BEETHOVEN & SCHOENBERG ... UND BEETHOVEN

CAMERATA SALZBURG
SIR ROGER NORRINGTON
Freitag, 3. August 2001, 19.30 Uhr, Mozarteum
BEETHOVEN Ouverture II zur Oper "Leonore" op.72
SCHOENBERG Ode to Napoleon Buonaparte op.41
BEETHOVEN Symphonie Nr.3 Es-Dur op.55 "Eroica"
Sprecher Omar Ebrahim
Dirigent Sir Roger Norrington
Camerata Salzburg



●8/3
今年のザルツブルク音楽祭は例年に違わず面白い演目がいろいろとあってプログラム
選びが実に悩ましかったです。夏休みは8月始めからですが、「こうもり」と「アリ
アドネ」は何としても見たい為、強引にも18日間の夏休みを取ることになってしま
いました。また到着翌日の8/4はイエヌーファ−の最終公演で、何とマクベス夫人
とシェーファーのリートリサイタルまでもがバッティング。何と勿体ないことですが、
ゲルギエフ&ウィーンフィルのマクベス夫人を選ぶことにました。逆に8月中旬は新
作オペラなどもなくて実に寂しいプログラムばかり。そこで途中、バカンス気分でブ
レゲンツとマチェラータを回ることにしました。

さて出発当日、今回は大小ふたつのスーツケースを用意し、ひとつは宅配で成田へ。
もう一つは手荷物として機内に持ち込むことに。ザルツ到着後すぐにコンサートへ向
かうので、今回もジャケット姿で行こうかと思いましたが、FRAで2時間ほど時間
があるので、セネターラウンジのシャワールームで着替えることにしました。さてザ
ルツへ向かうフライトはLH番号を持っているチロリアン。昨年は客を何時間も待た
せておきながら平気でフライトをキャンセルした航空会社です。今回も嫌な予感がし
ていましたが案の定、フライトが25分遅れとなってしまいました。どうも連絡便の
客を待っている為とか。これでザルツ到着も30分以上遅れて、空港からモーツァル
テウムへ直行することとなりました。

到着は7時40分過ぎ。既にレオノーレの素晴らしい響きが廊下に聴こえていました。
モーツァルテウム全体が自由奔放なエネルギの放流に飲み込まれているような臨場感
と迫力。ほどなく2階へ通じる階段からも輝かしいトランペットのファンファーレが。
レオノーレ3番の序曲と同様に勝利を告げる場面です。フィデリオに4つも序曲を作
ったというベートーヴェンのこだわりにも驚かされますが、3つのレオノーレ序曲を
をBeethoven & Shoenberg und Beethovenチクルスの冒頭に持ってくるノリントンの
着想も面白いですね。歯切れのよい弦に金管が炸裂しティンパニが嵐の如く舞い上が
る様はドラクロアが描いた「勝利の女神」がぴったりのイメージでした。

序曲が終わってから係りの方がホールへ入れてくれた。通路から近い席だったので目
立たないで着席できました。それにしても廊下では涼しい風がとても気持ちよかった
のに、会場内部はかなりの暑さでした。続くシェーンベルクの「ナポレオン・ボナパ
ルトへの頌歌」はバイロンの誌を題材とした作品で朗読と室内アンサンブルの作品。
大分前にピアノ五重奏版で聞いたことがありますが、詩の内容はナポレオン批判で、
新たなナポレオン出現すら予言するものでした。実に暗い作品ですが、緊迫した朗読
にショスタコーヴィチの厳しい信念を感じられるように聴こえました。

後半はベートーヴェンのエロイカ交響曲。これも当初ナポレオン・ボナパルトを意識
して作曲されシンフォニーですから、前半のシェーンベルクのナポレオン・ボナパル
トとコントラストするプログラミングですね。こういったあたりにノリントンの面白
みを感じるのですが、エロイカの演奏も素晴らしく生彩感と躍動感に溢れていました。
ちょうど前半のレオノーレと編成はほぼ同じながらも、ベーレンライター版の新鮮な
響きがとても印象的。特に贅肉を落とした引き締まった弦のアンサンブルに輝きと脚
色のないブラスと張りのあるティンパニが緊迫感一杯に繰り広げる演奏はとてもスリ
リングでもありました。到着日にコンサートを聞くと大抵眠くなってしまいますが、
全く瞬きすらできないほどにじっくりとシェーンベルクとベートーヴェンを聴くこと
ができました・・・



●8/15
ノリントン&カメラータ・ザルツブルクの演奏が余りにも素晴らしかったので後日行
われたベートーヴェン&シェーンベルク&ベートーヴェンの第3夜の為のプローベへ
行ってきました。ただしこの日は11時から祝祭大劇場でムーティ&ウィーンフィル
を聞くので10時から始まるプローベの40分ほどを聞いてからそちらへ向かうこと
にしました。モーツァルテウムには結構沢山のメンバーの方がプローベに来られてい
て、廊下に近い出やすい席に着席。レオノーレ3番の序曲を一通り演奏されてから、
ノリントンが事細かに指示を与えていくと言うパターンです。が、結構細かい指示が
あって、オケもなかなか大変。最初の通し演奏でもかなり素晴らしい演奏に唖然とし
ましたが、ノリントンの磨きが少し入るだけで、さらに見違える演奏になるとは驚き
ました。ノリントンはフィナーレへかけてのヴァイオリン・パートに強いスタッカー
トを要求し、音楽はさらに歓喜に充ちた爆発へと導かれる様は実に圧巻でした。この
1曲だけでちょうど35分を費やしました。次のシェーンベルクに入る前に会場を出
ましたが、このあとベートーヴェンのミサも控えているようですので、このプローベ
はかなり長時間に及ぶのではないかと。で、超快晴の中を祝祭大へと急ぐのでした・
・・