SOLISTENKONZERT
MAURIZIO POLLINI
Klavier
GROSSES FESTSPIELHAUS

Dienstag, 14. August 2001, 21.00 Uhr


Johannes Brahms
Fantasien fuer Pianoforte op.116
Nr.1 Capriccio d-Moll
Nr.2 Intermezzo a-Moll
Nr.3 Capriccio g-Moll
Nr.4 Intermezzo E-Dur
Nr.5 Intermezzo e-Moll
Nr.6 Intermezzo E-Dur
Nr.7 Capriccio d-Moll


Anton Webern
Variationen op.27

Seher maessig
Sehr schnell
Ruhig fliessend

Karlheinz Stockhausen
Klavierstueck V
Klavierstueck IX

Pause

Ludwig van Beethoven
Sonate Nr.24 Fis-Dur op.78
Sonate Nr.23 f-Moll op.57,"Appassionata"







●超絶マウリツィオ・ポリーニ(8/14)

リサイタルの前日8/13は「ランデスマン、ポリーニと語る」というイヴェントへ
行ってきました。内容は翌日のプログラムに焦点をあてたインタビューで、ブラーム
ス、現代音楽、ベートーヴェンの構成で話が進められました。特に現代音楽に関して
は、ベートーヴェンもシュトックハウゼンも垣根はないというポリーニの説明があり
ましたが話がやや抽象的でした。ランデスマンからはノリントンのエロイカ演奏がリ
ズムに特徴があったが、ベートーヴェンのピアノソナタではどうかという質問が出さ
れ、ポリーニはメトロノームリズムが基本と説明されました。会場からは「どこそこ
の演奏はこうだったがどういう意味なのか」とか色々細かい質問がありました。なか
には共演する上で好きな指揮者は誰かという質問もありましたが、ポリーニは特定の
指揮者だけでなくアバドを含めた色んな指揮者と共演しているという返事が・・・



で、翌日8/14にモーツァルテウムにて彼のリサイタルを聴いてきました。席は1
列目中央のちょうどポリーニが座っている前でした。スタインウェイにはPaboriniの
ロゴが入っていていました。さすがに貫禄と迫力の演奏がガンガンと響く感じで、最
初のブラームス7つの幻想曲からして緊張感一杯の演奏で息もつけないほどの集中力。
前はモーツァルテウムで聴いたのですが、さすがに大ホールでの演奏も空間の大きさ
を感じさせない音量感と質感は素晴らしいですね。

ウェーベルンの変奏曲作品27。実は小生ウェーベルンはやや苦手なほうで、如何に
ポリーニの演奏でもインパクト大とまで行きませんでした。が、続くシュトックハウ
ゼンは凄かったです。ピアノ小品5番と9番で、巨匠は何枚かにセパレートした厚紙
の大きな楽譜、おそらくシュトックハウゼン自筆のものを携えて登場。その一音一音
の衝撃と空間に滞留する響き。点描写の極致とはこのことかと思うほど素晴らしいも
のでした。が、こういった音楽はとても疲れました。

後半はベートーヴェン、24番と23番「アッパショナータ」というヘビー級のプロ
でした。いずれもベートーヴェンのピアノソナタという枠を越えるようなシンフォニ
ックな演奏で、普通のピアニストとの違いをまざまざを聴かせてくれました。さすが
にアッパショナータの密度の高さは信じ難いほどで、普通の演奏タイムをはるかに超
えているのではという充実さに聴こえましたし、押し寄せるテンションの高まりに卒
倒しそうになるくらい。3楽章はまるで猛り狂う嵐のごとき迫力でした。もう満席の
祝祭大劇場、ステージ左右まで臨時の席を用意した大観衆からの圧倒的な喝采。今日
も凄く感動的な演奏を聴けたのです。感極まって幾つか演奏されたアンコールもこの
熱狂を静めるのに長時間の喝采を必要としました・・・



(補足)
ポリーニはかなり大きな唸り声をあげなら演奏していました。グールドのような歌う
までは行かなくとも、その唸りで強烈な気合を入れているといった感じで、全身全霊
がポリーニの強靭な意思そのものに見えました。これは前半のシュトックハウゼンか
ら顕著なものとなり後半のアッパショナータで圧倒するような気迫となったのです。
そんなためかシュトックハウゼンとベートーヴェンでは時代の隔たりはあるものの、
その根底に流れる強靭な精神性という意味においてジャンルの違いを感じさませでし
た。そんなところから小生の知人達からもシュトックハウゼンは素晴らしかったとい
う声が聴かれたのではないかと思った次第です。
さて”Pollinis Temperamenteポリーニの熱情”とタイトルが付けられたナハリヒテ
ン紙でも、ポリーニの狙いどおりの効果を上げたと評価がなされており、圧倒的な演
奏となったことに皆大満足されたようです。