●エディタ・グルベローヴァ&ヴェッセリーナ・カサロヴァ
デュオ・リサイタル<オペラ・アリアの夕べ>
2000年10月17日(火)19:00/サントリーホール
(第1部)
モーツァルト :歌劇「劇場支配人」序曲
モーツァルト :歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」より
フィオルディリージとドラベッラの二重唱
モーツァルト :歌劇「後宮からの逃走」より
コンスタンツェのアリア(グルベローヴァ)
モーツァルト :歌劇「皇帝ティトゥスの慈悲」より
セストのアリア(カサロヴァ)
R.シュトラウス:楽劇「ばらの騎士」より
ワルツ集
オクタヴィアンとゾフィーの二重唱
第2幕より ばらの献呈の場
第3幕より それは夢
(第2部)
ベッリーニ :歌劇「カプレーティとモンテッキ」序曲
ドニゼッティ :歌劇「ランメルモールのルチア」より
ルチア狂乱の場(グルベローヴァ)
ロッシーニ :歌劇「セビリャの理髪師」より
ロジーナのアリア(カサロヴァ)
ドニゼッティ :歌劇「ロマン家のマリア」序曲
ロッシーニ :歌劇「タンクレディ」より二重唱
(アンコール)
ベッリーニ :歌劇「ノルマ」より二重唱
フンパーディング:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」より「夕べの祈り」
ロッシーニ :「二匹の猫の二重唱」
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今日のリサイタルはオペラ・フェス優先で申し込んだので結構良い座席で聴ける。
まず「劇場支配人」序曲でわくわくしながら二人の登場を待つ。前半はドイツも
ので後半はイタリアものが楽しめる。
コシから二重唱で早くも二人の顔合わせの素晴らしさを堪能する。カサロヴァの
ドラベッラは今年のザルツブルクでも素晴らしかっただけに、今日も聴き応えの
ある歌を聴かせる。グルベローヴァのモーツァルトもとても素敵だ。さて続くコ
ンスタンツェのアリアで一挙にグルベローヴァが全開する。何と軽やかでいて芯
のあるコンスタンツェであることか。コンスタンツェの気性はもちろん微妙な心
理すら極自然に歌われるのだから、これは最高のモーツァルトが聴けたという感
じ。ただしオーケストラ側のソロがやや弱かったのが惜しまれる。
続くカサロヴァによるセストのアリアも素晴らしい。特にソプラノとのデュオと
なるクラリネットはカサロヴァの後ろで演奏する。メゾとしてもやや低音の美し
い歌声に渋味があって実に美味しい歌だった。前半のクライマックスは「ばらの
騎士」。やはりR.シュトラウスの音楽は素晴らしいし、特に豪華キャストたち
によるデュオは最高のご馳走だった。
後半は何と言っても「ルチア狂乱の場」に尽きる。ここでもフルート奏者が前に
進み出てグルベローヴァのすぐ後ろでデュオを奏でる。この時の彼女の素晴らし
い歌がホールに緊張という空気を張り巡らした。全くの釘付け状態となったが、
この興奮はただものではなかった。次ぎは雰囲気が一転し、カサロヴァのロジー
ナが登場する。バルトリのそれとはかなり異なるものの、とてもチャーミングな
アリアだった。
今日はオペラの序曲も交互に演奏されたが、歌手たちに比べて聴き劣りした。と
はいうもののドニゼッティの「ロマン家のマリア」は快心の演奏だった。こうい
う音楽を聴くとドニゼッティは良いなぁと思う。このあと「タンクレディ」と続
き、美味しいアンコールが続いた。中でも「猫の二重唱」は何ともユーモア一杯。
一体全体楽譜はどうなっているのかと興味津々のデュオだった。今日のデュオ・
リサイタルを聴いて、ウィーン・シュターツオーパー日本公演が本当に待ち遠し
くなった。グルベローヴァは来年のフィレンツェ日本公演でも歌うし、ウィーン
のロベルト・デヴリュも楽しみ。