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近江楽堂では古楽アンサンブルを良く聴くものの、ソプラノを聞くのは初めて。しか
もギターが伴奏となれば、是非聴いてみたいもの。今年はギターだけを近江楽堂でも
聞いたが、今日のようなプログラムはとても楽しみ。
最初はあのラフォリアをテーマにしたジュリアーニによる6つの変奏曲がギターソロ
で演奏された。井上嬢が演奏されたギターはやや小ぶりもので、余り大きな音が出な
いものの、繊細で古風な調べが美しかった。ちなみに彼女はヴィオラ・ダ・ガンバも
学ばれているとのこと、古楽を感じさせる雅さがギターにも溢れていた。
続いて二人の井上嬢によるモーツァルトの歌曲。ドン・ジョバンニのアリアから旋律
をとった編曲で、ソプラノの響きの豊かさに驚いた。もっともここは近江楽堂だから
響きが良いのは分かっていても、ここで聴く肉声の素晴らしさは何とも表現しがたい
ほど美しい。
途中、メルツ、パガニーニ、アグアドなどのギターソロをはさみながら、ソプラノと
ギターのデュオが続く。前半はおもにウィーンの音楽家、後半はパリを焦点に据える
が、ソルのスペイン風、ロッシーニのイタリア風と実に多彩な音楽が繰り広げられた。
最後のソルの珍しいセギディーリャから「女たちとギターの弦は」はまさしく今日の
アンサンブルにぴったりの作品。今日のようなリサイタルも実に楽しいなぁと感じた
次第。
なお12/24の近江楽堂では19:00から無料のクリスマスコンサートが開かれるとのこと。
これには今日のソプラノ井上嬢も出演される。他にもユニークなものとして2/23に松
堂久美恵&武久源造によるシューベルト歌曲集とシューマンのリーダークライスが。
異色ものとしては12/29にウーロン亭のオペラ落語(ディドとエアネス/魔笛/タン
ホイザー)があるとか・・・