ここ数日は夏空が続いていましたが今日の午後から強い雨となりました。コンサート
が始まる19時半になっても未だ小雨状態。今日のような天気だと冷房の無いモーツ
ァルテウムは自然冷房といった感じです。さて今日のコンサートはフォン・オッター
のリートの夕べ。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ベルリオーズ、マ
イヤベーアと多彩なプロで、メルヴィン・タンのクラヴィーアと溶け合う世界は雅か
つロマンチックでした。
クラヴィーアはピアノとは違って引き締まった響きのためか、メゾをくっきりと引き
立てる効果があるようで、これをモーツァルテウムのような響きの良いホールで聴く
のは滅多に体験できないような魅力でした。席も最前列ど真ん中のちょうどオッター
の目の前だったので凄く迫力がありました。青のロングドレス姿の彼女はさすがに長
身で小柄なタンと凄いコントラストでしたが、二人の掛け合いは実にリスリリングで
もありました。そしてCDで聴くのと違って表情のひとつひとつまでもが歌の要素で
あって、彼女の動作までもが作品だということを痛感。ちょうど音楽にダイナミック
レンジがあるのと同じように、表情から動作までの起伏が大きいので、単に聴くとい
うよりもドラマを見ているような臨場感に溢れていました。
モーツァルトでは明るく楽しいリートが素晴らしいし、ベートーヴェンでは深刻な音
楽と歌が。シューベルトはベートーヴェンのように深刻になったりロマンティックに
なったりとリートの魅力一杯です。圧巻はベルリオーズで特に「オフィーリアの死」
は最高に感動的。前半からのドイツ語の発音に加えてフランス語のニュアンスまでも
が実に音楽的でチャーミングでした。途中、タンの演奏でシューベルトのImpromptu
が2曲演奏されましたが、こもれ絶品中の絶品で会場を沸かせました。そしてマイヤ
ベーアで締めくくられてアンコールが3曲ほど。さすがに今日も最高の演奏を聴くこ
とができました・・・
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