ミラノ新ピッコロ劇場『コシ・ファン・トゥッテ』
●ミラノ・新ピッコロ劇場・日本公演
 2000年11月26日(日)14:00/日生劇場
 モーツァルト作曲・歌劇『コシ・ファン・トゥッテ』
 演出  :ジョルジュ・ストレーレル
     :カルロ・バッティストーニ
 演出補 :マリーズ・フラッシュ
 美術  :エンツィオ・フリジェーリオ
 衣装  :フランカ・スクワルチャッピーノ
 照明  :ジェラルド・モディカ
 指揮  :エンリケ・マッツォーラ
 キャスト
 フィオルディリージ :フィオレッラ・ブラート
 ドラベッラ     :ガブリエッラ・スボルジ
 フェランド     :ヨーナス・カウフマン
 グリエルモ     :ニコラ・リヴァンク
 デスピーナ     :ジャネット・ペリー
 ドン・アルフォンソ :アレクサンダー・マルタ
 オーケストラ    :ミラノ交響楽団「ジョゼッペ・ヴェルディ」
 合唱        :ミラノ市立音楽学院
            ストレーレル コシ・ファン・トゥッテ合唱団
 合唱指揮      :アルフォンソ・カイアーニ
 チェンバロ     :ハリット・ロウソン

 



今年夏のザルツブルクのコシはノイエンフェルスの空前絶後の演出にあっとびっくり
したが、今日のストレーレルの舞台はとても良かったと思う。ある意味ではもう古き
時代を感じさせてしまうが、個人的にはこういったシンプルで美しい舞台は大好きだ。
背景の空間をスクリーンに見立ててシルエットを多用するなど、とても幻想的だった
し、舞台がクリーンなためかドラマを虚飾なく楽しめた。舞台がシンプルな分、登場
人物のキャラクターが浮き彫りにされて、歌手とオーケストラのアンサンブルが際立
つのだろう。

日生劇場の音響はデッドでやや平面的なので序曲では気になったが、ドラマが始まっ
てからは、とても生き生きとした音楽にのめりこむこととなった。それにしても登場
人物のキャラクターが明確に表現されるのでアンサンブルが実に楽しい。はっきり言
って演出や舞台が良いと、モーツァルトの音楽も益々素晴らしくなるのかと驚いた。
今日のほうがノイエンフェルスのコシよりずっと音楽に忠実と思った。

オーケストラもまずまずの出来で、マッツォーラの指揮も適度のパンチがあって音楽
が軽快に進む。ベリーのデスピーナはさすがに素晴らしく、上手い演技が見所、聴き
所であった。ブラートのフィオルディリージもとても聴き栄えするし、他のキャスト
も十分に楽しめた。第2幕からも、美しくてシンプルなセットで繰り広げられる喜劇
に釘つけとなってしまった。他にもストレーレルのドン・ジョバンニあたりをライブ
で見てみたいものだ。