●ベルリン放送交響楽団・2000年日本公演
 2000年10月10日(火)19:00/東京オペラシティコンサートホール
(演奏)
 指揮    :ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス
 ヴァイオリン:ヴィヴィアン・ハーグナー
 管弦楽   :ベルリン放送交響楽団
(プログラム)
 ウェーバー   :歌劇「魔弾の射手」序曲
 メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ホ短調
 −休憩−
 ブラームス   :交響曲第1番ハ短調 作品68
(アンコール)
 ブラームス   :ハンガリー舞曲第5番
 グラナドス   :歌劇「ゴイェスカス」より間奏曲
 ヒメーネス   :ルイス・アロンソの結婚式
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ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスはかつて読響でブルックナーを聞こ
うとチケットを買っていたが、彼のキャンセルにより小林研一郎がブラームスを
振ったことがあった。あの時はブルックナーを聴けないショックで一杯だったが、
小林のブラームスが事のほか素晴らしくて不満を解消してくれたことがあった。
今回はブルゴスが振るものの、彼の意図によりベートーヴェン田園がブラームス
1番に変更されてしまった。

実はこのコンサートは田園を聴くためにチケットを買ってあった。5月のアバド
&BPOの田園を聞いた時の感動が忘れられず、他の田園も聞きたくなったのだ。
というよりも同じベルリンのオーケストラによる田園の違いなどを聞いて見たか
った。裏を返せば、アバドBPOの田園の見事さを間接的に再確認するためだ。
このように書くとブルゴスRSBに失礼だが、とにかく田園が聞きたい・・・

ということで今回の曲目変更ははなはだ不本意と思う。極まれにブルックナーの
3番が8番に変更された場合は、大抵の方は喜ばれるとは思うが、曲目の変更に
不満を持つ客も居ることも考えて欲しいと思う次第。

冒頭、ウェーバーの序曲を聴いて思ったこと。ブルゴス&RSBはパワーがある
ということ。ただしアンサンブルはやや雑な印象を受けた。これならベルリン・
ドイツ響の方が緻密なアンサンブルを聴かせる。とはいうもののブルゴスの上手
いコントロールの為かRSBはとても良く鳴る。かと思えばメンデルスゾーンで
は一点してリリシズム溢れる音楽を聴かせる。ハーグナーのヴァイオリンは線が
細いが、ぴっしっとした緊張感とリリックな響きが美しかった。

後半のブラームスはドイツ的な重厚さも感じるがブルゴス流の力強い演奏だった。
アンサンブルの粒子はやや粗めだがメリハリのある金管、木管、ティンパニなど
が新鮮さを添える。ブルゴスはフィナーレなど要所要所の盛り上げはとても上手
い。全体的に聴き応えはあるものの感銘を受ける程には至らなかった。アンコー
ルは大いにサービスされ、グラナドスなどの珍しい作品を聞けたのは収穫だった。
特にヒメーネスのオーケストレーションを鮮やかに描ききった。こういった南米
の作品もなかなか良いものだ。