●ベルリン・ゾリステン・アンサンブル

 2000年9月8日(金)19:30/カザルスホール
(演奏)
 ハインツ・シュンク(ヴァイオリン)
 エーバーハルト・ビュンシュ(ヴィオラ)
 ローラント・クンツェ(チェロ)
 マティアス・ヴェーバー(コントラバス)
 松村珠美(ピアノ)
(プログラム)
 ロッシーニ :チェロとコントラバスのための二重奏曲ニ長調
 ブラームス :ピアノ四重奏曲第1番ト短調作品25
 −休憩−
 シューベルト:ピアノ五重奏曲イ長調D.667『ます』
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今日、コンサートに行くとすればサントリーでの日フィルか、紀尾井の服部Vn
リサイタルと考えていた。これらは音楽雑誌のコンサート案内によるものであっ
たが、カザルスホールで貰ったチラシにベルリン・ゾリステン・アンサンブルと
いうのがあったのを思い出した。新宿から中央線に乗り、四谷に指しかかったと
き、ここで降りて紀尾井に行くべきか、それともお茶の水で降りるべきかと迷っ
た。服部Vnリサイタルはギターとのアンサンブルがあって魅力的だ。しかしベ
ルリン・ゾリステンは開演が19:30と余裕なので、ついそちらを選ぶことに
した。

ベルリン・ゾリステン何とかと言えば、ついベルリン・フィルのアンサンブルと
思ってしまうが、ヴァイオリンのシュンクはベルリン響の第1コンマス、ヴィオ
ラのビュンシュはコミッシェオーパーの主席、チェロのクンツェはマンハイム国
立のソロ、コントラバスのヴェーバーはミュンヘン・フィルのソロとなっている。
これに芸大の村松が加わって、ブラームスとシューベルトをメインとしたプログ
ラミングに魅力を感じる。

最初のロッシーニはとてもユニークな編成、すなわちチェロとコントラバスのデ
ュオという奇抜さだ。風合いはロッシーニ特有の愉快で意外と快活なメロディが
印象的。しかしクンツェのチェロがどうも音程がずれ気味であり、しかもボーイ
ングが少し雑だった。むしろヴェーバーのコントラバスが安定していて、妙にデ
ュオが合わないのが残念。

まさかブラームスも音程が合わないのだろうかと心配したが、さすがにピアノが
加わると、これをコアにアンサンブルが良くまとまる。しかしやや元気が足りな
いなぁという印象を受けた。どうも最近、素晴らしい室内楽アンサンブルに出会
っていないためかも知れないが、もっと鮮烈で気迫のある演奏が聞きたいとつく
づく感じる。

こんな思いは後半にも続く。名曲中の名曲、シューベルトの「ます」と意識する
ためか、演奏はどうも非凡に感じてしまった。もっとも彼らのさりげない端正な
演奏なのだが、どうもアンサンブルが感じられない。こういった不満を抱くと、
聞き方も批判的になってしまい、面白くなくなってしまった。聞く姿勢も、肯定
的に聞こうとするものの、やはり今日の演奏は満足を与えてくれなかった。これ
なら紀尾井に行くべきだったかと後悔してしまった。残念・・・