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2001. 9. 29
松屋銀座で10月8日まで開催の『オペラと美しき女性達展〜ルネサンスからローマのオペラへ〜』を、またしても翠條さんをお相手に(笑)、見てきた。
中世・ルネサンス期イタリアの美術品や資料をはじめ、肖像画に描かれた女性達のドレスや宝飾品の再現品、実際にオペラで使われた衣装や宝飾品、デザイン画など約200点を展示してあるものだ。
まず展示場にはいると、16世紀のドレスを身にまとったマネキンが出迎えてくれる。ガラスケースの中ではなく、ちゃんと椅子に座って。進むと
歩を進めると、ルネサンス期の風俗や人々の衣装、簡単な店の様子などが解説つきで再現されていたり、肖像画の中の貴婦人の衣装が再現されていたり。
さすがに手は触れられないが、衣装の構造や布の様子、ドレーブの様子や重厚感などが、本当に手に取るようによく判る。
「脱がせて構造を見てみたい」と思わないでもなかったが、それでも、ガラスケースに収められて正面しか見えないよりはずっとずっと、『ドレス』としての質感を、見る側に伝えてくれた。十二単に負けず劣らずルネサンス期の宝石をちりばめ意匠を凝らしたドレスは重そうだったが、こればかりは実物を見ないと判らない。本当に、収穫、だったのだ、私には。
他にも、オペラで使われた衣装が、当時のものから現代のものまで多数展示してあって、そのデザインの移り変わりも見て取れる。
中世イタリアを代表する名家の簡単な紹介や家系図、ドレスの再現工程のビデオ放送や、オペラのあらすじ紹介などもあって、判りやすく見応えのある展示会だった。
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2001. 9. 22 いのうえ歌舞伎『大江戸ロケット』
劇団☆新感線とホリプロが組んだ『いのうえ歌舞伎 大江戸ロケット』を見てきた。
ご一緒したのは翠條さんと祐さん。
なにしろ私はこのお二方から新感線の面白さを教えてもらったのだ。
今回も祐さんにお誘いいただき、チケットの手配もお願いしての観劇だった。
8月の大阪公演の真っ最中に、主役のいしだ壱成が麻薬取締法違反で逮捕される、などというとんでもない事態に見舞われたこの芝居。
どうなることかと思ったが、でも、急遽代役に立った山崎裕太は、頑張った!
稽古期間の短さをまるで感じさせない台詞回し、ダンス、歌。共演者との息も合っていて、安心して楽しませてくれた。
肝心の芝居そのものは、そこは流石の新感線。
「月まで届く花火を作って」
ここから始まる『大江戸ロケット』は、新感線ならではの気持ちよいほど体に響く音はもとより、ストーリーもテンポよく、笑わせながらじんともさせて、20分の休憩を含めて3時間半、まるで長さを感じなかった。
本当に、新感線の芝居は、生に限る。でなければこの楽しさは感じきれない。
誘ってくれたお二方に感謝することしきりなのである。
ちなみに。
事前情報通り、おひょいさんこと藤村俊二氏は、あらゆる意味で飛び道具でした(笑)。
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2001. 9. 15 ガラスの歴史とアディエマス
9月14・15・16と渋谷
Bunkamuraはオーチャードホールで来日公演を行うアディエマスのコンサートに、翠條さんと行ってきた。
メインはそれだったのだが、「ついでに」と、サントリー美術館で9月24日まで開催中の『ガラスをめぐる4つのアプローチ 技法で見つめる西洋と東洋の名品展』も見に行くことにして、赤坂見附で15時に待ち合わせ。
お互いちょっと遅れたが、15時15分くらいに無事落ち合って美術館へ。
『ガラスをめぐる4つのアプローチ』とは、ここではガラスを整形して装飾を施すための技法を指していて、「吹く」「彫る」「描く」と……えーと何だっけ(←おい・^^;)(『刻み込むでした。)
とにかく古くは16世紀のドイツの日常使いのガラス器から、ヴェネチアングラス、ボヘミアングラス、江戸切り子や薩摩切り子、中国乾隆帝時代のガラス器やエミール=ガレの作品まで、その時代や装飾技法で分けられ展示されている。
ガラスの成分に何が含まれているとどんな色になるのだとか、ヴェネチアングラスの装飾技法、レースグラスや、脚の部分に色糸のようにカラーガラスを入れるやり方、『切り子』の作り方などなど、それぞれの作品についている説明書きまでじっくり堪能させていただいた。
ただ、パネルにしてあった、ガラス工芸に関する用語の解説も、プリントにして配ってくれたら嬉しかったんだけどなぁ……、と、言うのはワガママか(苦笑)。
閉館時間までサントリー美術館にいてから渋谷に出て、早い夕食を摂って、6時半にBunkamuraへ。
アディエマスのコンサート。本日のメインである。
1999年から2001年までN○Kで放送された、N○Kスペシャル『世紀を越えて』シリーズの、テーマソングを担当したのがこの、カール=ジェンキンス率いるアディエマスだ。
弦楽器を中心にリコーダーやクラリネットなどの管楽器、たくさんのパーカッションを織り交ぜたオーケストラと、女性10人ほどのコーラス。これらすべてで『アディエマス』が構成されている。
コーラスと言っても、歌われる言葉は『アディエマス語』。歌声も楽器の一つで。
どの言語にも属さないそれに、どんな想いを重ねて聴くのも、聴衆の、自由だ。
来日すると聞いて、先行発売で撃沈し、一般発売でゲットしたチケット。
初めて生で聴いたアディエマスの音楽は、とてもとても素晴らしくて気持ちよかった。
曲がバラエティに富み、迫力満点なのはもちろん、演奏者も茶目っ気に溢れてなんとも楽しい。
パーカスの兄さんは事あるごとに客席に手を振ってアピールする。コーラスの女性陣がなにやらぴょこぴょこ飛んでいるから何かと思えば、曲に合わせてのダンス。
とても楽しそうに音を奏で、とても楽しそうに歌うのだ。
19時過ぎに開演して、アンコール2曲が終わる頃には22時近くなっていた。
リコーダー担当のパメラ=トービー女史が11日のテロの煽りで来日できず急遽代役が立っていたり、第2部の予定を一部変更して追悼のための曲を演奏したりと、あの同時多発テロはここにも影を落としていたけれど。
それでも、充実して幸せな1日、なのだった。
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2001. 9. 12 ツインタワーよ永遠に
9月11日、ワールドトレードセンターやペンタゴンが、ハイジャックされた民間旅客機の衝突を受け、さらに1機の旅客機が、ピッツバーグに墜落した。
ペンタゴンは炎上。ツインタワーは……倒壊。
ピッツバーグでも、ワシントンでも、マンハッタンでも、多数の死傷者が出ている。
テロリズム。
しかも民間機をハイジャックし、その乗客乗員を武器とした、卑劣な行為。
乗客乗員、ツインタワーやペンタゴン、その周囲にいた人々、炎上するビルに向かった消防士や警察官。巻き込まれた人の数は万を数え、死傷者も数千に上るのだろう。
経済の象徴を破壊され、国防の要を狙われたアメリカは……そして世界が、衝撃のただ中にある。
テロを行う側にも言い分はあるのかもしれない。主義主張も、私がそれに賛同することは出来ないものであろうとも、彼らなりのものがあるのだろう、とは、思う。
けれど。
この行為を、この惨劇を、正当化できる理由など、どこを探してもありはしない。
これは、ただの、一方的な殺戮行為だ。
いつかスタッテンアイランドフェリーから『儀式』のように挨拶したいと思っていたツインタワーは、喪われてしまった。
今はただ、犠牲になった方々の冥福を祈るとともに、犯人が相応の裁きを受けることを願うばかりだ。
ただ、それでも……自らを『正義』と言い、これからなされるのだろう報復を『善と悪との戦い』だと言い切るアメリカに、違和感を覚えてしまうのも、確か、なのだけれど……。
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2001. 9. 10 暴言・苦言
先日来、ふざけるな、と、怒鳴りたくなるような事件が続いている。
栃木の黒磯市で女の子を拉致した容疑者二人は、「アニメの主人公になりたかった。ヒロインが欲しかった」、と言ったそうだ。
ふざけるな。
ヒロインが欲しいならオノレの頭の中で作るがいい。主人公になりたいなら自分の頭でなればいい。どこぞの誰かのように、小説だろうとマンガだろうとアニメだろうと、自分で勝手に作ればいいのだ。ただし、他人の迷惑にならないところで。それなら誰も、文句はない。
そうして今度は、7月に起きた中国自動車道で発生した女子中学生の死亡事件の犯人が逮捕された。
こともあろうに、教師。
教え子と同じくらいの年の子供を、そうと知りながら監禁しようとしたのだという。手錠をかけて監禁しようとしたら、車のドアを開けて逃げようとして落ちたから、そのまま放置したのだと。
ここでも、ふざけるな、と、言いたい。
子供を教え導く立場にありながら、テレクラを使い、あまつさえ少女を殺すとは何事か。
当然ながら、犯人には、怒りを覚える。
2度や3度死んでもらおうかと思うくらいには怒っている。
けれど。
……それよりは感情的に弱くても、暴言だろうとは思っても、中学生の方にも、苦言を呈したいのだ、私は。
警戒心を捨ててはいけない。テレクラでコンタクトした当日に疑いもなく相手と会ってはいけない。そもそもテレクラを使う時点でどこかが歪み間違っているのだ。
相手が教師だろうと関係ない。警察官でも医者でも弁護士でも関係ない。そこにいるのは、肩書きと社会的地位に見合った義務と責任を負うオトナではなく、肩書きを外し義務も責任も忘れた欲望に忠実な『ただの人間』なのだから。
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2001. 9. 8
先日買ったCoccoのベストアルバムを、ほぼエンドレスでリピートしている。
綺麗なメロディに乗せて、澄んだ声で、歌うその歌詞がきっついと、聞いてはいたが本当だった。ラジオやテレビから流れるのを聞いていた時にはメロディだけが耳に残って歌詞はあまり記憶に残っていなかったのだが、アルバムになって歌詞を見ればなるほどまったくその通りだ。
のっけからカウントダウンというからどんなカウントダウンかと思えば、浮気した男に謝罪を迫りつつピストルのトリガーを引くまでのカウントダウンで。
幸せの小道でダンスしていた恋人たちが、気がつけば天国の幸せの小道でダンスしていたりするのは序の口。
とても晴れた空の下で遠くから歌いながら見ていた行列が、どうやら葬列っぽかったり、笑顔で歌を歌っていた女の子が実は靴下の中にナイフやかみそりやピストルを隠し持っていたりするのである。
まあそれも、愛する人を守るために海へ出た主人公の留守中に、当の『愛する人』であるお姫様がしているかもしれないこと(ちなみに誰かと腰を振ってます・^^;)のインパクトに比べれば、実はなんてことはなかったのだけれど(苦笑)。
これがメロディと声と相まって、クセになりそうなのだから、恐るべし、Cocco。
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2001. 9. 4
富士山で初雪を観測したそうだ。
まだ9月は始まったばかり。東京の予想最高気温はまだへたをすると30度を超える。
それでもやっぱり、ちゃんと季節は秋へと移って、巡ってゆくんだな、と、思ったり。
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2001. 9. 1
以前からのことだが、職場の友人のパソコンのカーソルが、画面上で不審な動きをする。
誰も触れていないのに、いきなり小刻みにふるえて画面の中で動き出すのだ。
ハードディスクの動作中の振動がパソコンデスクに伝わり、それが何かの拍子にマウスに作用するのが原因で、あるらしい。
が。
先日やはり不審な動きを始めたそのカーソルを見ながら、ついつい私は言ってしまった。
「これさあ、何でも『そっち』に結びつけたがる人だったらやっぱり心霊現象にされるのかなあ」
「あー、人じゃないヒトが動かしてるって?」
「ウチの会社、いるらしいしねぇ。キーボード叩くヒトとか」
と、ここまで流れて。そのまま涼しい話にいってもおかしくはなかったのだろうが。
なにしろ、早朝5時半に謎のピンポンダッシュと天井のきしみにノンレム睡眠の淵から引きずり出されてもその直後に熟睡できる私と、「あたし、死ぬの」の留守録を聞いてみたかったと宣った友人である。会話の当事者が悪かった。
「どうせなら仕事しといてくれると嬉しいのにね」
私が言うのに、友人が答えて言うには
「でもさー、下手に江戸時代のヒトとかでさ、せっかく文章打ち込んでもらっても文末が『なんとかでござる』とか『なんとかに候』とかなってたらヤじゃない?」
…………そう来るかいキミ(笑)。
更に続けて
「それとかさ、コギャルだったりしたら? イケ面くらいしか判らなくて何書いてあるのか判らなそうじゃん」
「た、確かにっ!」
ここまででもう既に散々遊んでいる。そうして挙げ句、私達の出した結論は
「張り紙しとかないとダメかもね」
「『経験者求む』とか? 待遇は?」
「うーん。線香2本とか」
「安っ!」
人外の方々に、呆れてだんまり決め込まれそうな、午後の会話、なのだった。
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