●バンベルク交響楽団
2000年10月13日(金)19:00/東京オペラシティコンサートホール
(演奏)
指揮 :ミッコ・フランク
ヴァイオリン:渡辺玲子
管弦楽 :バンベルク交響楽団
(プログラム)
ラウタヴァーラ:天使たちの訪れ(日本初演)
シベリウス :ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
−休憩−
シベリウス :交響曲第2番 ニ長調 op.43
(アンコール)
シベリウス :交響詩「フィンランディア」op.26
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今週はベルリン放響とバンベルク響と二つのオーケストラを聴けた。バンベルク
響については何度も来日公演を聴いてきたが、今回のミッコ・フランクの指揮ぶ
りは目を見張るものがあった。最初のラウタヴァーラという曲、プログラム解説
によれば、作曲者が子供のころに見た悪夢をイメージした音楽だとのことで、か
なりの緊張と威圧感を感じる曲だった。現代音楽の様々な手法を取り入れた響き
はかなり厚みのあるもので、重層する音の洪水に重々しさすら感じられる。中盤
から暗い曲想が一転して崇高めいた境地に向う。ブルックナーまでも描かれてい
ると解説があったが、まさにその通りに感じた。
シベリウスのVnコンチェルトには定評のある渡辺玲子がソリストを務める。全
くもって卓越したテクニックでフランクの指揮とスリリングな演奏を聴かせてく
れた。全3楽章がまたたくまに過ぎ去った感じで、暗く思いイメージのコンチェ
ルトがとても明るくてしかも力に満ちた演奏だった。
シベリウスの2番のシンフォニーはカラヤン&BPOのCDがベストと思ってい
るが、今まで沢山のライブを聞くものの素晴らしい名演に余りであったことがな
い。しかし今日のフランク&バンベルク響は格別であった。フランクはバンベル
クの渋く深みのあるサウンドを最大限駆使して、シベリウスの情感のうねりを描
いて見せる。奥深く力強いブラスもたっぷりと鳴らし、テンポの決め方も絶妙。
この人の指揮は間合いの取り方がとても上手い。音楽の流れが途切れることなく、
しかもエネルギーのためを作りつつ、これを開放させるタイミングも素晴らしい。
全てが理にかなった音作りであり、自然体を感じる。終楽章のファンファーレ風
のトランペットも始めて耳にするような新鮮さに満ちていたし、これほどエキサ
イティングなシベリウスが聞けて驚いた次第。アンコールは何とフィンランディ
ア!普通、シンフォニーで盛り上がったところでアンコールはアダージョ系のも
のが多いが、追い討ちをかけるような戦闘的なフィンランディアが聞けて最高だ
った。特にティンパニの長く伸ばす強打は印象的。今日のようなフレッシュなコ
ンサートは久しぶりであった。