ウィーン国立歌劇『メリー・ウィドウ』

2000年11月4日(土)15:00/東京文化会館
指揮      :準・メルクル
演出      :アンドレイ・シェルバン
美術/衣装   :ヴィウヘルム・ホルツバウアー
ツェータ    :ワルデマール・クレメント
ヴァランシェンヌ:アンゲリカ・キルヒシュラーガー
ハンナ     :エリアーネ・コエーリョ
ダニロ     :トーマス・ハンプソン
カミーユ    :マティアス・ツァハリアッセン
カスカーダ   :ハンス・ペーター・カメラー
ブリオシュ   :ペーター・イェロシッツ
ボグダノヴィッチ:ヨハネス・ギッサー
シルヴィアーヌ :エリザベート・クルトゥルナ・シュラーイ
クロモウ    :デヴィッド・カール・ジョンソン
オルガ     :ダニエラ・ワーグナー
プリチッチ   :ヨハン・ラインプレヒト
プラシュコヴィア:インゲボルク・ピッフル
ニェグシュ   :クラウス・オフツァレク
カンカン・ソリスト:クリスティアン・ムージル
ウィーン国立歌劇場管弦楽団/合唱団/バレエ団


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シュターツオーパーによるメリー・ウィドウはさすがに豪華な舞台でとても楽しかっ
た。このオペレッタは日本でもフォルクスオーパーやブタペストが頻繁に上演してい
る シュターツオーパーが上演するとまた違った雰囲気が漂う。大きな違いはウィー
ンフィルの贅沢な響きで聞くことだろうか。しかしこのオペレッタは何処か物足り気
分だった。第1幕は余り盛り上がらなかった。これはコエッリョのハンナが不調だっ
たこともあるが、全般に精彩を欠いていたように思う。彼女はウィーンでは何度か聞
いたが、出来不出来の差が大きいようだ。たいていは脇役を歌っているが、今日はハ
ンナという大役であるがゆえに不調は大きなダメージにつながる。逆にキルヒシュラ
ガーは伸びのある歌で気持ちがよかった。

休憩後の第2幕、第3幕と進むにつれ硬さがほぐれたかのように歌手とオーケストラ
のアンサンブルが加熱してきた。はやりワルツとなればウィーンフィルの本領発揮と
いったところで、賑やかな舞台とともに楽しめる。メルクルの指揮はレパートリーで
培った安定さからか、きわめて無難な指揮で特に印象が残らない。もっとも今日のよ
うなオペレッタでは肩の凝らない演奏が望ましい。しかし先週のアリアドネに比べる
と中休み公演のような気がした。というのも同じオペレッタという見方ではバーデン
市立歌劇の「天国と地獄」のほうが格安チケットで大いに楽しめたので。