スクロヴァチェフスキ&N響『第9』

 2000年12月27日(水)19時/NHKホール
(演奏)
 スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)
 中村智子(ソプラノ)
 片桐仁美(アルト)
 ウーヴェ・ハイルマン(テノール)
 吉野 資(バリトン)
 国立音楽大学(合唱)
 NHK交響楽団(管弦楽)
(プログラム)
 ベートーヴェン:交響曲第9番二短調作品125
 「合唱付」(ベーレンライター版)




ベートーヴェンの第9は今日で今年3回目となる。5月のアバド&ベルリンフィルと
ラトル&ウィーンフィルはともに抜群の素晴らしさだったから、今日のスクロヴァチ
ェフスキも大いに期待するところ。今日は第9のみの演奏で休憩はない。そのためか
全てを第9に集中して聴けた。既に第1楽章からスクロヴァチェフスキのアプローチ
の独特さの虜となってしまった。いわゆる第9らしい演奏といった固定観念を払いの
けるかのように、語り口がユニークだ。ドイツ的な重厚さを拭い去って、音のコアの
部分を鮮明に浮かび上がらせるようなスタイル。個人的には密度感などやや
味気ないような感じもするが、とてもすっきりとした流れを感じる。

アバド&ベルリンフィルの第9はややドライで乾いた響きから吹き上がる音の広がり
を実感し、ラトル&ウィーンフィルではしっとりとしたウェット感とともにムジーク
フェラインが共鳴する素晴らしさを体験することが出来た。ともにホールという器が
それぞれのオーケストラとベストマッチした結果であったが、N響とNHKホールは
どうも分が悪すぎると思う。余りにもこのホールは響かない。それゆえにせっかくの
スクロヴァチェフスキのアプローチによる第9を100%で楽しむことは出来なかっ
た。できればオペラシティとかで聴いてみたいところ。そのオペラシティで来年9/
22に岩城&アンサンブル金沢による第9があるそうで、これは実に楽しみ。今、シ
ェルヘン&ルガノ放送による第9を聞きなおしているところ。この録音もとてもユニ
ークでなかなか耳を放すことができない・・・