●井上&新日本フィルハーモニー交響楽団・オーチャード・シリーズ9月
2000年9月21日(木)19:30/オーチャードホール
(演奏)
指揮 :井上道義
ピアノ :小曽根 真
コンサートマスター:豊嶋泰嗣
(プログラム)
コープランド :エル・サロン・メヒコ
ガーシュイン :ピアノ協奏曲 ヘ長調
小曾根 真 :パンドラ(アンコール)
−休憩−
バーンスタイン:「ウェストサイド物語」よりシンフォニック・ダンス
NJPのオーチャード・シリーズの新シーズンが始る9月は、先日のトリフォニ
でコンサート・オペラを振った井上が登場し、アメリカン・プロを振る。コープ
ランドに始り、ガーシュインにバーンスタインというスタイルは今では定番プロ
のひとつではあるが、今日の演奏も大変素晴らしかった。出だしのコープランド
からして軽快で明るいサウンドがオーチャードを包み込む。今回から会員席とな
る1階席はほどよい距離で響きも素晴らしい。加えてNJPのアンサンブルの良
さと井上の掌握力によって、実に活き活きとした音楽が楽しめた。
今日の圧巻は何と言ってもガーシュインのピアノ協奏曲だった。ジャズピアノ畑
で活躍されている小曾根の完璧なピアノとオーケストラとの饗宴はゴージャズか
つ最大の興奮に導いてくれる。井上の大きく描くタクトで音楽が良く響くし、実
に伸び伸びとしていた。今日のプログラムは一見何の変哲もないようでもあるが、
こういった素晴らしいコンチェルトを聞かされると、もう大喜びするしかない。
会場の喝采も異例なほど鳴り止まず、ついにはパンドラという自作自演が披露さ
れた。これもソロ・ピアノの繊細で静かな音楽に心が和む。
フィナーレはバーンスタインのシンフォニック・ダンスであるが、井上は指揮と
同時に滑稽な仕草で、その場の情景を演じてみせたりする。会場からも笑いが飛
び出すが、これがバーンスタインの音楽にぴったりと合っていた。パーカッショ
ンやブラスなどのエネルギー感も素晴らしく、とても良くなるNJPのサウンド
に満足できた一夜であった。