●イスラエル・キブツ・コンテンポラリ・ダンス
 2000年9月2日(土)19:00/北とぴあ
(プログラム)
 ウィングド・ドリームズ
  振付:ラミ・ベール
  音楽:サムエル・バーバー
  衣装:エフラット・ロデド
  照明:ニッサン・ロデド
 エイド・メモア
  振付:ラミ・ベール
  音楽:アレックス・クロード
  照明:ラミ・ベール
  衣装:エフラット・ロデド
-----------------------------------------------------------------------

先ほどの「ラインの黄金」が終わったのは17:45。これからオペラシティで
の中丸さんのリサイタルには間に合わないので、上野から近い王子にある北とぴ
あへ向うこととする。イスラエル・コンテンポラリ・ダンスを見てみる。バレエ
は時々見るが、コンテンポラリは一度見てみたいと思っていた。さすがに前衛か
と思いきや、最初のウィングド・ドリームではバーバーのアダージョに乗って、
女性ダンサーのソロであった。凹面上に曲がった細長い2枚の板を巧みに操り、
とても幾何学的な構図を作りつつ、ダンスによるドラマが描かれる。真っ暗な背
景に霧が立ち込める中を淡い照明が美しいダンスを映し出す。とても幻想的で、
片時も目を離せない、集中力を見せてくれた。

最初の演目は12分ほどのものであったが、休憩なしに2つ目に突入する。これ
は四角い板を何枚も立てて壁を作り、抽象化された想像力を掻きたてる。これを
見ていると「嘆きの壁」のようでもあり、2001年宇宙への旅に登場したモノ
リスが何枚も立っているかのようにも見えたりした。あるいは板と板の間のスリ
ット状の空間はヴェルニケ演出のトロイヤの壁のスリットにも似ている。似てい
るのは壁だけではなく、スリットの奥を通して見えるダンサーの姿が移動するあ
たりなど、人間の視覚的心理をも計算に入れているかのようだ。

音楽はさすがにコンテンポラリであるが、シンセサイザなども加わり迫力十分。
それに多くのダンサーたちの力強い動きはかなり過激。おそらく彼らは息切れを
押し殺して、体を張っているのに違いない。それほどに驚くほどパワフルなダン
スに圧倒された。連続1時間20分の上演内容はただただ迫力があった。