フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮 ロイヤル・フランダース管弦楽団 2001年9月30日(日)15:00/すみだトリフォニーホール (プログラム) ブルックナー :交響曲第9番二短調WAB.109(全4楽章版/日本初演) |
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ヘレヴェッヘ&ロイヤル・フランダースのブルックナー交響曲9番はサマーレ、フィリップス、コールス&マッツーカ校訂2000年版の4楽章付きで演奏されました。第1〜3楽章もコールス校訂新クリティカル2000年版というものでした。3管編成によるオケは壮大でコントラバスはサントリーの時と同様に正面最後尾に。ヴァイオリンは左右に広げたレイアウトで、第1第2Vnがエコーにように掛け合う箇所、例えば1楽章400小節以降のパッセージなど左右に振れる音形として効果があったようです。さらにホルンは9本で、内4本はワーグナー・チューバーを持ち替えての演奏で終楽章で圧倒的なコラールを響かせていました。 |
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そして日本初演となる4楽章。サマーレ、フィリップス、マッツーカ1992年校訂版はアイヒホルン&リンツ・ブルックナーのCDでお馴染みで30分の演奏タイムです。今日の演奏は22分くらいでしたから、ヘレヴェッヘのテンポの速さを差し引いたとしても、この時間差は1992年版と2000年版のアプローチの違いを感じさせました。アイヒホルン版は巨大かつ壮麗なフィナーレに圧倒されまくりですが、今日の演奏は巨大ではあるものの、ブルックナーのコアに迫るような密度の高さを感じました。天から舞い降りてくるような絶対的主題やコラールの輝かしい響きなどに聴かれるのは神々しい肯定の世界でした。ここに至って諦念といったイメージは成就されたといて良いでしょう。第1楽章から第3楽章の主題と4楽章のフーガがミックスされる箇所は圧巻でした。フォルティッシモの放流とピアニッシモの静けさが振り子のように訪れ、時折聴かれるヴァイオリンパートの細かいパッセージのアクセントが印象深く聴こえました。コラールが再現される時に響くティンパニの圧倒的連打などなど。随所に今までのブルックナーシンフォニーを集大成する包容力が感じられたのです。このフィナーレは最大限のブルックナー草稿に基づき、補填は最小限に留めたそうなので、ブルックナー死の直前の楽想を聞いていることになります。当然、その感動的な世界はシンフォニー9番のフィナーレに留まらず、ブルックナー全作品のフィナーレに相応しいと痛感した次第です。それにしてもヘレヴェッヘ&フランダースは良い演奏をしてくれました。ホールの入りは6割位だったでしょうか。それでも心に残る名演には熱い拍手が長く続きました。4楽章付きブル9番はザルツブルク音楽祭でもウィーンフィルが演奏するようなので大いに期待してます・・・ |
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