達も、平河の恋人で永作演じるあきらも、他のキャラクターも、どこかコミカル。が、そのコミカルだった『童話』と『現実』が、ある出来事を境に一変する。その変化の仕方が、落差が、もの凄いのだ。悪意を凝り固まらせたらこうなるだろうか、というほどに。
そしてラストは、ひどく切ない。悪意と人の心の醜さの塊のような事件は一応の解決を見るけれど、それで残った関係者が救われたのかどうかも判らない。
それでも、事件から20年を経てなお子供相手に語り続ける平河にどこか切ない強さを感じるような、そんな芝居、だった。

が。そんな『いい芝居』でもついついツッコミどころを見つけてしまうのが哀しい私のサガである。
見終わって最初に翠條さんに訊いたのは「で、あきらちゃんどうなったの?」(ラストに彼女は出てこないので、事件後どうなったのか謎のままなのである)。
更にパルコ劇場を出てスターバックスでコーヒーを飲みながら「1億預けられたらどうする?」(作中である主要キャラが平河に同じ事を尋ね、「盗むだろう!? それが人間ってもんだろう」と言うのだ)。
ちなみに2人で出した結論は、「5年10年の長期間だったら財テクやって増やす。1日とかだったら引き取りに来たとき出所訊いて、言えないような怪しい金だったら5束くらい預かり手数料としてもらう」。
こっちのが現実的だと思うが如何だろうか(大笑)。
だが、それら以上にツッコミゴコロを刺激したのが、劇場で配布されたアンケートだったりする。
いくつかある質問の中に「あなたの好きなジャンルは何ですか?」というのがあって、回答の選択肢にはオリジナル劇、翻訳劇、ミュージカル、ダンス・パフォーマンス、歌舞伎等が並んでいるのだが、最後の2つがなんと『ラヴ・レターズ』と『パルコ劇場』なのである。ジャンルか、ジャンルなのかそれは!?
あまりにツボすぎて、ついアンケートを提出せずに持って帰ってきてしまった。

でも、良い芝居だったんです『人間風車』。本当に。

 


2003. 1. 20 結果発表。

先日、実家に、高校の同窓会名簿を委託販売しているという業者から電話があったそうだ、と書いた。
なにやら『明後日までに連絡を』とか母が言われていたようなのでどうなったかと聞いてみた。ら。
案の定、あれ以後何の音沙汰もないそうな。
「やっぱりな」
「何、やっぱりセールス?」
「でしょ。連中あの手この手使うから」
呆れ混じりの私の言葉を受けて、母、宣わく。
「なんだー。おかしいと思ったのよね。娘は今いませんって言ったら、お母さんおひとついかがですか、なんて言うし」
…………をいっ!
そんな怪しいモノ、私の返答待つまでもなく断ってくださいおかあさま(--;)。
相変わらず天然さんな母である。

 


2003. 1. 19

就職試験のために上京なさった居里悠未さんと、翠條さんと3人でデートした。
試験終了が15時過ぎだというので、上野で待ち合わせ、悠未さんご希望の『南太平洋最後の秘境−バヌアツの植物と自然』展をまず観覧。
入館したのが〆切の4時直前であまりゆっくり見られなかったが(何しろじっくりは見なかったのに閉館告知のチャイムまで聞いてしまったくらいだ)、それでもバヌアツの生活様式や歴史、植物相は、興味深いものがあった。バヌアツ共和国はオセアニアにあるのに、日本やアフリカにしか近似種のないものがあるのはどういう自然の悪戯だろうか。
どうせならN○Kあたりで番組に仕立てて欲しいものである。
科学博物館の閉館時間は16時半。が、悠未さんの帰りの便は22時過ぎに東京発。
悠未さんの夕食のご希望はうどんだったのだが、上野近辺でうどんの美味しい店を私も翠條さんも知らない。17時では夕食には早いし、何よりそんな時間に夕食になだれ込んでしまったら間が持たない。結局ちょっと山手線で2人を私のテリトリーに引っ張り込み、いつもの喫茶店でお茶をすることにした。
クロテッドクリームの添えられた、新メニューのアプリコットブレッドは絶品でした(^^)。
1時間ほどその店にいて、次に本格的に夕食へ。狙い当初の『うどん』から一転無国籍料理に変更して、やはり私の好きな店へ。和洋中華にエスニック、酒の種類も多ければソフトドリンクも中国茶もそれなりに供するこの店は、お酒抜きなら結構食べてもせいぜいがとこ2千円で、使い勝手がとても良いのだ。
水槽のスッポンやアロワナたちの居場所争奪戦を飽きず眺めつつ食べて話して、それでも時間はやっと20時。
いつまでも居座るわけにもいかないので、東京駅に場所を移し、コーヒーを飲みつつ話せば、それでも別れの時間はすぐに来た。
あっと言う間の数時間。
次はもっとゆっくりした日程でいらしてほしいものである。

 


2003. 1. 18

通勤時間が長くなったお陰で、通勤電車で読書をするようになった、と書いた。
その時まで気付いていなかったのだが、そこに大きな落とし穴があったことを、身を以てしってしまった。
ここ数日の電車の友は浅田次郎氏の『椿山課長の七日間』だったのだが、これがいけなかった。
あらすじと1章目の感じでつい「大丈夫」と踏んでしまったが、浅田氏の本は小説であるとエッセイであるとにかかわらずおしなべて『電禁本(電車内等人前で読むのは止めた方が得策な本)』だったのだ。危うく帰りの電車の中で吹き出してしまうところだった。
なんとかその場は乗り切ったが、これをそのまま通勤の友にするのは危険である。必死で笑いを堪えて肩を震わせた3分後に今度は涙を堪える羽目になる。
が、この本を読破した後にすぐ読める手持ちの本はなく、次に図書館から届きそうなのは、ご存じの方はそりゃもうよくよくご存じだろう『三千世界の鴉を殺し』、なのである。
……人前で読めるワケがねぇ…………(大汗)。
慌てて図書館に出向いて別の本を借りたので、どうやら事なきを得そうだが、危うく『アブナイ人』として混んだ電車の中に空きスペースを出現させるところだった。

 


2003. 1. 15

高校の同窓会名簿を委託販売しているという業者から、実家に電話があったそうだ。
曰く、せっかく作った同窓会名簿が売れなくて困っているので買って欲しい。
そういえば1年以上前に、同窓会名簿を作るから現住所を教えて欲しい旨の文書がやはり実家に届いたというので、母にとりあえず実家の住所で提出してもらっていた。
が、それ以降、名簿が出来たという連絡もなければ購入希望を募る文書も回って来た覚えもない。
なのに電話をかけてきた御仁は、「〆切が明後日なので早く回答して欲しい」と言ったのだそうだ。急ぎなので出来れば明後日までに電話して欲しいと、フリーダイアルの番号まで告げて電話を切ったらしい。
が。
…………ちょいと怪しかないですかおかーさま。
電話番号を言ってくれようと母はしたが、
「いや、いいから」
と止めさせて、ついでに
「返事もしなくていいからね。催促の電話がかかってきたら、断って。連絡取りたいのとは名簿なくても取れてるから」
と、釘を刺した。

疑わしきは、切れ。
とりあえず『お約束』ではなかろうか。

 


2003. 1. 12 オトナの感慨

毎年1月に行われる都道府県対抗女子駅伝、今年の開催は今日だった。
中学・高校・それ以上からそれぞれランナーを出すこの駅伝、中学生は2年生以上でなければ出場できない、という規定があるのだが。
この駅伝にとうとう出てきた。
平成生まれのランナーが。
思えば既に平成も15年。元年生まれの子供が今年中3になるのだ。
「早いなあ」
などと呟いてしまうのは、やはりオトナの感慨だろうか。

 


2003. 1. 11

北朝鮮がNPT(核不拡散条約)からの脱退とIAEA(国際原子力機関)からの離脱を宣言したそうだ。
NPTの成立過程やその趣旨には少々文句がないでなないが、それとこれとは別である。
何を考えているのか北朝鮮首脳部、何を考えているのか金正日。
我が儘な餓鬼のだだを通してやる義理はないが、かかるものは世界だ。
さあ。どう出る?

 


2003. 1. 7 新居の効能・2

今の家に引っ越して通勤時間が長くなり、健脚になったらしいと以前書いたが、どうやら新居の効能はまだあったようだ。
通勤時間が長くなり、電車に乗っている時間も長くなって、その分帰宅が遅くなったため、自宅で本を読む時間が短くなった。
で、世の本好きで通勤時間の長い方々に倣って、私も電車で本を読むことにした。
手始めは短めのハードカバー。
次に手を出したのが、宮部みゆき女史の『模倣犯』。
これを電車に乗ってから降りるまでずっと同じ手で持ち続けた時点で気付くべきだったのだ。
気付かないまま上下巻を連日電車で読み通し、気が付けば二の腕が硬くなっていた。
心なしか手首から肘までも太くなっている。
どうも筋肉が鍛えられているようなのだ。
ひょっとしたら握力も強くなっているかもしれない。
駅までの距離が延び歩行距離が延びて心肺機能と脚力がアップ。通勤電車で読書して腕力が、アップ。
日々是鍛錬、というところだろうか。
……安上がりでいいじゃないか。

 


2003. 1. 1

親父殿の病名発覚、いきなりのマンション購入、引っ越し、親父殿の葬儀等々、「もういい」というくらい色々あった2002年が暮れ、新しい年がやってきた。
今回も、ただし今度は新居で、翠條さん、祐さんと一緒に年越しである。
だらだらと食べ、飲み、話し、本を読み(笑)テレビを見つつ時間を過ごして、年が改まってから見たビデオが『最遊記サマーイリュージョン2002 メモリアルビデオ』。買ったはいいがつい見そびれていたのを、ネタとして一緒にツッコミ入れつつ鑑賞したが、懐かしくも楽しいシロモノだった。
夜が明けてからは、玄関先から取ってきた自家製椎茸(笑)入りの雑煮を作って少しだけ新年気分。その後また『最遊記サマーイリュージョン2002 メモリアルビデオ』(昼の部と夜の部でビデオが2本あるのだ)、見終わって後、今度は劇団☆新感線の『踊れ! いんど屋敷』を見る。
新感線の芝居はライブで見るのが楽しいけれど、こうしてビデオでみんなでツッコミを入れながら見るのもまた楽しいものだと思った3時間だった。

が。
この期に及んでもまだ年が改まった気がしないんですが、一体どーゆーコトでしょう(^^;)。

とまれ。
とろとろとしか更新しないこんなサイトではありますが、昨年中のご愛顧を感謝いたしますとともに、本年も変わらぬご愛顧を、と、お願い申し上げる次第の茶寮主でありました。

 


 

 

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