●パリ・カルテット
2000年9月16日(土)15:00/三鷹市芸術文化センター風のホール
(演奏)
パスカル・マカレズ=メレ(第1ヴァイオリン)
フィリップ・バレ(第2ヴァイオリン)
ニコラ・カルル(ヴィオラ)
佐藤 光(チェロ)
(プログラム)
ヴォルフ :イタリアのセレナード ト長調
シューマン :弦楽四重奏曲第2番 ヘ長調作品41−2
ラヴェル :弦楽四重奏曲 ヘ長調
(アンコール)
プッチーニ :菊の花
パリ管弦楽団のメンバーによる弦楽カルテットを聴いてきた。パリ管弦楽団とい
えば今年のザルツブルクでベルリオーズの「トロイヤ」を演奏したし、室内アン
サンブルとしてもオッフェンバックの「美しきエレーヌ」を演奏したばかりだ。
良く見ると男性3名は黒のズボンに黒のシャツを着ている。これは音楽祭の時と
同じ出で立ちだ。メレ嬢はコンセルヴァトワールでも教えられているそうで、こ
のカルテットのトップを務める。チェロの佐藤氏は日本人初のパリ管弦楽団員だ
そうで、実際に素晴らしい演奏が聴けた。
プログラムも普段のカルテットでは余り聴けないヴォルフなんかが入り大いに期
待する。そのヴォルフが奏でられた瞬間、これは中々素晴らしいぞというのが第
一印象。何と軽やかな弦の響きであることか。もちろんフランス風に柔らかさも
当然として、4つの楽器の織り成すアンサンブルは極上もの。風のホール特有の
音響の良さも手伝ってか、これほどの演奏を聴くのは久しぶりだ。オーケストラ
のカルテットは室内楽専門のアンサンブルに比べて期待外れもあるのだが、彼ら
はカルテット専門に迫るほど立派だ。
続いてシューマンの第2番もふくよかな響きと陰影が素晴らしく、シューマンの
カルテットって、こんなに良い曲だったのかと思い知らされた次第。前半の良さ
は後半にもフルに発揮され、ラヴェルの幻想的な音楽は、立体的に目に見えるほ
ど克明に演奏されてゆく。木目が細かくしかも充実した響きが空間をほとばしる。
アンコールではプッチーニが存分に歌われた。
さて今日は19時からカザルスでバッハのミサ曲ロ短調でも聴こうかと思ったが、
どうも天気が危なそうなので、ダブルヘッダーは止めることとする。案の定、凄
い雷雨が来襲してきた。久しぶりの豪雨に驚いた。