ミシャ・マイスキー&マルタ・アルゲリッチ/デュオ・リサイタル

 2000年11月8日(水)19時/サントリーホール
(プログラム)
 シューマン  :民謡風の5つの小品op.102
 ショパン   :チェロとピアノのためのソナタ ト短調op.65
 −休憩−
 フランク   :チェロとピアノのためのソナタ イ長調
 ドビュッシー :チェロとピアノのためのソナタ ニ短調
(アンコール)
 ショスタコーヴィチ:ソナタ2番より
 ショパン     :華麗なるポロネーズ

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今年は沢山の室内楽を聴いているが、チェロとピアノのデュオを聴くのは久しぶりの
こと。しかもマイスキーとアルゲリッチという理想のデュオだから大いに期待する。
それにプログラムにショパンが入っているのが嬉しい。

シューマンの5つの小品はチェロがメロディラインを担うのであるが、ここはアルゲ
リッチの目の覚めるようなパッセージにマイスキーが押され気味。一瞬チェロの響き
がピアノで消えそうになったくらいだから、マイスキーも俄然燃えることになる。二
人の掛け合いはやはりスリリングかつ見事のひとこと。しかしマイスキーの音程がや
や不安定だったのが気になった。

ショパンではさすがに二人の個性がフルに発揮された。アルゲリッチの絶妙なバラン
ス感覚も素晴らしく、マイスキーも大いに歌う。特に終楽章のロマンほとばしる華麗
さは絶品だった。

フランクのこのソナタはヴァイオリン・ソナタがオリジナルだ。フランクといえばソ
ナタはもちろんのことピアノ三重奏などが秋にぴったりだ。特にヴァイオリン・ソナ
タよりも音域の下がったチェロとなれば、郷愁感と渋みが増す。マイスキーのチェロ
はそれに高域の美しさを響かせ、アルゲリッチが瑞々しさを表現するといった風に、
聴けば聴くほど味わいがあった。これも終楽章は目もくらむような展開を見せ、フラ
ンクのソナタというイメージに新鮮さを表現していたと思う。続くドビュッシーでは
音楽の作風が変わるが、演奏の非凡さは言うに及ばず。アンコールでのショスタコで
はアルゲリッチの快速タッチが凄かったし、ショパンのポロネーズではマイスキーの
音程はずれるものの、歌うチェロに魅了されっぱなしとなった。