●ロリン・マゼール指揮バイエルン放送交響楽団
2000年10月25日(水)19時/東京オペラシティコンサートホール
(プログラム)
グリンカ :歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
チャイコフスキー:「ロココ風の主題による変奏曲」
(チェロ:ハンナ・チャン)
ラヴェル :「ツィガーヌ」
(ヴァイオリン:樫本大進)
−休憩−
モーツァルト :交響曲第39番 変ホ長調 作品543
(アンコール)
R.シュトラウス:「ばらの騎士」組曲よりワルツ
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いよいよマゼール&バイエルン放響が来日した。このコンビによる演奏は11/1の
「英雄の生涯」を聴くためチケットを買っていたが、今日のコンサートに来る予
定は無かったが、サントリーホール公演のほぼ半額という安さとハンナ・チャン
をまた聴いてみたいと思いオペラシティにはせ参じた。
「ルスランとリュドミラ」で思わず溜息が出た。実に軽快でメリハリのはっきり
とした演奏。決して重々しくならないで前進するリズムに体が躍動する。ゲルギ
エフ&マリンスキー来日オケコンサートでのアンコールのような凄さは無く、と
てもリラックスした演奏だった。
ハンナ・チャンのソロによる「ロココ主題による変奏」。これもチャンの朗々と
なるチェロが魅力的で、ピアニッシモの美しさも格別。次ぎの樫本のソロによる
ラヴェルもとても良かった。ただ前半はソロが主体だったのでオーケストラの魅
力はさほど感じられなかった。
さて後半のモーツァルト。やや大編成で演奏されるが、冒頭の深刻さはトリスタ
ンを思わせる悲壮感が漂う瞬間を感じた。弦の音色は透明で、このあたりにバイ
エルン放響の上手さを感じる。主題部では暗から明に転じ、そのコントラストが
実に鮮やかであった。ゆったりとオーソドックスに進めるモーツァルトであり、
やや新鮮な感動といった面では物足りないかもしれない。しかしアンコールでR.
シュトラウスの「ばらの騎士」が飛び出したのは嬉しい。たっぷりとマゼール節
を披露し、ワルツでは大いに盛り上がった。今日は横浜でもウィーン国立の「ア
リアドネ」が上演されいるから、同時刻にR.シュトラウスが鳴り響いたことに
なる。やはりマゼール&バイエルン放響では大曲を聴いてみたいと思わせる瞬間
であった。