バイエルン放送交響楽団・日本公演


 
2000年11月1日(水)19時/サントリーホール
 指揮   :ロリン・マゼール
 フルート :エマニュエル・パユ
(プログラム)
 モーツァルト  :交響曲第39番 変ホ長調K.543
 マゼール    :フルートと管弦楽のための音楽 作品11(1995)
 −休憩−
 R.シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
(アンコール)
 R.シュトラウス:「ばらの騎士」組曲よりワルツ
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先週の東京オペラシティ公演に引き続きマゼール&バイエルンを聞く。メインは
何と言っても「英雄の生涯」。その前にモーツァルトを聞く。39番のシンフォ
ニーは先週のメインプロだったから今日で2度目になる。何となくサントリーの
ほうが音抜けが良くて響きが豊か。そんな風に感じたせいか、演奏も際立って素
晴らしく感じる。

それはともかく圧巻は次ぎのマゼール自作指揮による演奏。パユのフルートの凄
さも楽しめたが、音楽がとても面白かった。出だしは何の変哲もない無調音楽だ
が、次第に美しくメディテイティブな調べとなる。多種多様な楽器編成も聴き所
で、指揮台の前にチェンバロ、ティンパニ横にずらりと並んだパーカッションが
壮観だ。そういえばこの曲の時だけ、ベルリンフィルのゼーガースがティンパニ
を叩いていた。オーケストラのソロとパユのフルートが織り成すパッセージが随
所に現れ、多彩な響きを醸し出す。チェンバロのエスニックなメロディも面白か
ったが、変幻する音色に耳を放すことができなかった。

さて待望の「英雄の生涯」は圧巻中の圧巻となった。この曲は大好きなのにライ
ブで聴くチャンスが少ない。前回はバレンボイム&ウィーン・フィルでもう1年
以上も前のこと。さすがにマゼールの指揮は手堅くて強い音楽を作り出す。圧倒
されそうなほどの雄大さに思わず感嘆。英雄の主題に引き続いて、木管が奏でる
英雄の敵も何とすばらしい響きであることか。続くソロ・ヴァイオリンにもうっ
とりとした。戦い以降の場面ではそれはもう素晴らしさが連続する。重厚で壮大
なサウンドに大いに盛り上がった。アンコールはこれまたオペラシティの時と同
じく「ばらの騎士」から。今日はかなりヘビーのプログラムの連続で通常の2倍
くらいの密度があったように思う。