N響名曲シリーズ


 2000年10月29日(日)16時/サントリーホール
 指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
 管弦楽:NHK交響楽団
(プログラム)

 ラヴェル   :組曲「ラ・メール・ロワ」

          眠りの森の美女のパヴァーヌ/おやゆび小僧/パゴダの女

          王レドロネット/美女と野獣の対話/妖精の園

 −休憩−
 プロコフィエフ:バレエ音楽「シンデレラ」抜粋

         第1幕:序奏/ショールの踊り/ダンスのレッスン/継母と

             姉たちの舞踏会への出発/シンデレラの舞踏会の夢 
            /妖精の老婆の二度目の出現/中断された出発

             時計のシーン/シンデレラの舞踏会への出発

         第2幕:マズルカ/シンデレラの舞踏会への登場/大ワルツ
             /シンデレラのヴァリアシオン/客へのおもてなし
             /王子とシンデレラのデュエット/ワルツ・コーダ
             /真夜中

         第3幕:シンデレラの目覚め/王子の訪問/アモローゾ

(アンコール)

 チャイコフスキー:バレエ「くるみ割り人形」から花のワルツ

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アシュケナージの指揮を聞いたのはチェコフィルとベルリン・ドイツ響の二回だ
け。チェコフィルとはドヴォルザーク8番という名曲で、ベルリン・ドイツ響と
はドビュッシーの交響詩ペリメリというプログラムだった。いずれもあまり芳し
くない印象を受けたが、今日のN響はなかなか良かった。

前半のラヴェルではN響のサウンドがとても大らかにゆったりと響くのが心地良
かった。色彩感の鮮やかさも格別で、ピアノ連弾に作曲されたということからピ
アニスト・アシュケナージが描くイメージがそのままオーケストラとして聴ける
のが面白い。こういったメルヘンの音楽には安らぎがあって良いなぁと思う。

後半はプロコフィエフのバレエ音楽「ロメオとジュリエット」ならぬ「シンデレ
ラ」から抜粋。このバレエ音楽は滅多に聴くチャンスがないが、ロメオとジュリ
エットに引けを取らぬ素晴らしさだ。物語は全くのお伽話ではあるが、その音楽
がとても魅力があってドラマチック。アシュケナージはクリーブランド管弦楽団
とこの曲を録音していることもあってか、全体に見とおしの良い音楽を作る。と
かくバレエの抜粋といえば断片的な印象を受けるが、今日の抜粋の構成はひとつ
の交響詩的なまとまりがあって十分に聴き応えがあった。各パートのサウンドの
魅力が十分に発揮され、時計の時刻を告げる木琴の刻みが特に印象的だった。プ
ロコフィエフの作曲の上手さが十分に聞き取れるくらいにパートを描き分けた指
揮が素晴らしい。それにしても今日のサントリーの入りは少なく6割程度だった。