2002年2月の私淑言

 


2002. 2. 21

朝出勤したら、ゴーッ、ゴーッ、と不思議な音が響いていた。
音の発信地は、給湯室である。
とりあえず荷物を置いて、紅茶を淹れにいってみた、ら。
キッチンに、大きなバケツが鎮座ましまし、その中で。
──タオルが、ぐるぐる回っていた。
自分が何を見たのか一瞬判断をつけかね、本部長に訊いてみた。
「……本部長。アレ、何ですか?」
本部長、答えて曰く
「ああ、あれ? 洗濯機。」
すすぎの時の水の取り替えや脱水は人がやらなくてはならないが、バケツの下にモーターがついていて、とりあえず『洗う・すすぐ』の作業だけは出来る、簡易洗濯機であるらしい。
「…………買ったんですか」
「うん。」
まあ、確かに、キッチンのタオル数枚とはいえ、手で洗うのは大変だけれど。

それにしても、ウチの職場、生活用品が増えてゆくなあ(^^;;;)。

 


2002. 2. 18

オリンピックがなんだか不穏だ。
開会式もアメリカ主義に染まった感があって、個人的にいまひとつ、だったのだが、フィギュアスケートのペア決勝では判定に疑惑が出て『2組の金メダリスト』などという不自然な事態になるわ、スピードスケートのフライングや走行妨害の判定にもかなり不審なところがあるわで、どうにも素直に感動できない。
もったいない、と、しみじみ思う。

 


2002. 2. 13

多事拾遺掲示板でも報告したが。
マンションを、買う。
2日にモデルルームを見に行って、立地と間取りと設備と価格にほとんど一目惚れ。
他社のマンションと比較してどうこうというのではなく、本当に自社物件の設備を丁寧かつじっくりと説明して『良さ』を話す営業さんの誠実な対応もあって、心の中ではもう2日のうちに「買おう」と思っていた。
9日に正式申し込み。11日に、申し込みが重なったため、抽選。ラッキーにもスライド当選して、12日夜売買契約に関する重要事項の説明を受け、13日、売買契約を結んできた。
住宅金融公庫と提携銀行ローンの認可が下りれば、あとは内覧会を経て、物件の引き渡し、そして、引っ越し、となる。
職場の友人は
「これで借金持ちだね」
と言ったが、私に言わせれば、月々支払っていた家賃がローン返済と名を変えるだけのことだ。
引っ越しは、秋。
晴れて私は名実共に一国一城の主となる。

さあ、どんな城にしようか。

 


2002. 2. 7

職場でびみょーな話を仕入れた。
先輩とのいつもの軽口の続きで
「オレ、狐ちゃんのためだったら何でもするよー?」
「わーい、ホントー? んじゃマンション買ってv」
とこんな話になった時。先輩がふと思い出したように言った。
「そーいやさー、知ってる人で、愛人にマンション買った人がいるぞ」
……愛人、に、マンション。
普通に考えれば、あまり誉められたことではない。
が、かの新解さん(新明解国語辞典・私が参照したのは第4版)も、『よりどころ』の解説文中で心のよりどころの具体例として「具体的には、生き甲斐を 与えるものとしての宗教・愛人・家庭・研究や、自分を高めるための将来の目標など を指す」と、家庭よりも先に挙げてあるくらいだ。この際普通の考えは脇に置いて、私はただ
「ほお」
とだけ返した。
ところがだ。話はここで終わらなかった。にやりと笑って先輩は続けた。
「でね」
「うん?」
「この話、オチがあってね」
「……どんな」
問いかけた私に返った言葉はこれだった。
「そのマンション、ローンなんだ。」
「……………………。」
愛人に、マンション、でも、ローン。
太っ腹なんだかナサケナイんだか、なんともびみょーな御仁である。
『ちゅーか、そこまでして愛人持たなくても』
と思うのは、それは私が女だから、って、ワケでもきっとないだろう(笑)。

 


2002. 2. 3

節分。
恒例行事で、各地の寺社で著名人が豆まきする図がニュースで流れた。
中でも異彩を放っていたのが、東京・日野市の高幡不動。
豆をまく『有名人』の、中にいたのだ──キティちゃんが。
いや、まあ、有名だが、それにしたって、キティちゃん(もちろん着ぐるみ)に豆まいてもらって果たして嬉しいもんだろうか。それともそんなに人材不足だったのか。
名が売れてさえいりゃなんでもいいのか、と、ふと思った今年の節分。

どうでもいいけど、これをCMを挟んで流したザ・独占サンデー。
CM前には「今年の豆まきには、こんな方が」と顔のパーツだけ(つまり目・鼻・口だけ)にモザイク入れて引っ張ったが、意味ないだろうそのモザイク(苦笑)。

 


2002. 2. 1

昨日の話になるのだが。
仕事中、ちょっと目が疲れて眠くもなったので友人の肩を揉んでいたら(関連がないように思っても深く追求しないでください・笑)、先輩がちら、と私を見て、突然
「肩の骨がずれて痛い」
とこんなことを訴えた。
(……そんなコトいきなり言われても)
思った私はすかさず返した。
「接骨院行けよ」
すると目の前の友人がいきなり吹き出したのである。
何事かと思ったら、笑いながら彼女が言った。
「優しい言葉かけてほしかったんじゃないのー?」
……そうなのか? それは悪いことをした。間髪置かず切って捨ててしまった。
だが、もしもそうなら、明らかな人選ミスだ。そんなことも判らないほど、短いつきあいでもあるまいに。
後で本人に確認したところ、本来彼が意図していたのは
「いや、狐(仮名)だったらずれた肩の骨も治せるんじゃないかと思って」
ということ、だったらしい。
が。
そんなこと、余計に無理です先輩っ!(^^;)

 


 

 

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