秋山&東響/ベートーヴェン第9交響曲
 2000年12月29日(金)19時/サントリーホール
(演奏)
 秋山和慶(チェンバロ・指揮)
 コー・ガブリエル・亀田(ヴァイオリン)
 セレーナ・ファルノッキア(ソプラノ)
 重松みか(メゾ・ソプラノ)
 ウィリアム・ケンドール(テノール)
 ドナート・ディ・ステファノ(バス)
 東響コーラス(合唱)
 樋本英一(合唱指揮)
 大谷康子(コンサートマスター)
(プログラム)
 ヴィヴァルディ:協奏曲集「四季」より「春」「冬」

 ベートーヴェン:交響曲第9番二短調作品125「合唱付」







いよいよ今日が小生にとって20世紀最後のコンサートとなった。しかもベートーヴ
ェンの第9。前半はヴィヴァルディの「春」と「冬」という組み合わせで、コー・ガ
ブリエル・亀田のヴァイオリンで楽しんだ。彼のヴァイオリンはとてもよく響く。東
響のアンサンブルも面白いほどにホールを響かせてくれるから、とても心地よいヴィ
ヴァルディだ。秋山のチェンバロ弾き振りが全体を引き締める。どこかカラヤン&ベ
ルリンフィル&シュワルベによる録音に響きが似ているように感じた。これほど音が
広がる四季を聴いていると、脳裏のすすが払われるようにも思えてくる。亀田のヴァ
イオリンで、おやっと思わせたのは、春の第3楽章でカデンツァが演奏されたこと。
バロック・コンチェルトでは普通演奏されないパートを聴くと随分と違和感があるよ
うに感じるが、チェロの通奏低音に響く彼のソロはとても聴き応えがあった。

さてベートーヴェンの第9はとてもオーソドックスな展開となった。サウンドの充実
さはもとより、この演奏もホールを良く響かせる。特にブラスにアクセントを利かせ
た奏法がメリハリを与えていたし、秋山の着実なテンポがシンフォニーを壮大な世界
へと誘う。スケルツォ、アダージョと緊張感が持続し、アダージョからそのまま終楽
章に突入した。そしてステファノの素晴らしく響くバスで一挙に引き締まる。今日の
ソリスト陣はいずれも素晴らしく目が覚めるほどの出来栄え。さらに合唱の引き締ま
ったハーモニーは絶品。かなりの大人数ではあったが音ぶれは感じられない。オーケ
ストラとともに歓喜に導いてくれた。