ザルツブルク日記 2000年8月16日
リンツ/ザンクト・フローリアン〜『スペードの女王』〜ガラ・ディナー

●リンツ/ザンクト・フローリアン

知人の方とザンクト・フローリアンへ詣でることにした。ザルツブルク中央駅9:10発のICでリンツへ向う。さすがに太陽に輝く草原が美しい。10:30頃リンツに到着した。ここからタクシーでザンクト・フローリアンまで約20分。ちょうど11時に到着し、何年かぶりに訪れる修道院は特に変わった様子もない姿だ。ここでツアーに参加する。最初に図書室から始り、美術展示を回り、ブルックナーの部屋を省略し、大聖堂へと入った。ちょうどオルガニストが練習されており、荘厳な響きが大聖堂を覆う。それにしても低音部の迫力には圧倒された。
あとは地下で眠るブルックナーへ詣でる。売店ではブルックナーの楽譜も販売されており、1877年版の交響曲8番のスコアを購入した。220シリング程度なので日本で買うよりも圧倒的に安い。

ザンクト・フローリアンの大オルガン

天井画

予約したタクシーでリンツ市内に戻るが、
ブルックナー・ハウスに行ってもらった。ここはリンツ・ブルックナー管弦楽団
が本拠地としているホールで、秋のブルックナー・フェスティヴァルの会場とも
なる。ドナウ川に面したところに位置しているが、中央駅からはかなり離れてい
る。ちょうど昼時であったので、近くのレストランでランチとした。ドナウの流
れを望みながらテラスの涼しさが気持ち良い。

リンツ/ブルックナー・ハウス

アントン・ブルックナー


ドナウ川とアントン・ブルックナー号

リンツの街

さて15:10のECに乗るため、リンツ市内を駅へ向うこととする。街中はか
なり賑やかでザルツブルクの田舎とは比べ物にならない。久々に都会に出た気分
がする。あとは電車にのって16:30にザルツに戻ってきた。


●チャイコフスキー歌劇『スペードの女王』演奏会形式
Pjotr Iljitsch Tschaikowski
"PIQUE DAME" Oper in drei Akten
Konzertante Auffuehrung in russischer Sprache

Musik Leitung : Valery Gergiev
Choreinstudierung : Andrei Petrenko
Vocal Coach : Irina Sobaoleva

Hermann : Placido Domingo
Lisa : Galina Gorchakova
Graefin : Larissa Diadkova
Graf Tomski : Nikolai Putilin
Fuerst Jeletzki : Vladimir Moroz
Polina : Ekaterina Semenchuk
Tschekalinski : Oleg Balashov
Ssurin : Evgeny Nikitin
Narumow : Gennady Bezzubenkov
Prileppa : Olga Trifonova
Tchaplitzki/ Festordner : Vladimir Zhivosistsev
Gouvernante : Olga Savova
Mascha : Liudmila Kasyanenko

Orchester und Chor des Mariinski-Theaters, St.Petersburg

Gala-Auffuehrung zum 25jaehrigen Buehnenjubilaeum
von Placid Domingo in Salzburg
GROSSES FESTSPIELEHAUS
Mittwoch, 16.August 2000, 19.00 Uhr
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プラシド・ドミンゴのザルツブルクデビュー25周年記念として上演される「ス
ペード」だ。今年の音楽祭で最もチケット入手が困難を極めたもので、会場前に
はズーヘ・カルテが群がっていた。ステージ上には歌手と合唱のみ配置し、オー
ケストラはピットに入る。天井からは二つのシャンデリアが吊るされ、左右に植
木が飾られる。こういった飾り付け以外は照明や小道具などの演出を加えずに、
全くの演奏会形式で勝負にでる模様。

開幕早々にゲルギエフ&マリンスキーのパワーが炸裂した。遠慮無く鳴らしきる
壮絶とも呼べる音楽で、歌手たちとぶつかり合うアンサンブルは痛快そのもの。
特にパーカッションとブラスの爆発は凄い。あの広大な祝祭大劇場が小さく感じ
られるほどに音の大洪水が押し寄せてくる。ドミンゴもゴルチャコーワもオーケ
ストラに負けじと素晴らしい歌を聞かせる。この主役ふたりは別格としてもプチ
−リンをはじめとする歌手達も素晴らしい。合唱も繊細さやダイナミックさを存
分に描きわける。今年はじめのキーロフ日本公演での「スペード」も良かったが、
今日の「スペード」を聴くと、あの時は一体何だったのだろうかと疑う。これは
最高のスペードに違いないのと同時に、今回の音楽祭プロでも一ニを争う出来映
えだ。これだからザルツブルク音楽祭は止められない・・・


●ガラ・ディナー

これは祝祭小劇場をモーツァルト劇場に改装する為の資金集めを目的としたディナーで2000シリングの料金に寄付金が含まれる。ゲルギエフとドミンゴが列席された。ほかにルネ・フレミング、トーマス・ハンプソン、ケント・ナガノ夫妻も出席された。会場はフェルゼンライトの隣のカール・ベーム・ザール。スペード終演が22時半だから開始は23時すぎになった。われわれは6名で申込み、スイス人パーティ6名と一緒にひとつのテーブルを囲んだ。面白いことにスイス人パーティに大阪弁をしゃべられる方がいて、話題には事欠かなかった。それはともかく前菜は良いとしても、メインディッシュがいささかお粗末だった。ロシアン・ナイトと称しているように、料理もロシアンのようだが、ザルツブルクの有名レストランに比べると遥かに及ばない感じ。いろんな方のレセプションもあって、滅多に体験できないディナーとなった。