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2000. 12. 28 幻の超高級割烹
出社したらタイムカードの所に張り紙があった。曰く
『幻の高級割烹 会員制 28日開店』。
12月28日である。仕事納めである。そしてウチの会社である。
他の会社なら『忘年会』と称するのだろうし、どこかお店に繰り出すのだろうが、それはあくまで『他の会社』のお話。
午後も遅くなって大体今年の仕事のカタがついてくると、ボードに買い出しの文字が踊る。ドアの外には『準備中』と書かれた紙。道具類の準備がはじまり、材料が揃うと次は料理の下ごしらえで、料理開始だ。
そうして夕方6時を過ぎた頃、張り紙が変わった──『営業中』と。
本日のメニューは具だくさんの鍋2種(鴨鍋とキムチ鍋)、ぶりの刺身、いかの刺身、即席の塩辛、白菜・セロリの浅漬け、ぶりのあらを使ったぶり大根、トマトとモツァレラチーズのバジルオリーブオイルがけ、に、チーズ、クラッカー、乾きもの。
そのほとんどが、社員の手作りなのである。そうしてどれもが美味なのだ。
わざわざ高いお金を払って店でやる忘年会など、この美味の前には色を失う。
お腹がいっぱいになるほど食べて、飲んで、楽しんだ。
本当はこの他に、お好み焼きも、やる予定だったらしいのだが。
さすがにそれは無理でした、胃の許容量的に(笑)。
でも材料(粉とかアオノリとか)は買ってあるので、お好み焼き、多分年明けにやるのではないかと実は密かに楽しみにしている私である。
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2000. 12. 27
帰宅時、電車に乗ったら、すぐ隣でおばさんとおばあさんが話し込んでいた。
ふたりで出かけた帰りなのかな、と、思ったのだが、どうにも様子がおかしい。
耳に飛び込んでくるのはこんな会話。
「ここじゃぁないみたいですよ」
「ああそう?」
どうやら、おばさんの方が、地下鉄に不案内なおばあさんに目的の駅までの乗り換えを教えて上げようとしているらかった、の、だが。
それでもやっぱり会話が妙なのだ。かみ合わない。何かがヘンだ思っていたら、「娘さんはどこにお住まいなんですか? 駅は?」と訪ねるおばさんに、いきなりおばあさんが言った。
「駅の名前はしらないのよ。」
…………もしもし?
降りるべき駅を知らずにどこへどう行こうとおっしゃるんですかおばあさま。
「大丈夫かしら……」
おばさんが敢えて言葉にしなかった『続き』を、周りの全員が理解していた。
私は乗り換えのためにすぐ降りてしまったのだが、果たしてあのおばあさんは『目的地』にたどり着けたのだろうか。謎である。
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2000. 12. 23
表参道で開催中(25日まで)の峰倉かずやさんの原画展ふたつを見に行ってきた。
『Stigma』と、『最遊記』。
大きなサイズの、作者さまのタッチも直にわかる状態の絵は、迫力が違う。
特に『Stigma』。
最終話の全原稿が展示されていて点数も多かったし、峰倉さんの絵のすごさが直に伝わってきて、とても見応えがあった。
中に1点、コミックス表紙・裏表紙のラフ画があったのだけれど、そのラフ画が、しばらく立ちつくしてしまうくらいに、印象的。
「峰倉さんの絵、やっぱり大好きだ」と改めて思った。
それと、原画を見ると、新書館が色の再現に細心の注意を払ってくれたのがよく判る。峰倉さんの絵を、色を、可能な限り忠実に再現してくれてありがとう新書館。
その後、某所のオフで渋谷へ。
ジャッキー=チェンの店(ジャッキーズキッチン)で、総勢21名で中華料理を堪能した後、場所をカラオケ屋に移して2次会を1時間半、それからゲームセンターで遊んで、私は帰ってきた。
微妙に濃い話で盛り上がり、とても楽しいオフでした(^^)。
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2000. 12. 20 お歳暮話2題
夕方、会社の先輩のデスクに、栄養補給・滋養強壮を謳う某エス○ップが数本乗っていた。
疲れたから買ってきた、というにはちょっと数の多いそれを、不思議に思ってどうしたのか訊いてみたら、出入りの業者さんが下さったお歳暮だという。それも、どうやら3箱ほどもいただいたらしい。
非常に実用的なのだけれど、それがお歳暮となると、そこはかとなく哀しくなったり(^^;)。
でもって、もうひとつ。
クリスマスも近いことだし、チビちゃんsがいるから、と、兄一家にお菓子を贈っておいたのだが、週末、そのお返しが届いた。
宅配業者が「重いから」とわざわざ在宅を確認してきたほどのそれ、一体ナニかと思ったら、届いたのは少し前から話題の海洋深層水のペットボトル。
東京の水はシャレにならないくらい不味いから、と、ペットボトルのミネラルウォーターを買っているくらいだから、これはとても嬉しくありがたい『お歳暮』、なのだけれど。
それにしても、2リットル
x 6本 x
2箱=24リットル(24キロ)てーのは、ちと多かないかい、にーちゃん(^^;;;)。
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2000. 12. 17 迷惑な話。
日曜の夜、渋谷で少年が金属バットを振り回し、8人に重軽傷を負わせたそうだ。
メディアは言う。
『またしても17歳』。
確かに過日新宿で爆発事件を起こしたのも17歳の少年だったし、今度の彼も17歳、ではあるけれど。
板橋区の女性殺害事件の被疑者は29歳だ。『無差別』だというなら、去年山口の駅に車で突っ込んだ20代がいる。
十代が事件を起こすのだって今に始まったことではないのに。
ただそれが『17歳』だったというだけで、新聞の見出しにまで使われてしまうのでは、世の17歳は、いい迷惑なこと甚だしいのではなかろうか。
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2000. 12. 16
昨日、2000年12月15日をもって、チェルノブイリ原発で最後まで稼働していた3号炉が運転を停止し、原発が全面閉鎖されたそうだ。
4号炉が爆発して史上最悪の放射能汚染を引き起こしたのは、1986年4月のことだった。
あれから14年。
放射能に汚染され立入禁止となっている地域はいまだ多く、被害に苦しむ人もまた、多い。
事故を起こした4号炉を覆うコンクリートの通称『石棺』は、年々劣化してそこから放射能が漏れているとも、聞く。
14年の時が流れても、原発自体が閉鎖されても。
『チェルノブイリ』は、終わらない。
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2000. 12. 14
気になるCMがある。
男性が船の舳先に立って音楽を聴いているSO○YのCM。
流れる音楽にどうも聞き覚えがあると思っていたのだが、ふと、思い出した。
ひょっとしてあれは、その昔、まだWALKMANがただの『WALKMAN』だった頃に一世を風靡した、同じS○NYの、瞑想する猿のCMに使われていたのと同じ曲ではなかろうか?
霧に煙る水際で、2本の足で立ち上がった猿が、ヘッドフォンをつけて、哲学的なまでの表情で音楽を聴いていた、あの、CMの。
あれから、結構な年月が流れた。
WALKMANはCD WALKMANになり、MD
WALKMANになった。
とある携帯電話会社のCMではないが、携帯やPHSはまるで昔のSFの通信機……いやそれよりも高性能かもしれない。
同じ携帯電話会社は言う。「夢見た未来がここにある」と。
夢見た未来の一部を確かに現実に見ながら、私達はあと少しで、世紀を越える。
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2000. 12. 12
都営地下鉄大江戸線開通。
石原都知事の発案で『都営地下鉄12号線・通称ゆめもぐら(一般公募でこんな愛称がつきかけていた・笑)』から大江戸線へと名前を変えたこの新しい地下鉄。
開通の日はいつにするのだろう、と思っていたら、案の定、平成12年12月12日のゾロ目を狙ってきた。
さすがというかなんというか(笑)。
ともあれ、六本木、麻布など、地名は有名なのに落とし穴的に駅から離れていた地域を結ぶこの路線が開通したお陰で、山手線の内側はほぼ全域が、駅から徒歩15分以内になったのだそうだ。
JR、私鉄、地下鉄。網の目のように走る路線図が、東京という身体をめぐる血管のように思えたり。
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2000. 12. 8
少しばかり怒っているので、多分きつい言葉を綴る。苦手な方は読み飛ばして頂きたい。
過日新宿で17歳の少年が引き起こした爆弾事件で、なにやらまたぞろ迷惑な話が出ているらしい。
少年の家から、『あるコミック本』が押収された、というのだ。
事件当日までの少年の言動に、その作品の影響が見られたとか見られなかったとか。
ニュース番組のキャスターが解説して宣うには、そのマンガ、『主人公が銃を撃ちまくる作品』であるらしい。
私はその作品を、多少ではあるが、知っている。
確かにそうだ。主人公は銃を撃ちまくっている。伝説のガンマンで賞金首で彼の行くところ事件も争いもなかなか絶えない──本人の性格とは無関係に。
人気のある作品らしいし、一時期アニメにもなっていたから知っている人は──高校生くらいなら多分、特に──少なくないはずの、その、マンガを。
だが、件の少年が、持っていたから、読んでいたからなんだと言うのだ。
「人間を壊してみたかった」と言い放ち、それを実行しようとしたのは彼自身だ。誰のせいでもなければもちろんマンガや小説のせいでもない。
転べば痛い。指を切るのも火傷するのも痛いし、喧嘩してひっぱたかれるのも痛ければ相手をひっぱたいた自分の手も、痛い。銃で撃たれればもっと痛いだろうし、爆発に巻き込まれるのも同様だろう。
そういうことを学んで来なかったのは、痛みを想像出来ないのは、彼自身の問題である。
そこに至る過程に敢えて責任を問うなら、第一の彼を除けば、彼の危うい部分を見逃していた周りの人間だろうし、更に広げるならそういう環境を許す、私自身もしっかり属しているこの社会、ということになるのだろうが。
そういえばどこぞのお偉いさんが、高見弘春氏の『バトルロワイヤル』に苦言を呈したとか。
さて。本当に怖いのは、虚構世界が現実世界に悪影響を与えること、なのだろうか。
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2000. 12. 3 フィギュアスケートの醍醐味
12月3日夜、今年のフィギュアスケートNHK杯のエキシビションが行われた。
男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスのそれぞれ4位までの選手が出場しての、競技を離れたいわばファンサービスの舞台だ。
私が見たのは19時20分からのダイジェスト版なのだけれど、それでも十分楽しませてもらった。
断言する。
フィギュアスケートは、競技自体を観るのももちろんいいが、選手の真価を知りたければ、エキシビションを観るに限る。
競技の終わった気楽さがあるから、過度の緊張がない。ルール上競技では出来ないこともやって見せてくれる。歌のついた曲を使っても良ければ小道具を使っても良い、客席を巻き込んでも、出だしをどんな形で始めても、オールオッケー。シングルの選手達が最初に4回転に挑んだのもこのエキシビションだ。
だから、競技は見逃してもエキシビションの放送は見逃さない。
NHK杯の過去のエキシビションを網羅したビデオシリーズなんてモノを出してくれたら、私は多分、躊躇うことなく、手に入れる。
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2000. 12. 2
あっと言う間に12月である。
旧暦名の代表は、師走。
忙しすぎて、普段はどんと構えている稽古事の師匠まで街を走ることになるから、とか、12月にお経を上げてもらう習慣があったため、お坊さま(僧師)も忙しくて街を走るから、とか、色々説があるそうな。
昔地元で、袈裟を着てヘルメットを被ったお坊さまが50ccのスーパーカブに乗って走り去るのを見たことがあるが、まあそんな話はおいといて。
『大掃除』とか『年賀状』とか色々と脳裏をかすめて気ぜわしくなるけれど、残り少ない今年、残り少ない20世紀、楽しんで過ごそう、と、思う。
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