Giuseppe Verdi
FALSTAFF
Lyrische Komdie in drei Akten
Text von Arrigo Boito

GROSSES FESTSPIELHAUS
13. August , 19.30 Uhr
Musikalische Leitung Lorin Maazel
Regie Declan Donnellan
Bhnenbild und Kostme Nick Ormerod
Licht Judith Greenwood
Choreographie Jane Gibson
Choreinstudierung Donald Palumbo
Sir John Falstaff Bryn Terfel
Ford, Alices Gatte Dwayne Croft
Fenton Massimo Giordano
Dottore Cajus Enrico Facini
Bardolfo Anthony Mee
Pistola Anatoli Kotscherga
Mrs. Alice Ford Carmela Remigio
Nannetta, ihre Tochter Heidi Grant Murphy
Mrs. Quickly Larissa Diadkova
Mrs. Meg Page Stella Doufexis
Wiener Philharmoniker
Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Gitarre: Robert Rezac





既にアバド&BPOのイースターで上演されたプロダクションのファルスタッフをマ
ゼール&ウィーンフィルの演奏で見てきました。高原さんのHPに詳しいレポートが
ありますように、今日このステージを見て演出と音楽がとても上手く噛み合っている
ことが分かりました。ザルツの横長舞台を上手く使い切っていましたし、分解模型の
ように舞台セットが上下左右から登場して連結してセットが組みあがるところを見せ
るあたりに、観客をドラマに引き込ませる上手い効果を狙っていましたね。それから
美しくてシンプルな舞台装置が理路整然とすっきりとしているのが良いですね。面白
いのは第1幕第2場にもそのままファルスタッフをイメージとして座らせる演出など
とてもユニークで新鮮な感じがしました。

それにしてもブリン・ターフェルのファルスタッフは最高ですね。もう完璧なほどに
ファルスタッフになりきっていて、歌わなくてもその姿を見ているだけで楽しくなる
ほどの愛嬌。もちろん彼のファルスタッフを聴く歓びは計り知れませんでした。ファ
ルスタッフを取り巻く人間模様も実に心理描写巧みな演出で、総じて素晴らしいキャ
スト陣のおかげで時間を忘れさせて熱狂させてくれました。ターフェル以外ではジャ
ジコーワやクロフトもとても上手かったですね。

マゼールの指揮も快心といったところでウィーンフィルからパンチ力抜群の音楽が劇
と一体になっていたのには驚嘆。やや鳴らしすぎかと感じるものの、その充実感はと
ても素晴らしいものでした。今日も平土間最前列の中央、マゼールよりやや左の席で、
ピットは丸見えでしたが、歌手とアンサンブルをあわせるオケの演奏はさすがに凄い
ものでした。ヴェルバさんのファゴットとファルスタッフの一声と強烈に響くとこな
どは凄い快感でしたし、ヒンク率いる弦の素晴らしさはさすがにウィーンフィル。そ
れにオーボエなどウィーン特有の甘さがファルスタッフの愛嬌のよさと上手くハーモ
ニーしていたと思います。今日はこのオペラ1本だけでしたが、久々に大当たりの公
演に出会えて最高でした。

アバド&BPOのファルスタッフを聴かれた知人の方々は、マゼールの指揮は重くて
歌手の良さが活かされていないとのご指摘。アバドのほうが俄然素晴らしいとの意見
の方が大半を占めているようでした。とはいうものの小生はマゼールのたっぷりと鳴
らし切る演奏スタイルは結構良かったと思うのです。やはりターフェルの出来栄えと
演出舞台の良さが最大の収穫でした。



さてオペラが終わって祝祭劇場を出るところでは例年、ビューネ誌が無料で配られて
いますが、たまたま受け取った表紙はターフェルのファルスタッフでした。彼のイン
タビューが掲載されていて、テーマはファルスタッフ。最初のファルスタッフ・デビ
ューはシドニーにてシモーネ・ヤング指揮との共演だそうで、このときはヤング女史
とファルスタッフのヴァージョンについていろいろと検討したとのこと。その後、ア
バドとのCD、今回のマゼール。そしてミュンヘンでメータとの共演が予定されてい
るそうです。インタビューでは、指揮者はどのように重要なのかという質問に対して、
彼は指揮者によって固有のテンポや土台が違うことに驚いていると。特にアバドにつ
いてはエネルギッシュで活力と熱狂に充ちているそうです。トスカニーニが如何に指
揮したかなど説明してくれたとありました。OPERNGLASSの8月号にも彼の
詳細スケジュールが載っていますが、メータとのファルスタッフは2002年3月と
4月。その後、パリで道楽者のなりゆきを2002年6月。ホフマン物語は2002
年9月10月。ソンドハイムのスウィーニー・トッドをシカゴ2002年11月12
月。それからマイスタージンガーのハンス・ザックスを2003年6月シドニー、1
1月ロンドンだそうです。それからファルスタッフを2003年10月11月ウィー
ンで。と言う具合にとてもエネルギッシュな活躍ぶりが期待できそうです。




Salzburger Nachrichten 8/7付け記事にて「ロリン・マゼール、ザルツブルク・フェ
スティバル出演100回!を祝う」