ボロディン弦楽四重奏団

 
2000年11月18日(土)14:00/王子ホール
(演奏)
 ルーベン・アハロニアン(第1ヴァイオリン)
 アンドレイ・アブラメンコフ(第2ヴァイオリン)
 イーゴル・ナイディン(ヴィオラ)
 ヴァレンティン・ベルリンスキー(チェロ)
(プログラム)
 ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第1番 ハ長調Op.49
 ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番 ハ短調Op.110
 −休憩−
 ベートーヴェン  :弦楽四重奏曲第9番 ハ長調Op.59−3
           「ラズモフスキー第3番」
(アンコール)
 ベートーヴェン  :弦楽四重奏曲第4番より第3楽章
 ベートーヴェン  :弦楽四重奏曲第13番より第4楽章
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前回、ボロディンSQを聞いたのは98年10月の王子ホールで。あの時はボロディ
ン、ラフマニノフにチャイコフスキーといったプログラムで、アンコールにショスタ
コーヴィチが演奏された。今回はそのアンコールを引き継ぐかのように前半にショス
タコーヴィチが並ぶ。

第1番のSQから贅肉を削ぎ落とした響きで迫ってくる感じ。特にフィナーレの緊密
感溢れるアンサンブルに聞き入ってしまった。第8番のSQは暗く渋い音楽だ。いわ
ゆる戦争にまつわる音楽のためか、奏でられる響きは厳しい。王子ホールのデットな
特性と相まってか、ひたすら禁欲的な響きを強いられる。

後半はベートーヴェンの最も有名なカルテット。いわゆるウィーン風の生き生きとし
た精彩さをボロディンに求めるのは無理かもしれない。アンサンブルの質はトップレ
ベルからはほど遠い。前回の日本公演でも感じたが、アハロニアンの音程が微妙によ
ろしくない。カルテットの場合、ちょっとしたミスでも目立ったしまうのだ。とはい
うもののボロディンはさすがにカルテットの老舗といったところで、構造美あるベー
トーヴェンを聞かせてくれた。今年はカルテットの演奏が昨年に比べると少なくて寂
しいが、来週からはベルリンフィルの来日に乗じて、アポスSQとフィルハーモニシ
ェスSQが演奏を行う。いずれも音響の素晴らしいトッパンと紀尾井で聞けるのが嬉
しい。