さて今日はトスカ。昨日のようなスペクタクルなセットではなくてレンガの巨大壁が
正面に。ステージ左にカヴァラドッシが描く巨大な絵画が。右手に黒の階段と彫像が。
で早速音楽が始まるとバックステージに教会の聖堂のスライドが映し出されました。
ちなみに第２幕にはスカルピアの室内をデコレートするテーブルが二つにベッド。テー
ブルには蝋燭が沢山灯されましたが風で全部消えてしまいました。第３幕は正面に横
に広い階段が設営されアンジェロ城をイメージしたスライド映像が。アイーダと比べ
るととても簡素な舞台でしたが、今日もキャストが素晴らしかったです。トスカはエ
リザベッタ・マトスでドラマチックでした。カヴァラドッシはマルチェロ・ジョルダー
ニで、彼の伸び伸びとしたテノールは快感。それからスカルピアはルッジェロ・ライ
モンディで、好色な悪役にぴったりでした。レナート・パルンボ指揮による演奏は昨
日のアイーダよりもアンサンブルがくっくりと引き締まり、抒情と激情の音楽を思う
存分聴かせてくれました。昨日のアイーダは壮大な舞台に余り気づきませんでしたが、
トスカのように登場人物が限られてくると、この横長パノラマ舞台をどう料理するの
か興味津々。今日の席もちょうどど真ん中だったので、左にカヴァラドッシ、右に遠
く離れてトスカという場面もあり、人物の空間配置がかなり広大な演出だったのが面
白いところ。これほど距離を離して登場人物がぶつかり合う場面は、やはり歌手のず
ば抜けた歌唱力で壮大な舞台をひとつに引き締めているようなところがあって、その
醍醐味はなかなかのものと感じました。横長舞台はザルツブルク音楽祭がその顕著な
ものとなっていますが、これはマチェラータでも同じことで、スペクタクル舞台で勝
負するか、歌手の技量で勝負するかといったアプローチがあることを知り大いに参考
となりました。

Marcello Giordani (Cavaradossi) Elisabete Matos (Floria Tosca)	Ruggero Raimondi (Scarpia)