●ムーティ&ミラノ・スカラ座ヴェルディ作曲・歌劇『リゴレット』
2000年9月10日(日)14:00/NHKホール
指揮 :リッカルド・ムーティ
合唱指揮:ロベルト・ガッビアーニ
演出 :ジルベール・デフロ
演出補 :ロレンツァ・カンティーニ
装置 :エツィオ・フリジェリオ
衣装 :フランカ・スクァルチャピーノ
振付 :ジルド・カッサーニ
マントヴァ公爵 :ラモン・ヴァルガス
リゴレット :アルベルト・ガザーレ
ジルダ :アンドレア・ロスト
スパラフチーレ :パータ・ブルチュラーゼ
マッダレーナ :エレーナ・カシアン
ジョヴァンナ :チンツィア・デ・モーラ
モンテローネ伯爵 :アンジェイ・ドッバー
マルッロ :ウラジミール・ストヤノフ
ボルサ :アレッサンドロ・コセンティーノ
チェプラーノ伯爵 :フランチェスコ・ムジーヌ
チェプラーノ伯爵夫人:ニコレッタ・ザニーニ
小姓 :マリレーナ・ラウレンツァ
廷吏 :アルド・ブラマンテ
ミラノ・スカラ座管弦楽団/合唱団/バレエ団
さすがムーティ&スカラの演奏は素晴らしかった。第1幕では音の伸びや金管群
に不満が感じられたが、幕を追う毎に良く鳴ってくる。もしかして時差が未だ影
響していたのかも知れない。今日聴いた座席は平土間中央ブロック前のほうであ
った為か、やや音抜けが悪かったことによるのかもしれない。しかしNHKホー
ルの容積はスカラの魅力を半減しているのは事実だと思う。やはり純正のオペラ
ハウスで聴いてみたいところだ。
NHKホールの欠点、というよりもオペラハウスでないことによるデメリットが
他にもあった。第1幕の場面転換に時間が掛かりすぎたこと。普通のオペラハウ
スなら舞台ごと入れ替えれば良いのだが、NHKホールではそれが出来ない。ガ
タガタと騒音と声が幕の奥から煩いほど聞えてくる。
しかしこのプロダクションの舞台装置は豪華で壮大だった。第1幕の第1場、第
2場、第2幕、第3幕と明暗明暗のパターンで描き分け、起伏の大きなドラマを
見せてくれる。もちろんムーティの指揮にも圧倒される。ただしリゴレットとマ
ントヴァ公爵の歌はあまり頂けなかった。どうも乗ってこないのだ。声量は少な
く、無難に歌うものの、ムーティ&スカラという総本山にはやや小粒と感じる。
とはいうものの素晴らしいアリアや重唱があるにはあったが、やはり少なくとも
ブルゾンかヌッチのリゴレット、ラ・スコーラくらいのマントヴァは聴きたいと
思った。今日最大の収穫はやはりロストのジルダ。彼女の美しくリリカルなソプ
ラノは大きな空間でも良く通ってくるし、ドラマを感じさせる。ブルチュラーゼ
も素晴らしいと感じた。
総じて豪華絢爛なリゴレットではあるものの、未だ実力が発揮出来ていないよう
に感じた。1ヶ月ぶりに聴くムーティはとてもパワフルな指揮をするのだがオー
ケストラが未だ付いて来ていないようにも感じたし、キャストもこれで本当に大
丈夫かという疑問も感じた。おそらく次回以降の公演が素晴らしくなってくるの
だろう。本来のスカラ座はもっと凄いと思うが・・・