ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

 2000年12月8日(金)19:00/東京オペラシティコンサートホール
 指揮    :ゾルタン・コチシュ
 ヴァイオリン:前橋汀子
(プログラム)
 バルトーク(コチシュ編曲):3つのバガテル
               ファンタジー/ブルレスク/スケルツォ
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64
 −休憩−
 バルトーク   :管弦楽のための協奏曲
(アンコール)
 ブラームス   :ハンガリー舞曲第10番
 ベルリオーズ  :ラコッツィ行進曲
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今回の来日公演プロは音楽監督コチシュと桂冠指揮者の小林がそれぞれ振り分け、実
に盛りだくさんの内容になっている。そんな中、今日はコチシュによるバルトークと
メンデルスゾーンというもの。バルトークではコチシュ編曲のバガテルが演奏された
が、とても面白い作品だった。しかしピアノ原曲を聴いたことが無いことが、純粋に
オーケストラ曲として聴くことが出来た。コチシュの編曲の良し悪しはさておいて、
聴く限りにおいてさほど魅力を感じなかった。3つのバガテルのうち最後に演奏され
たスケルツォがオーケストラ編曲としての完成度が高いように感じた。ピアノ原曲を
想像しながら聞くのも楽しかった。

メンデルスゾーンの協奏曲では前橋のヴァイオリンが慎ましい演奏スタイルながらも、
どこか惹かれるものがあった。何と言おうか演奏に無駄がなくて、必要最小限に研ぎ
澄まされた響きがメンデルスゾーンの魅力を浮かび上がらせるような感じ。フレージ
ングが素晴らしく、とても流れのある音楽だった。

管弦楽のための協奏曲ではコチシュのコントロールが隅々まで行き渡っていた。集中
力をもって耳をそばだてるほどに、音楽の豊かさを感じ取ることができる。この曲は
木管やブラスなどに室内楽的アンサンブルの美しさが散りばめられているが、コチシ
ュの抑制が効きすぎたのか、面白さを十分に味わえた訳ではない。むしろアンコール
のほうが活き活きとしていてオーケストラの醍醐味があっただけに、メインが今ひと
つ盛り上がらなかったのが残念。