2002年4月の私淑言

 


2002. 4. 28 奇跡の詩人

28日放送のNHKスペシャルは、自力では歩くことはおろか呼吸すら思うに任せない重い脳障害を持ちながら、詩などを発表している11才の少年を追ったドキュメンタリーだった。
両親の助けを借り、文字盤を指し示すことで綴られる少年の言葉は、自在である。
年齢も時間も空間も飛び越える。
1日のほとんどをリハビリに費やし、わずかな文章を綴るにも全身の力を振り絞りながら、それでも書きたいのだと少年は言う。
年齢も障害も関係ない。
それほどまでに生み出したいものを持つ彼は、間違いなくひとりの作家である。

 


2002. 4. 24

コイズミくんたちが国会審議に持ち込んで、いくつかの法案を成立させようとしている。
有事関連法案も気になるが、もっと気になるのはメディア規制法案だ。
個人のプライヴァシーは守られるべきだ。人権は擁護されるべきだ。青少年は有害な情報から守られるべきだ。
どれも正論である。
実際、メディアの行動に眉をひそめることも多い。
だが、そのメディアが不正を暴き犯罪を白日の下にさらしてきたこともまた、事実だ。
功罪はある。判っている。
それでも言いたい。

古来、国家がマスメディアを規制して、ろくなことになった例しはない。

 


2002. 4. 15

八王子で最高気温が30.2度を記録し、1957年から実施している市の観測史上最も早い真夏日となったそうだ。
東京都心でも28度を突破して、1988年以来の4月の最高気温記録更新となったとか。
「まだ4月半ばなんだぞ判ってるか?」
と、ナニかに向かって問いかけてみたくなるのは私だけだろうか。

 


2002. 4. 8

今朝、職場のキッチンでちょっと我が目を疑うくらいに大量の、とあるモノを見つけた。
爪楊枝。
モノはキッチンにあっても珍しくないだろうが、数が普通ではなかった。
1350本×3箱。
……誰が使うんだそんな大量に……?
……つーか、誰だそもそもこんな大量に買い込んだのは?(^^;)

何度も言うが、ウチの会社はレストランでも食材関係会社でもなければ、業務内容にケータリングも、含まれません。あしからず。

 


2002. 4. 2

通勤電車の車内広告に、とある学習塾のものがある。
小・中学生レベルの国語や数学、理科の問題を車内に掲示する、という、暇つぶしにはちょっといい感じの広告。
1ヶ月ほどのサイクルで問題の変わるその広告が、実は先日来気になっている。
今掲示されているのは、国語。問題はだいたい以下の通りだ。

次のア〜オの( )にあてはまる言葉を選びなさい。

ア)一目( )
イ)一服( )
ウ)一芸に( )
エ)一計を( )
オ)一丸と( )

答えはもちろん言わずもがななのだが、どうもこの問題自体が気になるのだ。
最初が『一』で始まるものを集めたかったのだろう、とは、思う。思うが──
何故、『一服』!?
勘繰ってしまいたくなるのだ。
問題を考える時、出題者の脳裏には、こんな一連の文章が浮かんでいたのではないか、と。
つまり

『周囲に一目置かれるほど一芸に秀でた連中が、一丸となって一計を案じ、一服盛る。』

………………仕事人っ!?

そんなはずはないと思いながら、ついつい「一服盛られるのは誰なんだ」とか、「そこまでされるほどのどんなコトをしたんだ!?」とか、「一服盛ってどうするんだ」とか、考えてしまうのである。

 


 

 

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