●ウィーン弦楽四重奏団
 2000年10月9日(月)14:00/紀尾井ホール
(演奏)
 ウェルナー・ヒンク(第1ヴァイオリン)
 フーベルト・クロイザマー(第2ヴァイオリン)
 ハンス・ペーター・オオクセンホファー(ヴィオラ)
 フリッツ・ドレシャル(チェロ)
 遠山慶子(共演・ピアノ)
(プログラム)
 ドヴォルザーク:
  弦楽四重奏のための「糸杉」より第1,2,3,4曲
  ピアノ五重奏曲イ長調 作品81 B.155
  弦楽四重奏曲第12番へ長調 作品96 B.179「アメリカ」
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室内楽のプログラムでオール・ドヴォルザークを聴くのは今年で2回目となる。
それ以外にもピアノ五重奏は今日を合わせると今年で3度目だ。それほどにドヴ
ォルザークはポピュラーであるが、何時聴いても素晴らしい魅力を感じる。特に
今日のウィーン弦楽四重奏に至っては中欧の郷土色にウィーンの雅さがブレンド
され洗練かつ郷愁一杯の抒情を楽しめた。

最初の「糸杉」では4つの楽曲が選ばれた。各楽曲には標題が付けられ作品にイ
メージ付けが行われている。弦の軽やかさはさすがウィーンフィル。優しく包み
込む弦の響きに若い頃のドヴォルザークの思いが伝わってくるようだ。遠山のピ
アノとの共演になるピアノ五重奏は充実した演奏で室内楽の醍醐味が一杯だった。
そもそもこの作品自体が素晴らしすぎるのだが、これを如何に活かすかにおいて
今日のピアノとカルテットのバランスは良かった。

アンサンブルの精度についてはアルバン・ベルクや東京カルテットなど専門のア
ンサンブルに一歩譲るとしても、このカルテットにはウィーンフィルの演奏で見
せるようなエキサイティングさが備わっているように感じた。特に有名なアメリ
カでその良さが発揮されていた。各楽章が心に響いてくるほどに聴き応えがあっ
た。終楽章、フィナーレにかけての盛り上がりはライブで燃焼するあのウィーン
フィルを再現しているようだった。ウィーンフィルのメンバーによる室内楽の中
でも今日のドヴォルザークは最高だったと思う。