2001年8月の私淑言

 


2001. 8. 29

宇宙開発事業団が、29日午後4時、H2Aロケットの打ち上げに成功した。
1999年11月の、2度連続のH2ロケット打ち上げ失敗以来、改良に改良を重ねて1年9ヶ月ぶりの国産ロケット打ち上げ。
燃料充填に手間取ったため、予定より3時間遅れての打ち上げとなったけれど、それでもH2Aは第1段、第2段エンジンともに切り離しに成功し、今、宇宙にいる。
正確な衛星軌道に乗っているかどうかが判明するのは30日朝になるそうだが、それでも、無事宇宙に到達した、そのことが、嬉しい。

 


2001. 8. 25

翠條さんと祐さんと一緒に、映画を、見てきた。一部には言わずもがなの『劇場版幻想魔伝最遊記 選ばれざる者への鎮魂歌』。
「笑えた」とか「一緒に行った友人に慰められた」とか、コワい話も聞いていたので、どんなことになっているのかとかなり不安、だったのだが。
あらすじを大雑把に言うと、『ちょっととんでもない御仁に目を付けられた三蔵と、そのとばっちりを喰らってさんざんな目に遭う悟空・悟浄・八戒さんの話』ということになるだろうか。(←大雑把すぎなんじゃ? 苦笑)
でも、楽しかったです、あらゆる意味で(笑)。
どれだけ楽しかったか細かく突っ込み入れつつネタばれしようかとも思ったが、突っ込みドコロ満載で半端じゃなく長くなるので止めました
しばらくは置鮎さんの声を聴く度に思い出し笑いをする危ないヒトになりそうで、実を言うと、ちょっと不安(^^;)。

 


2001. 8. 22 台風一過の秋の空

とろとろと、それこそママチャリで進むような速度で日本列島の太平洋岸をかすめていった台風11号。
死者、行方不明者、床上・床下浸水、崖崩れなど多くの被害を出しつつ、同時に水不足だった各地の水瓶に恵みの雨を降らせて消えたその雲の後には、抜けるような青空が広がった。
深みのある秋の空の色は、1日しか保たなかったけれど。
少しずつ、季節は進むのだな、と、思う空だった。

 


2001. 8. 17

昼休みのあと、いきなり友人が言った。
「あー、なんかお茶飲み過ぎて水腹ー。ちゃぽちゃぽいってそう。聞こえない?
……聞こえてたまるかそんな音。
言うと今度は
「でも聞こえたら面白いよねー」
「足音の代わりに胃の中で水が揺れる音か?」
「そうそう。ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽんって。夜道で会ったら怖そうじゃない?」
ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽんちゃぽん、ちゃぽん。って段々近づいてくるわけか?」
そりゃコワいだろう。さぞかし。
ヒタヒタと近づかれるよりずっとコワいのじゃなかろうか。
既にこの時点で私は結構笑っていたのだが、友人はその程度では許してくれなかった。
更に続けて
「でさ、ちゃんとドップラー効果とかあるんだよ」
……腹ちゃぽのドップラー効果。
敢えて文字で表そうとすると、こんな感じだろうか。

ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん、
                   ちゃぽん、ちゃぽん、ちゃぽん……

わざわざ私の横を通り過ぎながら声で実演してくれてありがとう友よ。
午後の仕事の前に脱力の余り床に膝をつきそうになるほど笑いに笑ったひとときだった。

 

注:水腹の音は、当初『ちゃぷん』と表記しておりましたが、ネタをくれた友人本人のこだわりに敬意を表し、『ちゃぽん』に変更いたしました(笑)。

 


2001. 8. 14

秋の声を聞いた。
目覚めて窓を開けると、まだ朝の空気の支配する中、虫たちが鳴いていた。
立秋から1週間。
まだまだ日中の気温は高いけれど、季節はそれでもゆっくりと、秋へと移ろっているらしい。

 


2001. 8. 9

Puckちゃん、万里ちゃんとムームーさんに誘われて、ミュージカル『フォッシー』を見てきた。
稀代の振り付け師で演出家だったボブ=フォッシーが手がけた『シカゴ』、『ダンシン』、『キャバレー』など数々の作品から、ダンスの名場面を選び出して再構成したものだ。
99年にトニー賞を受賞した人気作だと聞いていた。
何よりも、ミュージカルや芝居をたくさん見ているPuckちゃんのお薦めだったから、とても楽しみにしていた。
そして、幕が上がった瞬間、期待は感動に代わった。
歌がすごい。ダンスがすごい。人の体の動きがすごい。
ダンスしながら歌って、少しも声が乱れない。歌いながら両腕にそれぞれ女性を抱え上げ、ターンしてなおかつ声が揺れない。乱れるどころか声がホールに響いてゆくのだ。
綺麗で、格好良くて、茶目っ気があって。
動きのひとつひとつが目に焼き付く気がした。

『フォッシー』は渋谷Bunkamuraオーチャードホールで9月3日まで東京公演を行った後、9月11日から16日まで大阪フェスティバルホールで大阪公演を行う。
興味がおありの方、是非。

 


2001. 8. 6

苦手な方には申し訳ないが、またしても、『涼しい話』。

 

明け方だった。
夢も見ないノンレム睡眠の底の底から、私は突然引きずり出された。
浮上しつつある意識の中で聞き取ったのは、ドアベルの音。
ドアベルを鳴らすような誰か──宅配便の配達員とか郵便局員──が来るような時間まで、自分は眠ってしまったのだろうか?
私の疑問は、けれど次の瞬間吹き飛ばされた。

ピーンポーンピーンポーンピンポンピンポンピポピポピポピポ!!

どこの宅配業者や郵便局員がこんな鳴らし方をするというのか。
時計を見ればまだ朝の5時半だ。
ピンポンダッシュにしても性質が悪すぎる。
しかも、ピンポンダッシュなら当然続くはずの、走り去る足音が、聞こえなかった。
そうして、私の真上の、天井が。

ミシ…………ミシ…………ミシ…………

と、ゆっくりと、3回、きしんだ。

何故か、瞬時に思った。
ドアにも窓にもしっかり鍵をかけてあるにもかかわらず。
──マズイ、と。
明るくしないと入ってくる、と。
何が、どこから、どうやって入ってくるというのか、それすらはっきりとは認識しないまま、私はただ直感に従って部屋の灯りをつけた。
この時点で既に、対人間用の対応では、なくなっていたのだけれど。

途端、音は消え、それきり聞こえなくなった。

その後ドアスコープから外を見たけれど、外には誰もいなかった。
カーテンを開けてもみたが、窓の外にも誰もいなかった。
結局何だったのか判らないまま、再度鍵を確認し、ただ部屋が暗いのは気分的にイヤだったからカーテンは開けて、私は再び横になり……。

寝ました。ちゃんと。目覚ましの鳴る時間まで。

ついでに私淑言のネタにしているあたり、私も大概図太いだろうか。(大笑)

 


2001. 8.1

関東・東海地方などで、早くも水不足の懸念が出始めているそうだ。
理由は言うまでもなく、7月の小雨。
関東で平年の26%、他では10%台のところもあるというのだから、少ない。
ダムの貯水率は、関東の平均で6割。50%を割ったところもあるそうだ。
このままでは取水制限も、という声も出ている。
困ったな、と思うし、雨が降ってくれれば、とも思うが、こればかりはどうにもできない。

全国の雨男・雨女さんたちを水不足のところに一堂に集めてみたくなるのは、こんな時だ。

 


 

 

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