マリオ・ブルネッロ&オルケストラ・ダルキ・イタリアーナ

 
2000年11月27日(月)19:00/紀尾井ホール
(演奏)
 指揮・チェロ  :マリオ・ブルネッロ
 弦楽オーケストラ:オルケストラ・ダルキ・イタリアーナ
(プログラム)
 モーツァルト :ディヴェルティメント ニ長調K.136
 ハイドン   :チェロ協奏曲第1番 ハ長調Hob7b−1
 −休憩−
 ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第11番 ヘ短調 作品95「セリオーソ」
(アンコール)
 レスピーギ  :リュートのための古代舞曲とアリア第3組曲よりイタリアーナ
 ロッシーニ  :「老いのいたずら」より”一滴の涙”主題と変奏
 ハイドン   :弦楽四重奏曲「騎手」より第4楽章
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先週のトリスタンから密度の高いコンサートやオペラが続いている為か、そろそろ中
休みが欲しくなったが、今日もコンサートのチケットを買ってあった。チェリスト、
マリオ・ブルネッロが育てた弦楽アンサンブル、オルケストラ・ダルキ・イタリアー
ノだ。会場は比較的閑散としていている。チケットが安い割には人気がないのかと思
っていたら、これはとんでもなく素晴らしい内容だった。

25名からなる弦楽アンサンブルはとてもとても上手い。まるで昨日のベルリンフィ
ルの弦楽パートではないかと思うほどだ。モーツァルトのディヴェルティメントとい
う平凡な曲が平凡ではなくて実に聴き栄えがする。流れるようなメロディラインの美
しさはさすがにイタリアンではあるが、粋なアクセント、歯切れの良さ、バランスの
よい中低域など、最高に楽しいアンサンブルとなった。ブルネッロが指揮に吸い込ま
れてしまうようなモーツァルトに、最近の疲れを癒すことが出来た。

ハイドンのチェロ・コンチェルトではブルネッロがチェロを抱えながら、弓を指揮棒
代わりとしてアンサンブルを統率する。チェロの出番ですばやく演奏モードに切り替
え、唖然とするほど上手いソロを聞かせてくれた。とにかく、このコンチェルトとし
ては最高の演奏ではないかと思うほど、アンサンブルが良くまとまっていて、推進力
にぐいぐいと引っ張られた。

ベートーヴェンのカルテット「セリオーソ」も弦楽オーケストラの編成で演奏された。
まるでカルテットをそのままオーケストラに取り込んでいるが、各パートの切れ味が
良いためか、とてもシンフォニックなカルテットになっているし、原曲よりも迫力が
増す。それでいて、イタリア的な明るさに彩られたベートーヴェンはとても魅力的だ
った。アンコールも沢山演奏され、ブルネッロのチェロも存分に披露された。室内ア
ンサンブルとしてはとても美味しいコンサートとなった。