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この秋はオペラにコンサートが連続した為か、さすがに息抜きが欲しくなった。ちょ
うど上手い具合に今日ショパンが聞ける。しかもルイサダが弾くとあってはこれは楽
しみ。王子ホールの響きはデッドだが、ルイサダのピアノの華麗さ、豪快さがホール
に響きわたる。
マズルカはCDで聞くよりも以外とダイナミックな演奏で、ルイサダのピアノは微塵
も不明瞭なところがない。何と言おうか、クリアーなピアノタッチが楽譜の全てを理
路整然とさせながらも、ほのかなロマンが常に漂う。曲は大円舞曲、スケルツォと進
むにつれて起伏が大きくなる。王子ホールがクリップするのではと思うほどのピアノ
の洪水が押し寄せる。これほどダイナミックレンジの広いショパンを聞くのは初めて
だ。これだけの演奏を聞かせてもうらうとショパンの新たな表現方法と言ってもおか
しくない。
後半は前半と同様、緩やかな抒情から始まり、次第に盛り上がる。特に幻想曲ではベ
ートーヴェンにも相通ずるような深みがあった。ポロネーズはやはりフィナーレに相
応しく、ショパンの醍醐味が200%といったところか。アンコールもたっぷりと演
奏され、久々に聴くルイサダにショパンの素晴らしさを再認識させられた。