●東京交響楽団定期演奏会『近代フランス音楽のパイオニア』
 2000年10月21日(土)18:00/サントリーホール
 指揮   :大友直人
 ピアノ  :堀江真理子
 コンサートマスター:グレブ・ニキティン
(プログラム)
 ドビュッシー:夜想曲〜「雲」「祭」
       :ピアノと管弦楽のための幻想曲
       :牧神の午後への前奏曲
       :小組曲(ビュセール編)
       :舞踏詩「遊戯」
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先週の新星日響ペレアスに引き続き今日もドビュッシーを聴く。プログラムはか
なりの細切れといった印象を受けるが、珍しい作品もあり面白そうだ。夜想曲の
「雲」は幻想的。「祭」は躍動感があって2作品のコントラストが際立つ。ピア
ノと管弦楽のための幻想曲はドビュッシー初期の作品で未だ彼のキャラクターが
出ていないものの、ロマン情緒豊かな素晴らしい音楽だ。これはピアノコンチェ
ルトかと思うほどのピアニズムにも溢れているが、むしろピアノとオーケストラ
による詩情をうたったもの。

後半は有名な「牧神の午後」の登場となる。大友&東響のアンサンブルはバレエ
を彷彿とさせてくれる。目を閉じるとセルジュ・ジュド扮する牧神が小高い丘の
上で目覚める様が思い浮かんだ。ニジンスキーの振付になるこのバレエは何度見
ても素晴らしいが、音楽もそれ以上に素晴らしい。続くビュセール編曲によるド
ビュッシーのピアノ組曲は始めて聴く。4つの愛すべき美しさに心を奪われてし
まった。最後はバレエ「遊戯」なる作品。晩年の作品とあってかやや渋さを感じ
た。今回の定期は小品集ではあるもののドビュッシーの多彩さを色んな角度で聴
く趣向で面白かった。