●東京交響楽団・芸術劇場シリーズ
2000年9月23日(土)14:00/東京芸術劇場
(演奏)
大友直人(指揮)
シェフィカ・クトゥルエール(フルート)
ヨハンナ・ルサネン(ソプラノ)
ハンヌ・ニエメラ(バリトン)
早稲田大学グリークラブ、稲門グリークラブ(男声合唱)
堀 俊輔(合唱指揮)
グレブ・ニキティン(コンサートマスター)
(プログラム)
モーツァルト:フルート協奏曲第2番 ニ長調K.314
シベリウス :クレルヴォ交響曲 作品7
シベリウスのクレルヴォ交響曲は彼の作品の中でもとりわけドラマティックで壮
大だ。ライブで聴くチャンスも少ないため、今日の演奏会は見逃せない。最初に
クトゥルエールのフルートでモーツァルトのコンチェルトが演奏された。なかな
か素晴らしいフルーティストで耳を楽しませてくれる。東響のアンサンブルもメ
リハリがあって、心地よい響きがホールを包む。20分ほどのコンチェルトであ
ったが、ここから彼女のアンコールが始った。最初の「ヴェニスの謝肉祭」では
フルートの超絶技巧といったところで、巧みに操るフルートから重音を鳴り響か
せた。これにはびっくりしたが、彼女のソロは未だ終わらない。ハンガリー田園
幻想曲などあわせて4曲も演奏されたのだ。実に25分ほどのミニ・リサイタル
となったのである。
さてメインのクレルヴォ交響曲はとても良かった。第1楽章「導入部」から雄大
な世界が広がる。第2楽章「クレルヴォの青春」では美しいサウンドに堪能する。
いずれも北欧の情景が見えてくるような音楽。第3楽章「クレルヴォと彼の妹」
から合唱とソリスト達が物語を進めていく。これは本当に素晴らしく良い演奏だ。
男声合唱の弾みと力強さに圧倒されるが、フルサウンドの響きに退けを取らない
ルサネンとニエメラの歌唱力も素晴らしい。第4楽章「戦いに趣くクレルヴォ」
に勇壮な躍動感を覚え、第5楽章「クレルヴォの死」で壮大に締めくくられた。
なお今日は札幌響のコンマス、ニキティンがゲストコンマスに招かれていた。彼
は10月から東響のコンマスに就任するとのこと。久々の大作に満足しつつ、今
夜はスカラのレクイエムも控えるというヘビーなメニューとなる。