2002年3月の私淑言

 


2002. 3. 28 2002年、夜桜の宴。

今年もこの日がやってきた。職場恒例、夜桜の宴。
今年のメニューは、ちょっと豪華だ。
いつものおでんと豚汁に加えて、後輩手作りのちらし寿司に、バーベキューコンロを現地に持ち込んでの炭火の網焼きまで準備されている。
仕事で少し遅れて7時前に現地に着いたら、花見の宴はもうすっかり盛り上がっていた。
仕込むものは前日から仕込んでいたため、おでんの具にも豚汁の具にもしっかり味が染みこんでいる。ちらし寿司は青ジソの香り爽やかな良い味で、焼き網の上ではネギ、ホタテ、ピーマンに鳥もも肉、皮、つくねの焼き鳥が、香ばしく焼き上がっていたし、鳥がなくなったと思ったら、突発的に買ったという鮭はらすや魚(おそらくはブリだと思われる)のカマまで飛び出す始末。
盛りは過ぎたが桜は見頃。
バーベキューコンロのそばにいれば、炭火のおかげで暖かい。
時々舞い散った花びらが豚汁のお椀や飲み物を入れたコップに舞い込んだりもして、美味しく楽しい宴だった。
私は早めに切り上げて先に失礼してきたのだが、電車の中でふと気付いた。
……バーベキューコンロのそばにいたせいで、自分のカラダから、香ばしい美味しそうな匂いが……。
同じ車両で近くに乗り合わせた仕事帰りの方々は、さぞかし食欲を刺激されたことだろう。
結局何時にお開きになったのか知らないが、同僚・先輩や上司方も、帰宅に際してきっと周囲に同じ思いを抱かせたのに違いない。
ウチの花見は、今年もかくも美味だった。

 


2002. 3. 24 旅の仲間と西の友

日曜だというのにいつになく早起きをした。
『Load of the Rings』を見るためである。
3部作の第1部なので、原作を知らない人には「これで1年待てってかー!?」と言いたくなるようなところで終わっているが、原作を知っている人間には、「よくここまで雰囲気を損なわないで作ったなあ」と、感嘆が先にこぼれるほどの出来。
主人公のフロドが妙に若くて可愛らしいのはどうだろう、とは思うが、ガンダルフもアラゴルンもレゴラスもギムリもキャストがはまっていて嬉しかった。
私の好きな、トム=ボンバディルとの場面がなくなっていたのは残念だけれど、ただでさえ3時間の長丁場なのだから、これは仕方がないのだろう。

その後、関西から出張で東京にきているMさんと久々に会う。
お昼を食べながら2時間話し、場所を変えてまた2時間。
それから、新居のために家具を眺めたい私の希望で、無印良品や丸井 In the Roomを見て回った。
1人だとちょっと見辛いが以前から興味はたっぷりあった家具売り場だけに、2人してベッドに座ったり寝転がったり、カーテンを見たり、ソファに座ってクッションや背もたれを確かめたり。展示されている限りのソファに座って、気に入った2つが両方20万を軽く越える、展示物中最高価格の部類に入る品だった、というのには、顔を見合わせて苦笑してしまった。
ソファには金をかけろ、という、これはナニかの啓示だろうか。
In the Roomを出て、軽く夕食を取りながら、話すことまた4時間弱。
軽く飲み、良く食べ、更にもっと良く話して笑った日曜日だった。

 


2002. 3. 21 天保十二年のシェイクスピア

翠條さん、祐さんと、『天保十二年のシェイクスピア』を見てきた。
井上ひさし作、鴻上尚史企画監修、いのうえひでのり演出、主演・上川隆也、沢口靖子、古田新太。
13時30分開演、17時15分終演。25分の休憩を挟んで延々4時間の長丁場である。
タイトル通り、シェイクスピアの名作の数々を下敷きに、組み込み焼き直し井上氏オリジナルのストーリーも加えてのシナリオで、大音量のステージ音楽も満載である。
が。
正直に言う。
長かった。
名作の数々を織り込みすぎて、結局何だったのか判らなくなってしまった感がある。
ストーリーがないならないで『轟天』のようなバカ話ならいっそ気持ちよく笑えるのだが、シェイクスピアの悲劇が混じるために、それも出来ない。
沢口靖子は美人だが、あの人は、はすっぱに啖呵を切る役どころには向かないだろう。
メンバーは豪華だが、妙に不満の残る芝居、だったように思う。

 


2002. 3. 20

今日、職場に新顔が登場した。
午後、なにやら人が集まって話す中心に、それはいた。
新しく職場に仲間入りした、その、ものは。

バーベキューコンロ

炭火を起こした上に、鉄板や網を乗せて肉や野菜を焼く、足付きの、アレである。
…………買ったのか、アナタ方…………。
同梱の取り扱い説明書にはこうあった。
『屋内では使用しないでください。』
炭火を使うのだ。当然ながら、屋外用である。
思わずその場にいた購入者ご一同様に問いかけてしまった。
「これって、まさか、花見用……?」
答えはにこやかに返された。
「うん」
………………そこまでするか、フツー? いや、普通じゃないけどウチの職場。
見つかったら警備の人に怒られるんじゃないのか。
今年の花見はどうなるのであろうか。
心配な反面、実は密かに楽しみでもある。

 


2002. 3. 15

東京で、春一番が吹いた。
と、思ったら、福岡と、宇和島と、静岡と、横浜で、今日、桜の開花宣言が出たそうな。
福岡は昨年より7日、平年より11日早い開花だそうだ。
去年の私淑言を見返してみると、なるほど2001年最初の桜の開花宣言は、宇和島と高知の3月21日である。
横浜と静岡では、観測史上最も早い開花、とのこと。
今年の春は、いつにも増して早く訪れたようである。

 


2002. 3. 14

最近のプロジェクトXがちょっと不満だ。
先週は富士山レーダー、今週は、青函トンネル。
どちらも以前放送したものの再放送を、それと明記せずに放送している。
富士山レーダーは懐かしの、プロジェクトX放送第1回。
当時この番組を知らなかった方々や、「また見たい」という方々からのリクエストが多いのかも知れないが、初回からずっと見ている身には、これはちょっと姑息に映る。
再放送をするなら、いっそ『リクエストにお応えする○回シリーズ』とでも言えばいい。
好きな番組だけに、惜しいと思う。

 


2002. 3. 9

祐さんと2人で、日生劇場で公演中の『ありがとうサボテン先生』を観劇してきた。
原作は、宮部みゆきさんの作品の中でもとりわけて好きな作品のひとつ、『サボテンの花』(短編集『我らが隣人の犯罪』収録)。要の教頭先生をいかりや長介さんが演じ、他に北村総一郎、佐藤アツヒロ、濱田マリ、篠原ともえの名が連なるというので、どんな芝居になっているのか楽しみにしていた。
で、感想、なのだが。
いかりやさんはさすがの芝居だった。北村さんの演技もよかった。佐藤アツヒロも子供たちも他のキャストも頑張っていた。が。
正直、余計な演出、余計なエピソード、余計な遊びが、多かった。
原稿用紙40枚ちょっとの原作を3時間弱の芝居に仕立てるのだから、もちろん話をふくらませることは必要だろう。だが、それでも、私には、いらない部分が目立ってしまった。
率直に言わせてもらうと、冒頭部分はじめ随所に織り込まれるアクロバティックなダンスは邪魔だ。教頭以外の教師もPTAも類型的に過ぎはしないか。主要なエピソードのひとつとして挿入されたらしいとある一家の家庭の事情も、私にはウザいだけだった。暴言と承知で言わせてもらえば、そもそも主要キャラのひとりである、篠原演じる『しずく』の存在そのものが、無駄であるように思えてしまった。
これは、あくまでも原作を知っていて、しかもその原作がとりわけ好きな私の感想である。
原作をご存じない方々の感想は、違うものになるのだろうと、そう思う。多分。

 


2002. 3. 7

この間から気になっていることが、実はある。
最近流れている某英会話学校のCM。

『日本語を話す アメリカ人
 英語を話す 日本人
 日本語を話す イタリア人
 イタリア語を話す 関西人
 関西弁を話す 宇宙人』

って、あのー。
つかぬことを、伺いますが。
日本人と関西人、日本語と関西弁は、別枠……なのかっ!?(大笑)

 


2002. 3. 3

3月3日、である。
気が付けば、この茶寮を開店させてから、丸3年が経っている。
こんなこぢんまりした茶寮でも、まあ、何度かいろいろあって、「いっそすっぱり閉めてやろうか」と思ったことも実はあったが、それでも、ここが今もあるのは、とろとろとしか更新しないこんな小さな茶寮でも、おいでくださる方々がいるからだ。
だから、いつも言うことではあるけれど、何度でも私は申し上げる。

 

いつもお運びくださってありがとうございます。
ちいさな茶寮ではありますが、今後とも、どうぞよろしくお願いします。

 


 

 

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