ザルツブルク日記 2000年8月13日
モーツァルト・マチネ〜ドン・ジョバンニ

●モーツァルト・マチネ
 Mozart-Matinee 13. August 2000
 
 Josep Haydn
  Symphonie D-Dur Hob. I:96, "The Miracle"
  pause
 Wolfgang Amadeus Mozart
  Missa C-Dur KV262 " Missa longa" udn de Espitelsonate C-Dur KV278

Morzarteum Orchester Salzburg
Arnold Schoenberg Chor
Erwin Ortner, Kuenstlerische Leitung
Solisten
Alexzandra Deshorties, Sopran
Natela Nicoli, Mezzosopran
Piotr Beczala, Tenor
Alfred Reiter, Bass
Anton Holzapfe, Orgel und Continuo
Dirigent Ivor Bolton
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昨日のグルック『トーリードのイフィジェニ』を演奏したボルトン指揮モーツァルテウムによるマチネを聞く。曲はハイドンの交響曲にモーツァルトのミサ・ロンガのふたつ。特にアーノルト・シェーンベルク合唱団によるミサへの期待が高まる。今までモーツァルテウムで素晴らしいミサを聞かせてくれた為である。

最初のハイドンは、やはり昨日のグルックのオペラと同様に古楽風のアンサンブルに彩られている。ただし昨年のラトルのハイドンが未だ印象に残っているため、同じ古楽アプローチとはいえ、ボルトン&モーツァルテウムはそれほど印象に残らない。常に推進あるのみとするボルトンの指揮にもう少し余裕が欲しい気もする。

後半のシェーンベルク合唱が加わったミサはさすがに壮大感があった。ソリストたちは若手を主体としているが、安定した歌を聞かせてくれる。この曲はモーツァルト20歳くらいの作品で、系列としてはミサ・ソレムニスに属するらしい。が、ハイドンのミサに比べるとまだ物足りなさを感じる。それにしても合唱の上手さには何時もながら感心した。次回のブリュッヘン指揮シェーンベルク合唱によるモーツァルトのヴァイゼンハウス・ミサも楽しみである。

●モーツァルト『ドン・ジョバンニ』
Wolfgang Amadeus Mozart
IL DISSOLUTO PUNITO OSSIA
IL DON GIOVANNI KV527
Dramma giocoso in zwei Akten
Text von Lorenzo Da Ponte

Don Giovanni : Ferruccio Furlanetto
Il Commendatore : Robert Lloyd
Donna Anna : Renee Fleming
Don Ottavio : Charles Workman
Donna Elvira : Marina Mescheriakova
Leporello : Rene Pape
Masetto : Detlef Roth
Zerlina : Sophie Koch

Musikalische Leitung: Valery Gergiev
Inszenierung : Luca Ronconi
Buehnenbild : Margherita Palli
Kostueme : Marianne Glittenberg
Licht : Konrad Lindenberg
Choreinstudierung : Donald Palumbo
Choreographie : Giuseppe Frigeni
Continuo
Cembalo : Robert Kettelson
Violoncello : Tamas Varga
Mandoline : Robert Rezac

Winer Philharmoniker
Konzertvereinigung Wiener Staatsopernchor
Buehnenmusik Mozarteum Orchester Salzburg
Wiederaufnahme
GROSSES FESTSPIELHAUS
13. August 2000
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昨年プレミエとなったドン・ジョバンニの再演。指揮はマゼールからゲルギエフに代わり、歌手もドンナ・アンナをマッティラからフレミングへ、ドン・ジョバンニをホフロストフスキーからフルラネットへ、レポレッロをハウラータからパーペへ、さらにツェルリーナがバーヨからコッホに代わった。今年のキャスティングは昨年以上にベストマッチングしていたようで、特にフルラネットのドン・ジョバンニはベテランの良さが上手く出ていたと思う。

やはり最も期待されていたのはゲルギエフの指揮で、ウィーンフィルから緊張感溢れるモーツァルトを聞かせてくれた。特に序曲の開始とともに張りのあるサウンドで気持ちが引き締められる。レチタティーヴォやアリアでの音楽運びも滑らかでテンポ運びも実に良い。昨年のマゼールの重厚さ、やや重々しいモーツァルトではなく、ゲルギエフの方が自然でオーソドックスを感じた。やはりウィーンフィルとの相性が良いのだろうか。

ルカ・ロンコーニの演出は第1幕で大きな時計が現れるが、これは時間の経過が愛の人間模様を作り出すという解釈により、第2幕でドン・ジョバンニだけが老人となる演出が昨年行われた。今年はレポレッロを除く全ての登場人物が老人となってしまうわけで、時の流れの解釈がより強く打ち出された感じだ。こういった演出はさておき、ロンコーニの演出では第1幕の横に広がった舞台が美しかった。ただし、第2幕以降の舞台演出にそれほど惹き付けるものを感じないのは昨年と同様。やはりゲルギエフに代わったことで、よりモーツァルトらしいモーツァルトが聴けたような気がする。