●NJPオーチャード・シリーズ
 2000年10月20日(金)19:30/オーチャードホール
(演奏)
 指揮    :小松一彦
 ヴァイオリン:アン・アキコ・マイヤーズ*
 管弦楽   :新日本フィルハーモニー交響楽団
(プログラム)
 貴志康一  :「日本組曲」より<春雨><淀の唄><花見>
 ベルリオーズ:夢とカプリース*
 マスネ   :タイースの瞑想曲
 サラサーテ :ツィゴイネルワイゼン
 −休憩−
 ドヴォルザーク:交響曲第8番 ト長調 作品88
(アンコール)
 シューベルト:楽興の時
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今日のプログラムはNJPの名曲シリーズに貴志の日本組曲をプラスした形とな
っている。名曲シリーズはオーチャードシリーズより2000円安くなっている
から、差額分が曲数の差になっているのだろうか。それはともかく大編成で演奏
された日本組曲はとても面白い音楽だった。ドイツ風の重厚さに日本をブレンド
した作風で、郷愁感もなかなか素晴らしい。それぞれ5分の3曲が演奏されたが、
音楽がもっと長く続いて欲しいと感じた。

久しぶりに聴くアン・アキコ・マイヤーズのヴァイオリンはしっとりとした落ち
着きが感じられ、オーケストラとのアンサンブルも際立った美しさだ。特にツィ
ゴイネルワイゼンが圧巻で、かなりの盛り上がりを見せた。

後半のドヴォルザーク8番。これは久々に聴く快心の演奏といったところ。やや
乾いた響きが魅力で、張りのあるサウンドが畳込みかけてくる。切れ味のある弦
合奏と弾みのあるティンパニにブラスの炸裂。これほど心地よい響きは本当に久
しぶりだ。それにすっきりとしたアンサンブルにまとめられていて、全ては小松
の指揮に収束する。4つの楽章の魅力を隈なく楽しむことができた。今日はまさ
しく名曲コンサートではあったが、丁寧に仕上げられた完成度に満足した。