マチェラータは中部イタリアのアドリア海に面した丘陵地帯にある街。結構辺鄙なと
ころにあって行くのが大変です。ブレゲンツからのアプローチは幾つかあって、ひと
つはブレゲンツ→チューリヒ→ボローニャ→チヴィタノヴァ・マルケ→マチェラータ
と列車で辿るルート。ただしこれでは時間的にも厳しいので、ブレゲンツ(鉄道)ミ
ュンヘン(LH)アンコーナ(タクシー)マチェラータで行くことにしました。朝9
時半にブレゲンツを列車で発ちほぼ12時にミュンヘンへ。14時半のLH&Dor
omit共同運航便でアンコーナへ向かいます。今日もブレゲンツでは強雨の悪天候
でしたが、さすがにアルプスを越えたあたりから雲ひとつない快晴。イタリアの陽気 が燦燦と輝いていました。ほどなくアドリア海沿いに飛び、海岸線が眩しく
光っていました。所々ビーチに点在する街もくっくりと見え真夏の雰囲気一杯でした。
16時半にアンコーナ到着。ここからタクシーで45分ほどでマチェラータにようや
く到着しました。ちなみにタクシーはチップ込みで17万リラ程度。それにしても景
色が緑一色のオーストリアと違って、小さな無数の丘陵が連なる地形で、緑と茶色が
入り交ざった光景でした。とにかく明るくて暑い感じ。気温は33度Cを記録してい
ました。
さてマチェラータは小高い山の上に築かれた城壁の街といった感じで、ホテルは野外
劇場(スフェリステリオ)のバックステージ路地に面したアレーナというところ。と
ても小さなホテルですが今日の歌手達の喉鳴らしやオーケストラの練習が聴こえてく
るのはとても面白かったです。街中ですが、実際の街はどうも劇場より上部の丘の上
に密集しているようです。今日はとにかく猛暑なので散歩は明日のお楽しみにしてお
き、周辺の散策と食事でゆっくりと過ごしました。さて音楽祭チケットはチケット・
オフィスで引き取りますが、その時に座席番号がチケットに書き込まれました。今日
のアイーダは平土間最前列中央(f1列2番)というベストポジション。明日のトス
カは同じ席の一列後(f2列2番)でした。チケットオフィス横に売店もあり、マチ
ェラータ音楽祭関連の本やCD、グッズが売られていました。ちなみにここでCD−
ROM版の音楽祭ブックをゲット。
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Norma
Fantini (Aida) |
Carolyn
Sebron (Amneris) |
開演は21時半。もうすっかり暗くなり涼しくなっていました。席に付くとさすがに
スケールが大きい劇場にびっくり。横に長くて縦に短いといった感じ。バックステー
ジは巨大なレンガの壁で、これを桟敷席の壁が取り巻く構造。すなわちステージは巨
大な城壁に取り囲まれたように、音が空に逃げない効果があるようです。その為か、
オーケストラも歌も響き渡り、音圧音量感はまったく不満は感じません。指揮はDani
ele Callegari、演出Hugo De Ana。アイーダは美貌のノルマ・ファンチーニでかなり
の迫力でした。リリックとドラチックを兼ね備えた歌がとても冴えていました。アム
ネリスはキャロリン・セブロンで彼女も凄い迫力。ラダメスは当初マルティヌッチが
予定されていましたが、フランコ・ファリーナに変更となりました。それでも彼のラ
ダメス、ろうろうと響くテノールは時に輝かしく素晴らしいものがありました。それ
からルチオ・ガッロのアモナスロも最高に貫禄一杯。キャストはかなりの出来栄えで
合唱も迫力十分。さて舞台はさすがに豪華絢爛。もっとも装置自体はシンプルな構造
で底面に大きな銀色に輝く楕円形ステージをセットし背面は三角錐状の短冊面が横一
列にずらりと配列したもの。最初は銀色にレリーフされた面を正面に向けていますが、
これを3面に回転することによってエジプトのレリーフが出てきたりと、情景をデコ
レート。またこれは扉の役目もしていて、壮大な行進曲のときにはアイーダトランペ
ットが出てきてスペクタクルさ一杯の演出でした。バレエも見もので素晴らしい歌の
共演ともにすかっと爽快な公演でした。さてこの劇場は吹きさらしのためか常に強い
風が吹いていて劇場の風きり音がしていました。時に砂埃が舞い上がり野外の雰囲気
が一杯。さてさてイタリアの人はタバコを好きな方が多く、オケも開演前にはピット
の中で吸っている人が多いようですね。ほとんどの方は平気で吸殻を床(地面)に捨
てるのには違和感です。ドイツ語圏ではまずこういった光景はありませんから。それ
にしても素晴らしい公演で終演が深夜1時と以外と早く終わりました。
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