NJPオーチャード・シリーズ12月
2000年12月24日(日)15時/オーチャードホール
(演奏)
 ゲルハルト・ボッセ(指揮)
 釜洞祐子(ソプラノ)
 小川明子(アルト)
 櫻田 亮(福音史家・テノール)
 水野賢司(バス)
 晋友会合唱団(合唱指揮)
 関屋 晋(合唱指揮)
 新日本フィルハーモニー交響楽団
(プログラム)
 J.S.バッハ:クリスマス・オラトリオBWV248第1部〜第3部
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12月始めのヴィンシャーマン&ドイツ・バッハに引き続き、今日、クリスマス・オ
ラトリオが聴けるのが何よりの楽しみ。しかしながら全6部のうち半分の1,2,3
部のみというのはちょっと寂しいい感じもする。オーチャード・シリーズという定期
だとはいえ、全部聞かせて欲しいと思った。

編成は最近の古楽アンサンブルに比べるとやや大人数で、合唱も通常の2倍くらいの
人数。あまり大人数になると軽快さや響きの透明さに支障をきたすこともあるので、
心配したが、そんな心配も不要なくらいに澄み切った合唱とアンサンブルを楽しむこ
とが出来た。特に合唱はむだな贅肉を落としたように、しかも豊かなハーモニーを聞
かせてくれた。オーケストラはふわっとした柔らかさで音が広がってくる。肩の力を
極力抜いた各奏者の響きが層をなして重なり合うためか、音が痩せることはない。

いわゆる古楽アンサンブルだと少数精鋭の切れ込みの良さが目の覚める躍動を生み出
すことがあるが、それとは逆のアプローチと感じた。個人的にはそういった室内楽的
な緊密さを聴きたいところではあるが、ボッセのオーソドックスな安定したアンサン
ブルも安心して聴ける。しかしボッセの指揮にもっとバッハのアクセントが欲しいよ
うな気もした。

ソリスト陣もとても素晴らしい歌いまわしで、じっくりと聞き惚れてしまった。しか
しオーチャードの空間を充たすには、もう少しがんばって欲しいような。できれば今
日の編成をさらに半分にして、カザルスホールとか紀尾井ホールで演奏してくれれば
さらに素晴らしいバッハになるだろうなぁと思った。