●古部賢一/オーボエ・リサイタル
2000年9月9日(土)14:00/越谷サンシティホール(小)
(出演)
古部賢一(オーボエ)
山田武彦(ピアノ)
諸石幸生(お話)
(プログラム)
サン・サーンス:オーボエ・ソナタ ニ長調Op.166
プーランク :オーボエ・ソナタ
「エレジー」「スケルツォ」「嘆き」
シューマン :アダージョとアレグロ 変イ長調Op.70
-TEA TIME-
ブリテン :オヴィディウスによる6つの変容Op.49
カリヴォダ :サロンの小品Op.228
(アンコール)
ラヴェル :ハバネラ形式による小品
J.S.バッハ:シチリアーノ
今夜は読響のマタイを聞くが、昼間は暇なので何かコンサートへ行こうと思った。
いくつか候補があるが、会場は遠いところばかりだ。そんな中、有名なオーボエ
奏者である古部のリサイタルを聞きたくなった。目指すは越谷サンシティだ。さ
っそく自宅から駅に向うが今日も外は猛暑が続いている。ホームに出たところで
元ドレスデンの某マエストロ氏をお見かけした。ひょっとして氏はこの近くにお
住まいなのだろうか。そういえば、この前も会社帰りの電車で某女流ヴァイオリ
ニストが私の真前に立たれたことがあった。ちなみに彼女のチケットは常に完売
となる。日比谷線直通東武で延々と走り続けて、ようやく新越谷に着いた。サンシティは
はここから徒歩3分ほど。会場は小ホールで座席のレイアウトは手頃な段々畑と
なっている。音響は良さそうだ。ホール自体は古いがロビーは明るい採光で気分
が良い。プログラムはフランス、ドイツ、イギリスの作曲家たちの名品・珍品が
演奏される。全体を通してとても心地よいオーボエの響きとピアノとのデュオに
酔いしれてしまった。古部のオーボエは本当に絶品だ。前半では特にシューマン
が圧倒的に素晴らしく、チェロの作品としても知られるアダージョとアレグロに
耳が離せなかった。後半は、諸石と古部の対談で、観客からの質問に答えるというコーナーもあり、
とても面白かった。特にオーボエという楽器の苦労話など、興味が尽きない。演
奏されたブリテンの「オヴィディウスの6つの変容」では1曲づつ古部がナレー
ションを加えながら、独奏オーボエの醍醐味を存分に楽しめた。時に、艶のある
クラリネットのように、またフルートのように軽やかに、何とも素晴らしい音色
の変化であることか。最後はオーボエの超絶技巧を駆使したカリヴォダの作品。
ピアノとの目くるめく饗宴に驚嘆した。それにドリンクサービスつきで3000
円はかなりお買い得であった。