●モスクワ・シアター・オペラ/モンテヴェルディ『ポッペアの戴冠』
2000年10月14日(土)18:00/東京国際フォーラム・ホールC
演出 :ポリス・ポクロフスキー
美術 :ヴィクトール・ヴォリスキー
指揮 :ウラジーミル・アグロンスキー
管弦楽 :モスクワ・シアター・オペラ管弦楽団
(キャスト)
幸運の神 :ナデージダ・ニヴィンスカヤ
美徳の神 :ユーリア・モイセーエワ
愛の神 :アマリ・ウテノワ
オットーネ :アレクセイ・モローゾフ
兵士たち :ボリス・タルホフ
:ボリス・ドルージン
:レオニード・カザチコフ
ポッペア :マリーヤ・レーメシェワ
ネローネ :セルゲイ・オストロウーモフ
アルナルタ :リュドミーラ・コルマコーワ
オッターヴィア:イリーナ・バルテーネワ
セネカ :アレクセイ・モチャーロフ
ドルシッラ :オクサーナ・レスニーチャヤ
乳母 :アッラ・キセリョーワ
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何年か前にモスクワ・シアターによる「文明の果実」日本初演を見たことがある。
ポクロフスキーの演出は多分に演劇要素を重視して、客席も舞台の一部として使
うなど奇抜な演出に新鮮味が感じられた。とうことで今回のポッペアも楽しみに
していた。
舞台は至って簡素なものでローマ時代をイメージしたオブジェが象徴的にレイア
ウトされている。衣装や舞台セットはとてもオーソドックスなもので、パーセル
・カルテット公演に比べると、物足りない感じがする。しかしモスクワ・シアタ
は斬新な演出に訴えるというよりも、ドラマの中身に重点を置いているようだ。
音楽は適宜アレンジを加え、シンセサイザー音源も利用した効果音は照明効果と
合わせてとてもモダンなモンテヴェルディを作る。そもそもポクロフスキーの演
出には風刺の要素が強いようだが、このポッペアではあえて風刺と受け取るより
も、古代ローマのドラマが現代でも良くあるお話ではないかというリアルさを感
じさせる。男女+権力といったテーマは何時の時代にも共通する縮図のようなも
のだ。
モスクワ・シアターの特徴は、とにかくオペラを分りやすくすること。第2幕に
短縮されたヴァージョンもその意図に沿ったもので、とにかくストーリー展開が
スピーディで、ドラマに集中できた。第2幕がやはり核心部で、登場人物を取り
巻く微妙な心理が面白いほどに描写されいたと思う。